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中学受験ノウハウ 入試の傾向

進学校と大学付属校の人気トレンドは? 2023年度首都圏中学入試結果と大学入試改革の影響

専門家・プロ
2023年8月02日 佐藤潤平

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2023年の首都圏(1都3県)では、中学受験の当事者となり得る小学6年生の人口は、東京がほぼ前年並み、他県が微増傾向にありました。

蓋を開けてみると、2/1午前の受験者数は41,912名→43,019名と2.64%の大幅増でした。

全体的には、「進学校(系列大学への進学率が30%未満)」「男子校」「都心部」の学校が人気をリードする傾向が見られました。中学受験自体の人気は上昇傾向にあるものの、地域や学校によって差が目立つ結果だったといえます。

特に東京都では、私立中学校に通う生徒の保護者負担を軽減するため、授業料の一部(年間10万円の範囲内)を助成する制度(※1)を2023/1/20に発表しました(同年5/15に正式発表)。本番直前の発表であったため影響は限定的だったと思いますが、中学受験人気の追い風となったことに間違いはないでしょう。

またコロナ下における公立中学校と私立中学校の対応差から教育内容の違いに興味を持ち、地元公立中学への進学回避のための中学受験という選択をした層も引き続き多かったと考えられます。特に学力中堅層で、受験者数の増加傾向が見られました。

今回は、中学受験における進学校人気のトレンドと、それを後押ししたかもしれない大学入試改革について、解説します。

2023年度首都圏中学入試は、2022年度に続き進学校人気が継続

2023年度の中学受験者の受験者動向を付属校・半付属校・進学校の学校分類別でみてみましょう。

ここ数年の人気は大学付属校・半付属校がけん引していましたが、2022年度入試よりその傾向が落ち着き、2023年度入試でも昨年同様の傾向となりました。

現在のトレンドとしては、難関大学への進学を見据えた進学校が人気といえるでしょう。

※1)私立中学校等授業料軽減助成金事業(https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo_chugaku.html

※2)付属校…系列大学への推薦進学が70%以上、半付属校…系列大学への推薦進学が30%以上70%未満、進学校…系列大学への推薦進学が30%未満(系列大学のない学校を含む)

中学受験の先にある大学入試

中学受験の先にある大学入試。社会の産業構造が大きく変わっていく中、教育の内容やそれに合わせた大学入試の仕組みも、保護者自身の受験生時代とはだいぶ異なる姿になっています。

「新学習指導要領・大学入試共通テスト開始が中学入試に与えた影響」でも解説したように、大学共通テストが導入された2021年度(令和3年度)入試より、学力3要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力(主体性・多様性・協働)」)を、多面的・総合的に判断する方針を文部科学省が打ち出しました。

これに伴い、大学入試の区分も、下記のように変更されました。

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佐藤潤平

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(株)Levier(ルヴィエ) 
カルチャースクール紹介誌、大手新聞、ラジオ番組、進学情報誌等の企画・編集・制作を経て、中高の教育データの解析・分析、思考力・判断力等の評価方法の開発などを手がけている。また学校・塾のコンサルティング、受験に関する種々のリサーチやソフトウェアの制作などを行う森上教育研究所 高校進路研究会を主宰している。