カギは「解く力」! 読解力を上げるために親ができること│ 中学受験塾のトリセツ#20
読書は好きなのに読解の点数が悪い……。
国語は好きだけど国語の成績が上がらない……。
もしかして、我が子には読解力が足りないのでは?
読解力とはただ「読む力」をいうわけではありません。
「読」んで「解」く「力」をいいます。
読書や国語は好きなのに成績が伸びない子は、「読む力」でなく「解く力」が足りないのかもしれません。
ということは、「読む力」ではなく「解く力」を鍛えれば成績アップも期待できますね。
今回は子どもの読解力を上げるために、親ができることについてお話しします。
Contents
読書も国語も好きなのに成績が上がらないのはなぜ?
塾で国語の講師をしていると、「読解力を高めるために読書をさせたいが」という相談を保護者さんから聞くことがあります。
読書をすること自体はいいのですが、「お子さんの場合、読書だけでは必ずしも得点アップにはつながらないかもしれません」とお返事することも少なくありません。
読解には「読む力」だけでなく「解く力」も必要だからです。
読解力とは、読解問題を読んで解く力です。
読書で鍛えられるのは「読む力」だけなので、読書が得意だからといって読解も得意であるとは限りません。
読書とは、自由に文章を読む行為です。
流し読みや飛ばし読みも自由ですし、時間も無限。途中で読むのをやめたって構いません。
しかし、国語の読解では、決められた時間に文章を読み取り、正しく読めたことを設問を通して証明します。
速く、正確に読まなければならないので、読書とはまったく読み方が違うのです。
読書や国語が好きだと言う子は、「読む力」はあっても、「解く力」が足りていないことが多いように思います。
聞かれればなんとなく答えられるものの、本文から根拠を取るのではなく自分の感想や価値観をメインに答えてしまうため、成績に繋がらないというわけです。
こういった子は「解く力」に注力し、鍛えていくと、成績が伸びる可能性があります。
こだわりが強い子は読解に苦戦することも
読解力はセンスに頼るのではなく、学んで身につけるものだと思います。
読解力が身につきやすいのは素直な子です。
本文に書かれていることをそのまま受け取ったり、解説をそのまま吸収したりできる子が身につきやすいでしょう。
たとえば「友達とは仲良くしなくていい」「謝られても許さなくていい」といった、子ども自身がよく聞く常識とは違う主張をする筆者は少なくありません。
共感はできなくとも筆者の主張、本文に書かれていることが正解であるというのが国語です。
常識や自分の意見、感性にこだわって、縛られてしまうタイプの子は、本文に書いてあることに自分の意見を混ぜて読み取ってしまいます。
これでは点数になりにくく、問題文との相性で点数も左右されてしまいますよね。
素直な子は本文をそのまま読んで答えられますし、解き方もどんどん吸収していきます。
塾の授業と本人の復習任せでどんどん伸びていくので、頭をやわらかくできると良いのですが……こればかりは子どもの性格次第なんですよね。
読解力が足りない子に試してほしい3つのこと
読解力を鍛えるには「解く力」を身につける、つまり解き方を身につけることを意識しましょう。
読解は文章を読んで解くものですが、その解き方は塾の授業で学びます。
「選択肢ではこういうものを消してこういうものを選ぶ」「記述ではこういう構成で書く」といった論理的な解き方を塾で身につけ、復習や演習で数をこなし自分のものにしていきます。
読解力が足りない子は、解き方が身についていない可能性が高いので、解き方を意識した勉強が効果的です。
1. 授業を理解できているか確認する
読解力が足りない子は、まず授業がしっかり聞けているかの確認から始めましょう。
解き方を吸収しようとしている子は、ノートをきちんととっていることが多いです。
自分の解き方だけで進めたい子は、早く問題を解きたいからと板書は無視する傾向にあります。
塾講師をしていたときは授業中にノートを見て回り、板書を写さなければ問題に進めないというルールを設定していたこともありました。
それくらい、ノートを取らずに授業を受けて自己流を貫く子は多いのです。
自己流でも本文が読めて文章が書ければ、3年生までの成績は平均かそれ以上を取れます。
しかし学年が上がり文章も設問も難しくなると、さぼっているわけではないのに点数が取れないという事態に陥ってしまいます。
