中学受験ノウハウ 親の関わり方

中学受験に臨む子供の「気持ちを高める」ために、親はどう関わればいい?

2018年6月12日 鈴木恵美子

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子供に中学受験をさせる親に、子供の将来を想わない人などいないでしょう。でも、親の想いが高くなりすぎると、子供の気持ちが置き去りにされてしまうこともあります。中学受験に挑戦する子供の気持ちを高めていくために、親はどう関わるべきでしょうか。キャリアアドバイザーとして多くの親子と面談を重ね、自身も娘と二人三脚で中学受験を乗り越えた花時弥生さんが、体験を元に本音でお答えします。

結果ではなく過程を認めて。褒めちぎるほど子供の気持ちは高まる

まず言いたいのは、世の親たちが思い描く理想と、子供の能力が一致するのはレアケースだということ。さらに良くないことに、親の理想が高ければ高いほど、子供のやる気はどんどん下がってしまいがちです。

子供の気持ちを高めるには「大げさなくらい褒める」

やる気が下がると成長は妨げられ、成績も上がらなくなります。すると親が「どうしてダメなの?」と怒り、さらに子供のやる気が下がるという、まさに「負のスパイラル」に落ち込んでしまいます。

子供の気持ちを高めるには、親が褒めることが何よりも重要です。どんな子でも、褒められて嬉しくない子はいないからです。そのため親がすべきなのは、テストの点数のような「結果」ではなく、何かに取り組む「姿勢」や「過程」を評価することです。結果が出ない時でも、その過程をとことん褒めれば、子供は必ず気持ちが上向きになりますし、安定するのです。

子供を褒める時は、大げさすぎるほど褒めてあげるのがコツ。周りで見ている人が「ここまで褒めるの?」というくらいでちょうどよいと思います。

褒められずに成長した子供の辛さ

私はキャリアアドバイザーの仕事を通じて、今までに何万人もの就活生の自己分析も見てきました。その中で中学校時代のことを振り返ると、ほとんどの大学生が「親に認めてもらいたかった」「褒めてもらえなかった」という言葉を発します。彼らはこの思いを中学・高校から大学まで、ずっと抱え続けているのです。

こんなこともありました。ある講演後に近付いてきた大学院生の話を聞き「学部ではなく受験して院に進んだの? 立派だね」と褒めたら、その男子学生は人目をはばからず号泣したのです。どうしたの? と聞くと「その言葉が嬉しかった。今までそんな風に言ってくれる人がいなかった」と言うのです。これまで家族から認められたと思える経験がなかったのかもしれません。彼だけではありません。この話を講演でするといつも多くの学生が涙します。

その度に私は、「子供は、大げさなほど褒めて育ててちょうどいいのではないか」と感じるのです。

「ありのままでいい」と認めれば、子供はいつも自信が持てる

子供を思い切り褒めることは、子供の気持ちを高めるだけでなく、受験対策を考える親にとっても有益です。なぜなら、子供の本当の力をきちんと把握することができるからです。

褒めることで正直な親子関係が築ける

私の娘は今高校生ですが、中学受験のころからどんな成績を取った時も必ず褒めてきました。普通の親なら怒るだろうという点数でも「全然勉強していないのに、この点が取れるなんてすごいね!」と、無理に褒めるところを見つけるのです。すると娘は、どんな点のテストも隠すことなく必ず私に見せるようになりました。

私はそれを全部見ることで、娘の状況を把握して「この弱点をどうしたら克服できるだろう」と対策を立てることができました。もしテストを隠されてしまったら、親は子供の問題点や課題点をみつけることができません。それは親が必ず見なければいけないものだと私は思っています。

どんな時でも親が受け入れ、認めてくれることは、子供にとって自信の基盤になります。そして、何でも話せる親子関係を築くことは、受験期に起きるさまざまな問題を乗り越える助けになるのです。

子供の「本当の姿」を親は喜んで

学校で悪さをする子供ほど親の前では「よい子」だと言われます。だとすれば、理想からほど遠いような子供の言動も、「本当の姿」を見せてくれているということですから、親として喜ぶべきことだと思います。子供のありのままを認め、褒めてあげることで、本当によい親子関係が築いていけると信じています。

※記事の内容は執筆時点のものです

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