偏差値主義ではなく、個性をしっかり見たい。子供のタイプ別志望校選び
中学受験の志望校は何を基準に決めますか? 校風や教育理念、部活動などさまざまありますが、やはり大切なのはその学校が子供に合っているかどうかです。子供にぴったりの志望校選びのヒントとは? キャリアアドバイザーとして多くの親子と面談を重ね、自身も娘と二人三脚で中学受験を乗り越えた花時弥生さんが、その体験をもとに本音でお答えします。
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志望校選びは就活と同じ。自己分析+中学校研究の2本立てで
中学受験での志望校選びは就職活動に似ています。就活ではまず自己分析をし、同時に企業を研究することで自分の将来像を描いていきます。中学受験で選ぶのは、子供がこれから少なくとも6年間、思春期という大切な時期を過ごす学校です。ですから就活と同様に、学校を知り、子供のことを知るのがとても大切だと考えています。
6年間をどう過ごさせたいか考える
まず考えたいのは、子供がどんな環境で力を発揮するタイプかということ。たとえば男女別で学ぶのか、共学がよいのかがあります。思春期に異性がいることで、力をのびのび発揮できない子なら、男子校や女子校がいいでしょう。そうしたことに関係なく、どんな環境でも楽しく過ごせる子なら、共学も合わせて考えるといいでしょう。
もうひとつは、中高の6年間をどう過ごさせたいのか決めることです。学友と切磋琢磨して有名大学を目指すのか、受験なしで大学に進学できる環境で伸び伸び育てるのか。あるいは、勉強やスポーツに没頭させたいのか。そうした家庭の方針をはっきりさせたうえで、志望校を選ぶ必要があります。子供の小学校生活を振り返ったり、担任の先生に話を聞いたり、子供の気持ちも含めて考えてみましょう。
多くの手がかりが得られる合同説明会
次は中学校の研究になりますが、実は子供が最終学年に近付くにつれて、親は志望校を偏差値でしか見なくなる傾向にあります。そうなると、子供のために考えられる選択肢がかなり限られてしまうのです。
そこで親御さんにおすすめしているのが、毎年5月〜7月ごろにかけて開催される中学校の合同説明会。地域の中学校が集まり、詳しい説明を聞くことができます。このイベントが素晴らしいのは、中学受験について全く知らない初心者も気軽に参加できること。ここで多くの情報に触れて「うちの子に合うかも」と思える学校が見つかったら、それを手がかりに似ている学校を探ってみるのも1つの方法です。
子供の適性に合った志望校選び。こんなケースもあります
子供の個性がよく見えて、中高6年間の過ごし方のビジョンが明確なら、志望校選びは単純な偏差値偏重にはならないはず。むしろもっと柔軟な考え方ができるようになります。
子供の偏差値よりも下の学校を選ぶ
受験すれば最低でも6年間通う学校なので、子供のモチベーション維持について考えることは大切。たとえば、300人中280番で入学しても頑張れるガッツのある子はいますが、一方で性格的に厳しい子もいます。その場合は、確実に上位に入れる1ランク下の学校の方がよりよい選択肢になるでしょう。ギリギリでどうにか引っかかる学校に入学させても、その後が本当に大変なのです。
大学まで進学できる一貫校を選ぶ
運動がとても得意で、「スポーツあってこその人生」というタイプの子もいます。こうした子には最近の中堅校の間で増えているような、いわゆる「勉強に力を入れる校風」は向かないかもしれません。スポーツを頑張れば、学部の選択肢は少ないけれど付属の大学に進学させてもらえる学校も多くありますから、そうしたポイントで志望校を選べば、受験の心配をせずスポーツの才能を伸ばすことができます。
学内推薦で進学できる学校を選ぶ
「上位大学へ進学したいけど中高時代は余裕を持って過ごしたい」と考えるなら、学内推薦を目指す方法もあります。「上位大学の推薦枠」を持っている学校に的を絞っていけばいいわけです。
志望する大学の推薦枠を持っている学校が、子供の成績からみると下のランクに位置づけられる学校だったとしても、あえて選択することがその後の子供のキャリアにはプラスになることもあるのです。
実際に以前お会いした方で、もっと上の学校を狙えたのに2ランクも下の中学を選んだというケースがありました。でも、そこでトップの成績を取れば学内推薦で希望する大学に入れるといいます。親御さんは、コツコツと勉強を頑張る子供の性格に合っていると考えて学校を決めたそうです。偏差値や学校のランクというものにとらわれず、子供を本当によく見て判断されたのだなあと感心しました。
将来の大学進学を視野に入れましょう
どんな選択であれ、子供のことを十分に理解した上で学校を探すことは本当に重要です。子供に中学受験をさせる親御さんはほぼ全員が大学進学を望んでいると思うので、将来の進学までを視野に入れて考えることをおすすめします。ぜひ、6年間を充実させるための志望校選びをしてください。
※記事の内容は執筆時点のものです
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