授業中にしっかり解き方を身につけようとしているか、確認のために家でしてほしいのはノートのチェックです。
授業中は板書を写すことで解き方がより頭に入りやすくなる上、あとで見直すこともできます。
授業後は子どものノートをチェックし、もしノートがきれいなままなら、「怒られないようにとりあえず写そう」というレベルからでもいいので、板書を始めさせましょう。
2.口頭で内容を説明させてみる
親と勉強の話をするのが好きな子なら、塾で扱った読解文について、どんな話だったか聞いてみるのもひとつの学習法です。
どんな登場人物が出てきてどんな事件が起こってどんな結末を迎えるか。
頭の中で内容を組み立てる作業は、読むときの視野を広げ、解くときに選択肢を選びやすくする効果があります。
たとえば桃太郎なら、どんな話だったか聞いたとき、「おじいさんとおばあさんが桃から生まれた子どもを育てて、その子どもが動物を連れて鬼退治に行った」というくらいの情報が子どもの口から出てくれば上出来です。
実際はもっと説明が長くなることが多いと思います。重要なのは、その文章を知らない人間にもだいたいの内容が伝わる程度の説明ができること。これができれば、文章がわかっていると言うことができます。
「桃から桃太郎が生まれておばあさんが山へ行って……」と時系列や登場人物が支離滅裂になってしまう場合は、「誰がそれをしたの?」「なんでそうなったの?」などと、質問の形で合いの手を入れてあげるといいでしょう。
この方法は授業を理解しているかの確認だけでなく、授業そのものを子どもに思い出させるという効果もあります。
どうせならかっこよく話したいからと、子どもは授業で聞いた解き方などを混ぜて話そうとします。
こうして子どもが授業を思い出す機会をつくることで、復習にもとりかかりやすくなるのです。
塾の様子を話すのは親子のコミュニケーションにもなるため、お得な勉強法と言えますね。
3.解き方を知るために解説を読む
「似たような選択肢から正解を選ぶ」「文章を書いて登場人物の気持ちを説明する」などの解き方は、知らないと難しい作業です。
たとえば選択問題では、一部分だけでも間違っている選択肢は正解にはなりえません。
言われてみれば当たり前のことですが、子どもにとっては当たり前ではないようです。
授業ではこういった解き方を解説してくれますが、家庭でそれを教えるのは、よほど受験に精通したご両親でもない限り、難しいですよね。
そこで活躍するのが、解答に付属する解説です。
解説を子どもが自分で読み込むことができると、読解力が伸びやすくなります。
解説を使った勉強は、授業と違い自分のペースで取り組めます。
納得するまで先に進みたくないというこだわりの強いタイプの子こそ、復習で解説を活用してほしいですね。
自分で解説を読み込めない子は、親がサポートしてあげるといいでしょう。
「どこで間違えたのか、正答のヒントはどこにあったのか」など、間違えた問題について解説を見ながら口頭で確認してあげてください。
「答えは本文に書いてあったんだね。じゃあわからないときは本文を読むようにしようね」とかみくだいで伝えることで、子どもも次に意識すべきポイントがわかるようになります。
解き方がわからないという子も、こういった作業を何度も繰り返すことで、ヒントの探し方や選択肢の選び方がわかるようになっていきます。
読解力を身につけるには解き方を意識しよう
国語は簡単そうに見えて難しい科目です。
文章を読んで設問に答えたり他人の言葉と自分の考えを切り分けて説明したりするのにはコツが必要です。
このコツは自己流の感覚任せではなかなか身につかないので、塾の授業を活用してほしいですね。
「解く力」をつけるには、塾の授業で学んだ解き方を家に持ち帰ることから始めます。
塾で勉強したものを親が見て聞いてあげることで、塾の授業でしっかりと解き方を学ぶ意識が高められます。
解き方を身につけ「解く力」の重要性を理解することが、読解力向上の第一歩です。
「解く力」が意識できたら、あとはさまざまな文章に触れて、問題を解いていくと徐々に読解力が身につくでしょう。
解き方が大切ということは、それに気づけば伸びるということでもあります。
国語は感覚でなく理論で伸びる科目なので、諦めずに頑張ってくださいね!
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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