中学英語にどう備える?後回しになった英語の対策は?|合格から入学までにすべきこと#2
厳しい中学受験戦線をくぐり抜け、4月からは憧れの中高一貫校生!でも、子どもはスムーズに新生活へ移行できるかな? 親ができるサポートってどんなこと? そんな風にちょっと不安を感じる6年生保護者さんへ向けて、合格後の塾生を中学準備講座という形でサポートされている「アテナ進学塾」代表の宮本毅先生がアドバイスします。
前回は、中学入試合格後の入学のための手続きや心構えなどを中心にお話ししました。
学習面での課題についてもざっくりとお伝えしましたが、ここから、入学前の学習準備として実践できる、より具体的なアドバイスをお届けできればと思います。
まずは「英語」のお話からしていきましょう。
Contents
小学校の英語教育と中高一貫校の英語教育の違い
2020年4月から、小学3・4年生の英語教育が必修化しました。
それまで義務教育における英語教育の開始は5年生からだったため、2年早まったことになります。
小学校で英語は必修化されたけれど……
文部科学省が発行する学習指導要領では、小学校の英語学習における目標や内容をおおむね次のように定めています。
小学3・4年生…外国語を通して言語や文化について体験的に理解を深め、外国語の発音や基本的な表現に慣れ親しむ。身近で簡単な事柄について、外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝えあう力の素地を養う。
小学5・6年生…外国語の音声や文字、語彙、表現、文構造、言語の働きなどを理解するとともに、実際のコミュニケーションにおいて活用できる「聞く、読む、話す、書く」の4技能の基礎的な技術を身に付ける。
ただしこれらの目標を達成するために割かれる英語の授業時間は、小学3・4年生では年間35時間、小学5・6年生でも年間70時間しかありません。
小学5年生の標準授業時数は1,015時間。そのうちわずか7%しか英語に触れる機会がないわけで、その学習効果は非常に限定的となってしまうのも仕方ないことでしょう。
事実、受験を終えた小6生たちに英単語を書きとらせるとほぼ書けず、また読みについても、簡単なあいさつ文すら満足に読めない子が数多く存在します。
小学校で英語が必修になったといっても、小学校で一定の英語力が身に着くというほどの効果は出ていないのではというのが、私の正直な実感です。
中高一貫校の英語カリキュラムはとにかく「速い」!
いっぽう、私立中学では年間200時間以上、英語の授業に充てているところがほとんどです。
小6時点の3倍もの学習時間が割り振られているわけです。
公立中における英語の授業時間は年間140時間と定められていますから、比較すると、「英語を習得させるぞ」という私立中の本気度が伝わってきますよね。
当然のことながらカリキュラムの進度も速く、ほとんどの中高一貫校では、高校1年生まで(速いところでは中3まで)に高校3年間で学ぶはずの課程を終えてしまいます。とにかく「ばちくそ」速いんです!
中高6年間の英語学習を覚えるべき英単語で見通そう
小学校英語と違い、中学生になると、単語は自力で書けるようにならなければなりません。
当然、子どもたちはスペルを覚えていく必要があります。
あくまでも目安ですが、大学受験に必要な英単語数は4000語~6000語と言われています。
幅がある理由は大学のレベルによって違うからですが、最難関の早稲田大学や慶應大学を受験する場合、なんと7000語も必要だというのです。
単純計算ですが、中高6年間の間に一日3~4語は英単語を新たに覚える必要があるというわけです。
一見簡単そうに思えますが、「dictionary」とか「beautiful」といった長いスペルのものも含めて一日3語というのはなかなかにハードです。
部活などで忙しくて覚えられない週もあるでしょうから、コンスタントに一日5個くらいは覚えていかねばなりません。
ちなみに、中学英語の教科書に出てくる単語数は3年間で1200語。
私立上位校や都立トップ校に入学する場合は、1800語が必要となります。
ですので、最低でも中学校一年間で600語くらいは覚えることになると心づもりしておいてください。
中学入学前にトライしたい、英単語の覚え方
中学入学に備えて、今、どんなことができるでしょうか。
まずは身近な単語をマスターしよう
6年生が入学前に準備できることとしては、とりあえず小学校の教科書に掲載されている英単語を片っ端から覚えていきましょう!
目標は毎日3単語ずつ。中学入学までに100単語を目標に頑張ってください。
身の回りにあるものも全部英語にしていくのもありですね。机・イス・えんぴつ・消しゴム・本・教科書・冷蔵庫・洗濯機などなど。食材なんかも身近で暗記しやすいです。
それと、だいたい中1で鬼門となる「月・曜日」も暗記しておくと非常に有利です。「Wednesday」とか「February」といった単語、私たち大人も暗記するのに苦労していましたよね。どうせ覚えさせられるのなら、今のうちにやっつけちゃっておくようにしましょう。
覚えにくいスペルは付箋などに書いて洗面台の鏡などに貼り付けておきましょう。毎朝嫌でも目にしますので、自然と覚えられますよ。
そして「人称代名詞」を覚えておくと中1で大きなアドバンテージを得られます。所有格の代名詞などは何か名刺をくっつけて覚えると覚えやすいです。「my love」とか「your song」といったJ-POPやK-POPなどに出てくる歌のタイトルや歌詞で覚えていくのも効果的でしょう。
ぜひ、頑張ってみてください。実際に中学の授業がスタートした時、必ず「やってよかった」「なるほどこれは大きなアドバンテージだ」と納得してもらえるはず!
動詞と名詞の「セット覚え」が効果的な理由
名詞だけでなく、動詞もぜひ覚えていきましょう。
まずは習い事の動きや普段のなにげない動作を英語にして覚えていきましょう。このとき目的語と一緒に暗記していくと一石二鳥です。たとえば「play tennis」とか「study English」といった感じですね。
こうしてまとめて覚えると、ワンセットにつき2個や3個の英単語を覚えられますので一気にノルマが達成できますし、英語の感覚が身につきます。
少し前に「メフィラス構文」というのが流行りましたね。映画「シン・ウルトラマン」に登場するメフィラス星人が好んで使用していた地球語(日本語)で、たとえば「郷に入っては郷に従う、私の好きな言葉です」などと使います。
この「構文」を重視するのが英語という言語です。日本語は割とそこは自由で、主語と述語の位置が入れ替わっても「倒置法」などといってOKだったりします。
言語としての可塑性が高いのが日本語の特徴なのですが、それが日本語という言語の習得を難しくしている一因でもあります。
一方、英語はそこがかなりきっちりしていて、会話文などではある程度の柔軟性は認められているものの、試験などでは構文通りでないと不正解とされたりします。
その「英語構文」を身につけていく上でも、単語をバラバラに覚えるのではなく「セット覚え」がおススメなのです。
まとめ
中学受験が終わったらそこで「お勉強は完了」ではありません。むしろ大学受験へ向けて、そしてその先の未来に向けて、新たなスタートが切られるのです。
中学受験生は受験対策のため英語を後回しにしてきていることが多いです。ですから、英語はもしかしたら、中学に入って最初に挫折を覚える科目になるかもしれません。
でも大丈夫。
毎日着実にやれば、必要な力は必ず着いていきます。
そのために必要な、毎日勉強する習慣は、中学受験によって身についているはず。ですので、適度に学習を続けていくようにしましょう。
頑張ってくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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