学習 算数

逆比を使いこなして算数を得意にする! 速さ・面積・濃度を簡単に解く方法を解説

2023年10月12日 みみずく

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逆比を苦手としている中学受験生は少なくありません。また、便利だからといって逆比を使っている受験生も、どうしてそうなるのかを理解していない場合があります。理屈がわからないまま逆比を使っていると、少しひねられただけで間違いを連発します。逆比について正しく理解し、どのような問題で使えるのかを把握することが大切です。

逆比とはどのような考え方か?

逆比を使いたい中学受験生は、逆比を正しく理解することから始めましょう。

逆比は「逆数の比」

2:3の逆比は3:2なので、「逆比は数字を逆にした比」という勘違いが生まれがちです。こういう勘違いをしていると、2:3:5の逆比を5:3:2と誤って考えてしてしまいます。

そもそも逆比は逆数の比です。数字を逆にした比ではありません。

逆数とは、その数に掛け合わせると1になる数のこと。2の逆数は\(\frac{1}{2}\)、3の逆数は\(\frac{1}{3}\)となります。

2:3を逆数の比にすると、\(\frac{1}{2}\):\(\frac{1}{3}\)で、両方の項に6をかけて3:2だから、結果的に数字が逆になっています。

2:3:5を逆数の比にすると、\(\frac{1}{2}\):\(\frac{1}{3}\):\(\frac{1}{5}\)なので、全ての項に30をかけて、15:10:6とするのが正しい逆比です。

逆比が使える場合とは?

逆比が使えるのは、A×B=Cが成り立っていてCが一定のときです。A×B=Cを変形すると、A=\(\frac{C}{B}\)、B=\(\frac{C}{A}\)なので、A:B=\(\frac{C}{B}\):\(\frac{C}{A}\)です。Cが一定なので、A:B=\(\frac{1}{B}\):\(\frac{1}{A}\)となり、確かに逆比だとわかります。

具体的には、「速さ×時間=距離」が成り立つので、距離が一定のときは速さと時間は逆比の関係になります。また、「縦×横=面積」「平均×個数=合計」「食塩水の重さ×濃度=食塩の重さ」などでも、=の右側が一定ならば逆比を使えます。

三角形の面積は「底辺×高さ÷2=面積」ですが、式を変形すれば「底辺×高さ=面積×2」です。面積が一定ならば面積×2も一定なので、底辺と高さは逆比の関係が成り立ちます

逆比を使って問題を解く

実際に逆比を使ってさまざまな問題を解いてみましょう。

逆比と速さ

【問題1】太郎君は毎日同じ時刻に家を出て学校へ行きます。分速70mで歩くと始業時刻の5分前に着きます。また、分速50mで歩くと始業時刻に3分遅れます。始業時刻が午前8時30分だとすると、太郎君が家を出る時刻は午前何時何分ですか。

【問題1】では、家から学校までの距離が一定なので、速さと時間が逆比の関係になることを使えます。以下のように線分図を描いてみましょう。

分速70mで歩いたときの時間と分速50mで歩いたときの時間は速さの逆比で5:7です。これを⑤と⑦で表すと、⑦-⑤=5+3となり、②=8より⑤=8×\(\frac{5}{2}\)=20です。したがって、上の線分に注目して、太郎君が家を出る時刻は、午前8時30分-(5+20)分=午前8時5分です。

逆比と体積

【問題2】底面積200cm\(^2\)、高さ30cmの直方体の容器に、12cmの深さまで水が入っています。この容器に、底面積50cm\(^2\)、高さ40cmの直方体の棒を、底面が容器の底につくまで入れたとき、水の深さは何cmになりますか。

【問題2】のように物体を水に沈める問題では、図を描いてみましょう。このとき、容器を立体的に描くのではなく、底面を線で表して下のような図を描くのがコツです。

水の体積は「底面積×深さ(高さ)=体積」で求められます。また、棒を入れる前と入れた後で水の体積は変わりません。したがって、水について、底面積と深さは逆比の関係です

棒を入れる前と入れた後の底面積の比は200:150=4:3なので、その逆比を使って深さの比は12:x=3:4よりx=12×4÷3=16(cm)が答えです。

ちなみに、逆比を使わないで高さを求めるのも難しくありません。棒を入れる前の水の体積は200×12=2400(cm\(^3\))で、棒を入れた後の水の体積は150×x(cm\(^3\))なので、150×x=2400よりx=2400÷150=16(cm)が答えです。

逆比と食塩水の濃度

【問題3】16%の食塩水250gに150gの水を加えると、何%になりますか。

「食塩水の重さ×濃度=食塩の重さ」です。そのため、【問題3】のように食塩の重さが変わらない濃度問題では、食塩水の重さと濃度が逆比の関係になります

水を加える前と加えた後の食塩水の重さの比は250:(250+150)=5:8なので、その逆比を使って濃度の比は16:x=8:5よりx=16×5÷8=10(%)が答えです。

ちなみに、逆比を使わずに濃度を求める場合、水を加える前の食塩水から食塩の重さを求めて250×0.16=40(g)です。水を加えた後は食塩水の重さが400gになるので、「食塩の重さ÷食塩水の重さ×100=濃度」より、40÷400×100=10(%)が答えです。逆比を使うと、食塩の重さを求める計算を省略できるので、速く解けます。

逆比を使いこなして算数を得意にする

逆比を使うと簡単に解ける問題が少なくありません。また、ダイヤグラムのある旅人算を図形的に解いたり、食塩水の濃度問題を天秤図で解いたりするためにも、逆比を使いこなせる必要があります。算数を得意にしたければ、積極的に逆比を使うとよいでしょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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