「早いけど雑!」VS「ていねいだけど時間がかかる」どっちが中学受験に有利? ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。花粉症で目がかゆくてつらい菊池です。
春ですね。
4月になり、小学校も新学年になりました。
生活リズムが変わった方も多いのではないでしょうか。
早くルーティンを作るためには、スケジュールの見直しが効果的です。
このタイミングでぜひ、スケジュールの作成・更新をしてみてくださいね。
さて、今回の記事では保護者さん達から多く寄せられるご相談に回答していきたいと思います。
仕事柄、YouTubeの視聴者さんやメールマガジンの購読者さんなど、匿名のご相談も多くいただきます。
そうしたご相談に1件1件お答えすることは時間的にできないので、記事にして回答してしまおうというわけです。
今回のテーマは、「早いけど雑!」VS「ていねいだけど時間がかかる」どっちが中学受験に有利?です。
どっちが有利ですか?というご相談が来たわけではないのですが、
「うちの子は早く終わらせようと急いでやるので、ミスが多いんですが、これって中学受験に不利でしょうか?」
というご相談と、
「うちの子は丁寧にやろうとするのは良いんですが、時間がかかってしょうがないんです。これって中学受験に不利でしょうか?」
というご相談をそれぞれいただきました。
果たして、実際のところどちらの方が不利なのでしょうか?
早いけど雑なタイプの子の不利な点
このタイプの子の不利な点としては、やはり何と言っても定着が甘くなることです。
解説を理解できるまでよく読んだり、解き直しをしたりといった、基本に忠実な丁寧な勉強をせずに「やりっぱなし」になってしまうと、当然成績は上がりません。
また、雑さがテストのときに現れると、ミスによる失点が増えて、成績が伸び悩むことにもなります。
多くの方が想像する通りではないでしょうか。
雑さを克服するための方法
では、どうすれば雑なところを直していけるのでしょうか?
そのために重要なことは、なぜ雑になるのか、理由をまずは把握することです。
性格的に落ち着きが無く、丁寧に考えるのが苦手ということであれば、まずは自己コントロールのトレーニングが必要になってきます。
マインドフルネス瞑想などで、落ち着いて行動する能力を育てていきましょう。
それに対して、丁寧にやることに対して意義を感じておらず、雑だろうと何だろうと早く終わらせることに意義を感じているということであれば、まずは意識改革が必要になってきます。
「遊びたかったら宿題を終わらせてから」といったルールを作って子どもに押しつけていたりすると、子どもは「終わらせればいいんでしょ?」と考えて雑にやることが増えます。
「できるようになりたい、そのために丁寧にやろう」という意識が無ければ、ルールの欠陥をついてくるのは当然のことですね。
もしここで「ミスがあったら全問やり直し」とか、「間違えたものがあったら直しが終わるまで遊べない」など、ルールの穴をふさぐことで対処をしようとするとどうなると思いますか?
これまでの生徒の実際の事例では
・全問正解だったと嘘をつく
・答えを写す
・癇癪を起こす
といった行動に出る場合が多かったです。
丁寧にやることを強制しようとしても、子どもはその通りには動いてはくれません。
遠回りに感じても意識改革に取り組むのが最善です。
丁寧にやった結果テストで点数が取れて嬉しかったとか、分からない問題ができるようになったとか、やって良かったと思えるようにサポートをしていきましょう。
丁寧だけど時間がかかる子の不利な点
こちらのタイプの子は、こなせる学習量が少なくなるのが不利な点です。
学力を伸ばすためにはなんだかんだで演習量が欠かせません。
効率の良い学習法を取り入れて質を高めても、量が必要になることは出てきます。
その必要な演習がこなせないと、どうしても定着が不十分になってしまいます。
また、テストという場面においても、制限時間内に解き終わらず、時間さえあれば解けた問題を取りこぼすことが出てきます。
そうなると点数も伸び悩みます。
こちらも多くの保護者さんが想像する通りの不利がありますね。
遅さを克服する方法
時間がかかるのは、元々脳の処理速度が遅い場合、必要以上に丁寧にやっているせいで遅い場合、習熟度が低くて「たどたどしい」から時間がかかる場合と、原因がいろいろ考えられます。
