混同しがちな「海に面していない県(内陸県)」の位置と特徴の覚え方
群馬県と栃木県、長野県と岐阜県など隣の県と混同しやすい「海に面していない県(内陸県)」。ほかの県と陸地で接しているため、県名と位置が一致しないお子さんが見受けられます。しかし、中学受験では内陸県がどの県と接しているか、わかっていることを前提にした問題がよく出題されます。
そこで、しっかりと「海に面していない県(内陸県)」の位置と特徴をお子さんに定着させる方法をご紹介します。
Contents
[1]白地図と地図帳を使って、県名・形・位置を把握する
白地図と地図帳を用意して、お子さんの「頭の中にある地図」がどのようになっているか確認します。県名・形・位置を把握していきましょう。基本的にはノーヒントで、お子さんと一緒に次のステップで作業を進めます。
白地図を使って、対象の8県をふちどる
まずは、対象をはっきりさせるために白地図を使って「海に面していない県(内陸県)」をふちどってください。「海に面していない県(内陸県)」は全部で8県あります。色鉛筆で県の輪郭をなぞらせて、覚える対象をはっきりさせましょう。
■海に面していない県(内陸県)
栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、岐阜県、滋賀県、奈良県
県名を書き込む
次に、白地図に県名を書き込みます。書き終えたら「隣は何県かな?」と意識させながら、お子さんと一緒に地図帳で確認します。
県庁所在地を書き込む
最後に県庁所在地名を書き込みます。このとき「県名と県庁所在地名が異なる県」には注意を促しましょう。「海に面していない県(内陸県)」で「県名と県庁所在地名が異なる県」は、次の5つです。
■海に面していない県(内陸県)で県名と県庁所在地名が異なる県
・栃木県(宇都宮市)
・群馬県(前橋市)
・山梨県(甲府市)
・滋賀県(大津市)
・埼玉県(さいたま市)※ひらがなで「さいたま市」
[2]試験でよく出る各県の特徴をリスト化し、白地図に記入する
お子さんと一緒に、試験でよく出る各県の特徴をリスト化し、そのあとで主要な地形とキーワードを白地図上に記入していきます。
「海に面していない県(内陸県)」の特徴をおさえる
「海に面していない県(内陸県)」8県の特徴は次のようなものがあります。「」のキーワードは頻出なので内容を説明しながら、お子さんと一緒に県名と特徴を表にまとめてみてください。各県の理解を深めるために、農林水産省「作物統計」から作成した主要な農作物の生産量ベスト3を付加しました。
■栃木県
食品に加工する「工芸作物」の「かんぴょう」の生産が盛んで日本の生産量の90%以上を占めます。「いちご」の生産も日本一です。
参考:かんぴょうの生産量(2014年)
1位:栃木県、2位:茨城県、3位:滋賀県
参考:いちごの生産量(2015年)
1位:栃木県、2位:福岡、3位:熊本
■群馬県
「嬬恋(つまごい)村」では、夏でも涼しい気候を生かした「高冷地農業」により「キャベツ」の生産が盛んです。また「工芸作物」の「こんにゃく」の生産が盛んで日本の生産量の90%以上を占めます。
参考:キャベツの生産量(2016年)
1位:群馬県、2位:愛知県、3位:千葉県
参考:こんにゃくの生産量(2015年)
1位:群馬県、2位:栃木県、3位:茨城県
■埼玉県
日本で一番広い「関東平野」の西部に位置。大都市に近く「ネギ」などの「近郊農業」が盛ん。
参考:ネギの生産量(2016年)
1位:千葉県、2位:埼玉県、3位:茨城県
■山梨県
水はけの良い土地と、昼夜の気温差が大きい気候を利用し「甲府盆地」では「ぶどう」と「もも」の生産が盛んです。
参考:ぶどうの生産量(2016年)
1位:山梨県、2位:長野県、3位:山形県
参考:ももの生産量(2016年)
1位:山梨県、2位:福島県、3位:長野県
■長野県
長野県を中心に「飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈」が連なり「日本の屋根」と呼ばれます。一年を通して雨が少なく、夏と冬の気温差が大きい「中央高地の気候」で、涼しい気候を利用した「りんご」の生産が盛んです。また「高冷地農業」で「レタス」などの生産が盛んです。
参考:りんごの生産量(2016年)
1位:青森県、2位:長野県、3位:山形県
参考:レタスの生産量(2016年)
1位:長野県、2位:茨城県、3位:群馬県
■岐阜県
「木曽川・長良川・揖斐(いび)川」の下流域では、水害から守るため堤防で集落を囲む「輪中(わじゅう)」が点在し、とくに海津市が有名です。伝統工芸品の「美濃和紙」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
■滋賀県
「琵琶湖」は日本で一番大きな湖です。京都、大阪、神戸に水を供給する「京阪神のみずがめ」と呼ばれています。
■奈良県
京都府の南に位置しています。飛鳥時代、奈良時代に朝廷が置かれていました。三大人工美林の1つ「吉野すぎ」を生産します。
参照元:『農林水産省』「統計情報」
http://www.maff.go.jp/j/tokei/index.html
各地の主要な地形を白地図に書き込む
地図帳を見ながら「関東平野」「甲府盆地」「富士山」「飛騨山脈」「木曽山脈」「赤石山脈」「木曽川・長良川・揖斐川」「琵琶湖」の位置をマーカーなどで書き込みます。山は緑、川は青、盆地や平野は茶色などマーカーの色を決めておくと、よりわかりやすくなります。
「キーワード」を白地図に書き込む
「」内のキーワードを白地図に記入していきます。親御さんが説明を読み上げ、お子さんに問いかけながら作業をすると、理解度が高まります。
[3]「隣の県は?」新幹線の経路を使って、さらに印象づける
中学受験でよく出題されるのが、新幹線の経路と各県の特徴です。東北新幹線、北陸新幹線、東海道新幹線の経路を使って、「海に面していない県(内陸県)」の特徴と隣の県を印象づけます。
「海に面していない県(内陸県)」に接する都府県を書き込む
[1]でつくった県名の白地図を使って、お子さんに隣接する県名を書き込んでもらいます。その際、どの「海に面していない県(内陸県)」が一番多くほかの県に接しているか問いかけてみましょう。(一番多くの県に接しているのは「長野県」です)
新幹線の経路を使って、さらに印象づける
大まかに、東北新幹線、北陸新幹線、東海道新幹線の経路を記入し、「海に面していない県(内陸県)」や隣接する県を確認し、印象づけましょう。3つの新幹線は次のような都府県を通過します。太字の箇所「海に面していない県(内陸県)」ですね。
■東北新幹線
東京都―埼玉県―茨城県―栃木県―福島県―宮城県―岩手県―青森県
■北陸新幹線
東京都―埼玉県―群馬県―長野県―新潟県―富山県―石川県
■東海道新幹線
東京都―神奈川県―静岡県―愛知県―岐阜県―滋賀県―京都府―大阪府
白地図に書き込む作業は「きれい」よりも「定着度」を大切に
「海に面していない県(内陸県)」を覚えるために、県名を記入する、特徴をまとめる、新幹線の経路を示すなどの方法をご紹介しました。白地図に記入する作業は「きれいに」書くよう注意しがちですが、あまり気にすることなく、「大胆に」一緒に楽しんでやってみるのがおすすめです。そして、最後に清書すると復習にもなり、定着度も高まります。
※記事の内容は執筆時点のものです
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