中学受験ノウハウ 通塾の悩み

子供が塾に行きたがらない時はどうすればいい? わが子とわが家に合った塾選びのコツ

2018年5月29日 鈴木恵美子

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二人三脚で中学受験を目指してきたのに、突然子供に「塾に行きたくない」と言われて困った経験はないでしょうか。ある調査によると、受験生の約9割が「塾を辞めたい」と思ったことがあるそうです。そんな時、親はどうやって子供に向き合っていけばいいのでしょう。キャリアアドバイザーとして多くの親子と面談を重ね、自身も娘と二人三脚で中学受験を乗り越えた花時弥生さんが、その体験をもとに本音でお答えします。

子供は親とは別の人格。しっかり向かい合って理由を知り、対策を考えよう

実は私自身も、塾に行きたがらない娘と格闘してきた母親のひとりです。中学受験の時は、大手の学習塾に全然馴染めなかったので、最終的には少人数ののんびりした個別指導塾に通わせました。当時は「ここで合格できるのかな」と不安でしたが、結果として娘はその環境で精一杯頑張り、受験本番でも力を発揮することができました。今振り返ると、子供に合う環境を用意することが何より大事だと改めて思います。

まず塾が嫌な「本当の理由」を知ること

子供が塾に行きたがらないのには、さまざまな理由があります。「競争させられるから」「毎週テストがあるから」「お母さんが友達と比べるから」「そもそも勉強が嫌い」、あるいは「勉強よりも水泳やサッカーをしたいから」など、本当にそれぞれだと思うのです。

まず親は、その「本当の理由」を知りましょう。知ったうえで、それでも中学受験をさせたいのなら、次にどんな勉強法がその子にとって最適なのかを考えていけばいいと思います。

ただ、どんな時も子供の気持ちを尊重する姿勢がないと、子供はなかなか本当の理由を言ってくれません。問題が起きた時に解決の道筋を探るためにも、お互いに何でも話せる親子関係を築いておくことは、とても大切なのです。

塾に行く目的を共有できているか確かめる

もうひとつ確認したいのは、塾に行くことに対して「期待すること」が、親子で一致しているかどうかです。親は「〇〇中学に合格させたいから」とにかく塾に行って欲しい。でも子供の方がそれを全く理解していないことはよくあるのです。ご家庭の目指すものが子供に伝わっていて、共有できているかどうかはとても重要なことです。

塾へ行って中学に入って「どうしたいか」を共有しようと言うと、「そんなの子供に聞いたってわからないわよ」という親御さんもいます。でも未熟であっても、子供は親と別人格の存在です。ちゃんと自分の気持ちはありますし、考えも持っています。ですから塾に行くことについてどう思っているか、きちんと聞いてあげるべきだと思っています。

「わが子」と「わが家」の両方に合っているかが、塾選びのポイント

子供が塾に行きたがらない時は、転塾もひとつの方法です。小学5、6年生での転塾は慎重にするべきですが、中学年までなら相性の良い塾を探しても構わないと考えています。私も娘が勉強に集中できる環境を求めて、本当にたくさんの塾へ説明を聞きに行きました。その経験から、塾を選ぶ時にチェックした方が良いポイントをご紹介します。

塾の特徴と子供の相性を大切に

大手塾・中堅塾・個別塾という規模や形式の違いは、子供との相性に深く関わってきます。親がまず知っておきたいのは、大手と言われる有名進学塾は、結果をとても重視していることです。

経営のためには多くの子供を合格させて実績をつくらなければなりませんから、目標ありきの授業設計のもとで力を入れて指導しますし、生徒同士の競争も激しくなります。

一方、個別塾はそれぞれの生徒の個性やペースに合わせた指導をしてくれるところが多いようです。まずどういった塾に子供が合っているかを見極めることが大事。私の経験から言うと、子供が嫌がる塾に無理矢理通わせても、いいことは何ひとつありません。

家庭学習がどれだけ必要かチェックする

子供に合った塾を選ぶには、親子で見学をする前に、まず親が足を運んで詳細な説明を受けることをおすすめします。そこで聞きたいのは「どんな指導方針か」「どういうクラス分けがあるか」「どんなペースで学習が進むのか」「家庭学習はどのくらい必要か」といったことです。

それがわが子だけでなく「わが家」に合っているかどうかも判断材料です。たとえば家庭学習の量がとても多い塾なのに、なかなか親がつき合ってあげられない環境だと子供はつらい思いをします。そのことが、塾に行きたくなくなる原因になるかもしれません。そうしたことを親が総合的に判断するのも、塾選びでは大切なポイントになります。

成績を上げるのは塾ではなく家庭です

時々「子供の成績が上がらないから塾を変える」という話を聞きます。でも正直に言うと塾は成績を上げてはくれません。塾は学習の方向性とカリキュラムを持っているだけで、それによって子供の成績が上がるかどうかは家庭の力にかかっているのです。それを理解して、子供にも家庭にも相性の良い塾を選ぶようすることが、子供の「塾に行きたくない」を予防する第一歩ではないでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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