【桜蔭】2018年入試の分析からみる桜蔭入試の傾向と対策とは
2018年3月14日に、『中学受験情報局 かしこい塾の使い方』と『中学受験専門個別指導教室 SS-1』、そして『家庭教師 名門指導会』の3団体が「2018年入試分析からわかる! 2019年入試に向けてすべきこと」というイベントを共催しました。このイベントで取り上げられたさまざまなテーマの中から、女子御三家のうちの一校である桜蔭中学校・高等学校(以下「桜蔭」)の国語、算数、理科の3教科の傾向についてご紹介します。
Contents
桜蔭 国語の傾向と対策
国語のパートでは、「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の主任相談員・小川大介先生が、桜蔭の2018年度入試問題の特徴や、今後の対策を解説。その内容をまとめてみました。
2018年の入試問題からわかる桜蔭が求める生徒像
小川先生によると、桜蔭の国語の入試問題は「文章を正確に読む力」と「想像力」、そして「記述表現力」という3つの力が求められるのだそうです。
たとえば、2018年の入試では「インターネット社会におけるフェイクニュースが拡散する構造と危険性」を論じた論説文の問題が出ました。こうした論説は、新聞やニュース、またネット上で飛び交う話題などに触れた経験がないと、実感を伴って読むことが難しいものです。そうした経験をふまえた「文章を正確に読む力」が必要となるのです。
また物語文の問題ではファンタジー作品が用いられましたが、ファンタジーを受け入れる「想像力」も欠かせません。「記述表現力」は、「200文字以内」などと与えられた課題のなかで語彙力をもってしっかりと書き切る力です。これら全てを要求しているのが桜蔭の国語問題なのです。
2019年桜蔭入試に向けてどんな国語学習が必要か
上述した3つの力、「文章を正確に読む力」「想像力」「記述表現力」は言い換えると「共感力」と「論理力」のことでもあると小川先生。この共感力と論理力を兼ね備えた「冷静な子」が、桜蔭中学校が求める生徒像だといえるようです。
「共感力」と「論理力」を身につける方法としては以下3つがポイントだそうです。
1. 過去問の徹底研究
たとえばファンタジーの問題は、単発だと難しいと思われがちですが、10年分の過去問題をさかのぼると、過去にも似た問題が出題されていることがわかります。もしファンタジーが苦手であっても、過去問を解いたことがあれば、初見で取り組むよりは解答の糸口をつかみやすくなります。
過去問対策は、塾によってはじめるタイミングが遅くなることもあるので、親がしっかりと子供の状況を見極めて、年間の学習スケジュールに前もってしっかり組み込むことが重要とのことでした。
2. 多読
とにかく幅広いジャンルのさまざまな文章を読むことです。小川先生によると、桜蔭を目指す場合は、等身大の精神年齢では厳しく、できる限りいろいろな世界を知り、豊富な知識をつけるのが望ましいとのことです。
3. 多思考(=論理的対話)
どれだけ多くの大人と筋の通った対話をしたかで鍛えられる力です。時事ニュースや社会的な話題をとりあげ「どうしてそう思ったの?」「ほかにはどう思った?」「ニュースキャスターはなぜあんなことを言ったと思う?」など、さまざまな問いかけをしてあげましょう。子供の思考の幅がひろがります。
桜蔭 算数の傾向と対策
算数のパートでは「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の主任相談員・西村則康先生が、桜蔭の算数の入試問題の傾向や対策を解説しました。
桜蔭で求められる力とは
桜蔭入試の算数は「緻密な作業力と強靭な計算力」が要求されるのが大きな特徴。これは毎年変わらないとのことで、西村先生の分析によると、2018年入試でも、次々に問題を解く「処理力」と、問題を理解して解くための「思考力」を要求していたとのこと。
西村先生は各校の入試問題の難易度を「処理」と「思考」の面で数値化しているのですが、その数値で比べてみると、桜蔭の「処理」の値は開成や麻布、また同じ女子御三家の雙葉などを上回るトップクラスのものだとか。「思考」の値も開成や女子学院以上のものです。
2019年の入試に向けてやるべきこと
西村先生によると、2019年入試に向けては「最後までやり切る完遂力」と「重箱の隅をつつくような注意力」、そして「努力することが当たり前の習慣」を身につけることが大事とのこと。
特に注意力については、入試だけでなく入学後のテストでも非常に細かい採点がされるのが桜蔭の特徴であると西村先生はいいます。そのため早い段階から、問題を解く力だけでなく細かい部分をチェックされても問題ない高い注意力があると、入学後も力が伸びやすいとのことです。
高い計算力と高度な注意力、そしてそれらをより高めるための努力を怠らない、まるでアスリートのような学習姿勢が桜蔭では求められます。親もそこを意識して子供と接していくべきしょう。
桜蔭 理科の傾向と対策
理科は「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の主任相談員の一人である辻義夫先生が2018年入試の理科問題について解説。そのなかで登場した桜蔭中学校の傾向をまとめてみました。
オーソドックスな難問を問う桜蔭の理科
辻先生によると、桜蔭に限らず女子難関校の理科では「定番」の問題が多く出題される傾向にあるとのこと。たとえば桜蔭の2018年入試では「水の流れる速さと堆積物の“つぶ”の大きさ」に関するグラフ問題が出題されましたが、このグラフ問題はまさに定番のもの。難関校では、こうしたオーソドックスな難問をいかに確実に処理できるか、という面を見ています。
オーソドックスな難問は日ごろの訓練が重要
オーソドックスな難問に対して有効な学習は「塾の平常テキストや特訓テキストによる訓練」です。定番であるグラフ問題は、入試対策の学習のなかで必ず目にするものですから、どれだけその問題をやり込み、慣れているかが重要とのこと。
もちろん、問題に慣れるだけでなく、問題を解くための足がかりとなる知識を身につけておくことも大事。特に理科は抽象的な内容が多いため、学習していることを身近なものに置き換えて実感させることがおすすめ。たとえば植物の成長の分野なら、実際に子供といっしょに植物を育ててみる、種を割って中身を調べてみる、種をまいて出てきた芽の様子を観察するなど、体験的に学習させると深い理解につながります。
こうしたサポートは親ができる代表的なことですから、お子さんが理科を好きになり、理科により興味が持てるような環境づくりをすることを意識しておきたいですね。
非常に高いレベルでまとまった桜蔭の入試問題
桜蔭の入試問題について、国語、算数、理科の傾向と対策をご紹介しました。どの教科も非常に高いレベルのものが要求される傾向にあり、当然ですがその対策も一筋縄でいかないようです。
特に算数は「放っておいても勝手に勉強をする」くらいの勉学への探究心が求められるとのことで、その姿勢づくりは簡単ではないでしょう。親としては子供の自問自答を促すような声かけや、その科目により興味を抱けるような会話をするなど、日常の中でできることからサポートすることが大事ですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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