1つ目の処理速度が原因であれば、早く処理をするトレーニングをしていくのが効果的です。
例えば陰山式に100マス計算などを時間を計りながらやって、スピードアップを目指すという方法があります。
伸学会の中では、パズル道場という講座の中で、「マッハワン」というスピード勝負のパズルを子どもたちにやらせていますが、それも同じ目的です。
脳トレで有名な東北大学の川島教授が監修した脳トレゲームやアプリにもその類のものが入っています。
お子さんが楽しんで継続できるものを何かしら探してみてはいかがでしょうか。
2つ目の丁寧にやりすぎが原因であれば、お子さんとどのくらいの丁寧さが適切なのかを話し合って決めていくと良いでしょう。
このとき、親御さんの方が意見を押しつけないように気を付けてください。
子どもに納得感が無いとその通りには行動しないのはここでも同じです。
お子さんにはお子さんなりの考えがあって今のやり方をしています。
その考えをまずは聞いてあげること、さらには、なぜそういう考えをするようになったのかも聞いてあげることがおすすめです。
それを受け止めてあげたうえで、限られた時間の中で成績アップ、そして受験の合格という目標を確認し、そのために軌道修正することを提案していってください。
目標についての合意を先にして、そのためにこうしてはどうかと話を進めた方が、こうしなさいと指示をするよりもスムーズに話が進むことが多いです。
3つ目の習熟度が低くたどたどしいから時間がかかるという場合は、解決が難しいですね。
習熟度を高めるためには演習が必要なのですが、その演習に時間がかかってしまって量をこなせないということなので。
どこの理解が不十分なのか、絞り込んであげられると良いですね。
基本に戻って土台の部分からやり直すのも効果的です。
例えば、速さと比でつまずいているなら、まずは速さの基本に戻ったり、比の文章題の基本に戻ったりといった具合です。
見た瞬間にどんなとき方をすれば良いかが反射的にわかるようになることを目指しましょう。
短所にとらわれて子どもを勉強嫌いにしないこと
さて、ここまで不利な点と解決方法をお話してきましたが、ご覧になってみていかがでしたでしょうか?
どっちもどっちという気がしませんでしたか?
そうです。どっちもどっちなんです。
結局のところ、いかに長所を伸ばし、短所を補うかというだけのことなんですね。
自信を持たせるためにまずは長所を子どもに伝え、伸ばしていくのが良いでしょう。
そうして勉強に対して前向きな気持ちを持たせられれば、学年が上がるにつれて、少しずつ短所にも向き合えるようになっていきます。
人間はどうしてもネガティブな方が目につきます。
これは防衛本能によるもので、避けがたいものです。
特に、我が子を守らなければという意識が強いお母さん方からすると、子どもの欠点は危険のサインであり、なんとかしなければいけないという意識が働きやすいようです。
1問1問じっくり考える子の保護者さんは、「時間がかかって効率が悪い」と悩みます。
わからなかったらすぐに答えを見て解決していく子の保護者さんは、「粘り強く考える姿勢が足りない」と悩みます。
センスがあって成績は良いのにコツコツ努力をするのが苦手な子の保護者さんは、「頑張ってくれさえすれば結果なんかどうでも良いのに、ダラダラしている姿を見るとイライラする」と怒ります。
コツコツ努力をするのになかなか結果が出せない子の保護者さんは、「頑張っているのに結果がでないのがかわいそうで、どうにかしなければと焦ってしまう」と悲しみます。
科目ごとに成績にバラつきがある子の保護者さんは、「苦手科目が足を引っ張る」と嘆きます。
4科目の成績がだいたいまとまっている子の保護者さんは、「得意科目が無い」と嘆きます。
どんな子であれ、見方によっては短所があり、それに対して危機意識を持ててしまいます。
そして、その短所を何とかしようとして、子どもを勉強嫌いにさせてしまいがちです。
それってもったいないですよね。
お子さんに対しての見方をポジティブに変えていきましょう。
「早いけど雑!」ではなく、「雑だけど早い!」ととらえましょう。
「ていねいだけど時間がかかる」ではなく、「時間がかかるけどていねい」ととらえましょう。
そうすれば、もっと親子で勉強を楽しみ、成長を引き出すことができるようになりますよ。
※記事の内容は執筆時点のものです
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