太陽と地球
学習 理科

地軸の傾きから四季や南中高度を考える! 23.4度が地球に与える影響を解説

2024年1月02日 みみずく

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日本に春夏秋冬の四季があるのは地軸が傾いているからです。この地軸の傾きに関連する問題は中学受験理科の天体分野でもよく出ます。苦手な受験生のために、基本的な知識をわかりやすく解説します。

地軸の傾きと四季の関係

地軸の傾きが何を意味するのかを理解した上で、日本に四季がある理由を考えましょう。

地軸の傾きとは何か?

地球は、北極と南極を結ぶ直線を回転の軸として、1日(24時間)で1回転します。これが「自転」です。そして、回転の軸となる直線を「地軸」といいます。

また、地球は太陽の周りを1年(約365.25日)で1周します。これが「公転」で、地球が公転するときの軌道が「公転面」です。この公転面と垂直な線に対して地軸が23.4度傾いていることを「地軸の傾き」といいます。ちなみに、地軸と公転面の成す角は66.6度(=90-23.4)です。

地軸の傾きから四季を見分ける

中学入試の理科では、宇宙空間にある地球の位置と日本の式の関係がよく問われます。次の【問題1】を通して、地軸の傾きが四季とどう関係しているのかを解説します。

【問題1】下の図は地球の公転の様子を表したものです。これについて、後の各問いに答えなさい。

(1) 地球の公転の向きはA、Bのどちらですか。

(2) 東京が夏であるのは、地球がア~エのどの位置にあるときですか。

(1)のように地球の公転の向きを求めたい場合、通常は地球を北極側から見た図で考えます。下の図のように、北半球のある地点での方角を考えると、北極側を北にして南・東・西が決まります。

地球の自転も公転も向きは西から東なので、反時計回りに回転していることがわかるでしょう。【問題1】のように、北極が上になっている地球の図でも公転の向きは反時計回りになります。したがって、答えはAです。

(2)は、「地軸の北極側が太陽の方向に傾いている位置で日本は夏」と覚えていれば、答えがイだとわかります。ちなみに、(1)の公転の向きから、イの前のアが春、イの後のウが秋、エが冬です。

ここで一歩踏み込んで、地軸の傾きと季節の関係を理解しましょう。地軸の北極側が太陽の方向に傾いている地球の絵を描いたのが下の図です。地球の中心を通り、地軸と垂直になっている線が赤道です。

赤道と平行な線で、北極側にあるのが、自転で移動していく東京を表しています。この東京の線では、昼の長さが夜の長さよりも長くなっています。昼の時間が夜の時間よりも長いことがわかり、東京の季節は夏だと判断できます。

同じように考えると、赤道上の国々は昼と夜がほぼ同じ長さで、オーストラリアのシドニーは昼の時間が夜の時間よりも短いので冬だとわかるでしょう。

地軸の傾きと南中高度の関係

地軸の傾きは南中高度にも影響します。公式が成り立つ理由を考えましょう。

南中高度とは何か?

日本で太陽の動きを観測すると、太陽が東から昇り、真南で最も高くなり、西に沈んでいくように見えます。太陽が真南に来ることが「南中」で、このときの太陽と地面の間の角度が「南中高度」です。

天体が移動して見える空を、観測者を中心とした球面で描いた図を「天球」といいます。この天球では、南中高度は下の図の水色の角度です。

南中高度を求める公式

次の【問題2】で南中高度を求めてみましょう。

【問題2】東京で春分の日と夏至の日の南中高度はそれぞれ何度ですか。ただし、東京は北緯35度とします。

春分の日の東京の南中高度を求める場合、地軸の傾きを考える必要はありません。このことをふまえて、宇宙から地球を見たとき、南中高度がどこにできるのかを下の図から考えましょう。

まずは、北緯35度を作図します。緯度とは、地球上のある地点と地球の中心を結んだ直線(「直線A」とします)と赤道の間にできる角度です。北緯35度を書き込んだら、次に直線Aと垂直な直線を引いて地面とします。この地面を直径とした半円を描けば、宇宙から見た天球になります(上の図の左)。

赤道と平行な太陽の光を北緯35度の地点と結びます。さらに直線Aを延長すると、太陽の光と直線Aの間にできる角アの大きさは、平行線の同位角より緯度と同じ35度です。また、太陽の光と地面の間の角イが南中高度です(上の図の右)。したがって、春分の日の東京の南中高度は90-35=55(度)です。

夏至の日の東京の南中高度は、下の図より、春分の日の南中高度よりも23.4度大きくなっています。したがって、夏至の日の東京の南中高度は55+23.4=78.4(度)です。

ここまでの計算結果から、次の公式が成り立ちます。

  • 春分・秋分の日の南中高度=90-緯度
  • 夏至の日の南中高度=90-緯度+23.4
  • 冬至の日の南中高度=90-緯度-23.4

公式を覚えて終わりにするのではなく、図を描きながら公式が成り立つ理由を説明できるようにしましょう。

地軸の傾きが変化している

最近の研究では、地下水のくみ上げ過ぎで地軸の傾きが変化していることが判明しました。こうした時事的な話題も将来的には中学入試で出題されるかもしれません。中学受験生は日ごろから科学ニュースに注意するとよいでしょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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