学習 算数

流水算の解き方をわかりやすく解説! ダイヤグラムや比を使って速さの応用問題を解く

2024年1月24日 みみずく

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多くの中学受験生が5年後半に学ぶ速さの応用に流水算があります。基本問題の解き方はパターンが決まっているものの、複雑な応用問題もよく出るので、苦手とする受験生も多いでしょう。そんな流水算の基礎を確認した上で、少し難しい問題を丁寧に解説します。

流水算の基本を理解する

流水算とは、川を進む船の速さなどを求める速さの問題です。流水算で使う言葉や線分図を理解することが大切です。

流水算で使う言葉

川の水は上流(川上)から下流(川下)に流れます。ダイヤグラム(グラフ)がある場合、上が上流で下が下流とは限らないので要注意です。問題文や直線の傾きからグラフの上流と下流を決めましょう。

また、川の流れがないところを船が進む速さを「静水時の速さ」といいます。一方、下流から上流に進む速さは「上りの速さ」で、上流から下流に進む速さは「下りの速さ」です。これらの速さには次の関係があります。

  • 上りの速さ=静水時の速さ-川の流れの速さ
  • 下りの速さ=静水時の速さ+川の流れの速さ

流水算で使う線分図

流水算で使う線分図は他の速さの問題と異なります。次の問題で線分図の意味と使い方を理解しましょう。

【問題1】一定の速さで流れる川を船が進むとき、上りの速さは時速22km、下りの速さは時速28kmでした。この船の静水時の速さと川の流れの速さを求めなさい。

流水算では、3本の線分図を描きます。下の図のように、それぞれの線分は上りの速さ・静水時の速さ・下りの速さを表します。線分が道のりを表すわけではないので要注意です。

問題文に「一定の速さで流れる川」とあるので、「静水時の速さと上りの速さの差(ア)=下りの速さと静水時の速さの差(イ)=川の流れの速さ」です。

したがって、「川の流れの速さ=(下りの速さ-上りの速さ)÷2」が成り立ち、川の流れの速さは(28-22)÷2で時速3kmと求められました。

また、「静水時の速さ=上りの速さの差+川の流れの速さ」より、船の静水時の速さは時速25kmです。

流水算の応用問題を解く

流水算には、船のエンジンが故障する問題や、エスカレーターの問題もあります。これらの応用問題ではダイヤグラムや比が役立ちます。

船のエンジンが故障する問題

【問題2】川下のA地点を出発した船が、72km離れた川上のB地点に到着するのに、いつもなら3時間かかります。ある日、この船が8時30分にA地点を出発しましたが、途中でエンジンが停止して川に流されました。10分後にエンジンの修理が終わって再びB地点へ向かい、11時43分にB地点に到着しました。このとき、川の流れの速さと船の静水時の速さはそれぞれ時速何kmですか。ただし、どちらの速さも一定であるとします。

【問題2】は問題文が長いので、これを下の図のようなダイヤグラムにしました。川に流された船は、川下のA地点の方に移動したことに注意しましょう。

船が8時30分にA地点を出発したとして、エンジンが故障しなかった場合のグラフと、エンジンが故障した場合のグラフを一つにまとめました。X地点は船が流された地点、Y地点はエンジンが故障した地点です。

いつもならA地点を8時30分に出発して3時間後の11時30分にB地点に到着するところ、11時43分に到着していることから、11時43分-11時30分=13分、故障のため余計に時間がかかっています。

問題文より川の流れの速さと船の静水時の速さが一定なので、船の上りの速さも一定です。そのため、A~BのグラフとX~Bのグラフが平行になり、下の図のように、船がX地点からY地点に進んだ時間は13-10=3(分)とわかります。

船の上りの速さは72km÷3時間より時速24kmです。したがって、X~Yの距離は24×\(\frac{3}{60}\)=1.2(km)なので、1.2÷\(\frac{10}{60}\)より川の流れの速さは時速7.2kmです。また、「静水時の速さ=上りの速さ+川の流れの速さ」なので、24+7.2より船の静水時の速さは時速31.2kmです。

エスカレーターの問題

【問題3】1階から2階に上るエスカレーターがあります。立ち止まったまま上ると40秒で2階に着きます。一方、1秒で1段ずつ歩きながら上ると24秒で2階に着きます。このエスカレーターが止まっているとき、何段ありますか。

【問題3】のようなエスカレーターの問題も流水算の一種です。このタイプの問題では、速さと比の関係を利用します。

時間の比は、立ち止まったまま上る場合:歩きながら上る場合=40:24=5:3です。1階から2階に上るエスカレーターの距離は一定なので、速さの比は時間の逆比となり、立ち止まったまま上る場合の速さ:歩きながら上る場合の速さ=エスカレーターの速さ:エスカレーター+歩きの速さ=3:5です。したがって、エスカレーターの速さ:歩きの速さ=3:(5-3)=3:2を求められました。

1秒で1段×24秒=24段=②段を歩いて上るとき、エスカレーターは③段=24×\(\frac{3}{2}\)=36段上るので、このエスカレーターが止まっているときは②+③=24+36=60(段)あります。

流水算は受験生の盲点になりやすい

「流水算は入試に出ない」と言って流水算を捨てる受験生もいて、流水算が受験生の盲点になりがちです。しかし、流水算は大問として出ることもあり、苦手意識があるからといって避けていると、出たときに大きく失点しかねません。慣れれば決して難しくないので、類題をたくさん解いておくことをおすすめします。

※記事の内容は執筆時点のものです

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