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【中学受験の理科攻略】植物と動物の違い

専門家・プロ
2020年2月05日 伊丹龍義

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植物と動物には多くの違いがありますが、大きな違いは、生きていくためのエネルギーをつくる元となる「糖」の手に入れ方です。それぞれの「糖の手に入れ方」を理解することで、植物と動物のいろいろな違いが説明できるようになります。

植物と動物の共通点

植物と動物の違いについて考える前に、まずは共通点について考えていきます。いうまでもなく、両方とも「生き物」という点で仲間です。「そもそも生き物とは何か?」というのは、長くなるのでまたの機会にお話しできたらと思います。

生き物が生き続けていくためには、身体を維持し、動かし、そして成長(生長)していく必要があるため、必ずエネルギーを必要としています。実は動物も植物も、基本的にこのエネルギーのつくり方は同じです。その方法はわかりますか?

意外に思われる人もいるかもしれませんが、正解は「糖(砂糖など)を燃やすこと」です。私たち動物でいうと、食べ物を身体のなかで細かくして、そこに入っている「糖」を取り出し、その糖を燃やすことでエネルギーをつくり出しています。貴重なエネルギーが無駄にならないよう、炎や光などを出さずじわじわ燃やしていくので熱くも明るくもならないのですが、モノが燃えるときと同じ反応がしっかり起こっています。

このとき、酸素を使ってモノを燃やしてエネルギーを手に入れることを「呼吸(好気呼吸)」といいます。これは植物も同じこと。植物も身体のなかで糖を燃やし、その勢いをエネルギー源として身体を維持し、成長しているのです。

糖を手に入れる方法の違い

ところが「糖」を手に入れる方法が、動物と植物では大きく異なります。動物は、ほかの生き物を食べることで糖を手に入れています。一方で植物は、糖(正確には糖が固まったデンプン)を自分の身体のなかでつくっています。そして植物が糖をつくっている場所が、葉っぱにある緑色の粒々、つまり「葉緑体」です。

植物はこの葉緑体という場所で、空気中の二酸化炭素と、土のなかの水を材料にしつつ、光の力を借りて糖をつくっているのです。このことを「光合成」といいます。

ちなみに、糖を手に入れる方法の違いから、生き物は大きく以下の3つに分けられます。

■生産者(植物)……糖を自分でつくることから
■消費者(動物)……植物などがつくったものを使うから
■分解者(菌類・キノコなど)……生き物を食べるのではなく、近くにあるものを取り込んで糖をつくるから

植物と動物のいろいろな違い

これまで説明してきたことがしっかりイメージできると、植物と植物のいろいろな違いについて説明することができます。

なぜ、植物は動かないの?

動物は動くけど、植物は動きませんよね。動物が動くのは、ほかの生き物を食べるためにエサを取りに行く必要があるからです。一方で植物は、生きるために必要な糖を自分でつくり出すことができるので、動く必要がないんですね。

なぜ、植物は緑色なの?

ほとんどの植物は緑色をしていますが、これは糖をつくるための“工場”(葉緑体)が緑色のためです。つまり植物は「緑色の部分で糖をつくっている」ともいえます。

なぜ、植物には光が必要なの?

多くの植物は、光が当たらないと枯れてしまいます。なぜなら、光が当たらないと糖をつくり出すことができないからです。私たち動物でいうと、「食べ物が食べられない状況」になってしまいます。

植物と動物の違いをイメージできるようになろう

改めて以下の3つをイメージできると、植物と動物の違いが理解できるようになります。これらは、この先で「生物」を学んでいくときにも役立つ知識です。

・植物も動物も、糖を燃やすことでエネルギーを生み出している
・動物は、食べることで糖を手に入れている
・植物は、じぶんの身体のなかで糖をつくっている

今回お伝えした植物と動物の違いのように、ものごとに隠れたいろいろな理由を理解することで、効率的に理科の学習を進めていくことができますよ。

※記事の内容は執筆時点のものです

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