中学受験ノウハウ 勉強法

合格率がアップする!? 集中力を鍛える勉強法とは

専門家・プロ
2018年6月13日 宇田川大輔

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受験合格を実現するためには、日々しっかり集中して勉強できているかどうかが大きなポイントです。時間の長短に関わらず、大事なのはいかに集中できているかにかかっているといっても過言ではありません。この重要な「集中力」を鍛える方法はあるのでしょうか。今回は受験生専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生にお話を伺ってみました。

集中力が鍛えられる?欧米で注目のスタンディング勉強法

学校の授業や会社のデスクをみてもわかるように、勉強や事務仕事は座ってするものというのが私たちの社会の一般的な認識だといえます。しかし吉田先生によるとどうやらその常識をうのみにしないほうがよいそうなのです。

「そもそも人間の脳は座ったときには休み、立ったときに活動するように設計されているものなんです。つまり、脳の活動状態を上げたいならば立つほうがいいというロジックになります。実際、アメリカや北欧の学校では、スタンディング勉強法が取り入れられているところが増えています。その名の通り、立った状態で授業を受けるスタイルが採用されているわけです。ビジネスの世界でも、いくつかの企業ではスタンディング会議を行っているケースもあります。立つという動作を取り入れることが、集中力をあげる、集中力を鍛えることにつながるのです。また、座っているときよりも立った状態の方が集中力は高まるという研究データも出ており、世界規模でこれからの教育の新たな潮流になるかもしれませんね。私のクリニックでも、診療に訪れる学生たちにはスタンディングでの勉強法を実践してもらっています。考えるときは立ち上がる、記述するときに座る、といった方法です。この方法は患者さんたちをみている限り、年齢が低いほど効果が大きいように感じます。結果、成績が伸びた子も多くいましたよ」(吉田先生)

そもそも「座りっぱなし」は脳の構造的によくない!

「人間の脳は、座っているときには『休む』と判断するしくみになっているので、座りながら頭を使う作業というものは、もともと人間の身体には少なからず無理があることなのです。脳の構造と噛み合っていないのですから。20万年に及ぶ人類の歴史の中で、座りながら頭を働かせるというスタイルは現代人だけの特徴です。長時間座りっぱなしで脳をフル回転させると脳に不自然な負荷がかかり、うつに繋がるケースもあるのですが、現代にうつが増えた原因のひとつにこうした現代的な働き方があると私は見ています」(吉田先生)

脳の生理に準じて「脳を活動させるときは立ち上がる」という方法を取り入れてみるのもいいかもしれません。受験本番ではなかなか難しいですが、普段の勉強時間には簡単に取り入れられるでしょう。吉田先生いわく、無理にスタンディングデスクは買わなくてもよいとのこと。算数ならば立って問題を考え、座って計算する。記述問題なら立って考え、座って解答を書き込む。これくらいのスタンスでよいのだそうです。集中力を鍛えたいと考えているならば、試してみる価値はありそうですね。

集中力を切らさないためには「子供の痔」にも注意

「ちょっと驚かれることかもしれませんが、私のクリニックでは、痔に悩み苦しんでいるお子さんを見つけることが意外にも多いんです。受験勉強で座っている時間が長いと、子供でもお尻の血液循環が悪くなり、痔を患ってしまうケースはけっこうあるものなのです。しかも、ほとんどの場合、親御さんは気づいていません。恥ずかしくてなかなか親にも相談できないというお子さんが多いからです。受験直前に発症したりすれば大きなハンディキャップになります。注意深くお子さんを見守ってあげて、もし座り方が少し変だなと思ったら、痔の可能性もあるということを念頭に置いておき、早めに気づいてあげてくださいね」(吉田先生)

集中力を鍛えるための味方にしたいスタンディング勉強法

人間の脳が活性化するのは立ち上がっている状態であるという事実を知り、その構造を活かした勉強方法について今回は教えてもらいました。集中力がない、集中力が続かない、と悩んでいるならば取り入れてみるのも手です。受験勉強に重要なのは、長時間の学習というよりは集中して学習すること。集中することで知識の吸収や学習内容の理解はより深いものになるはずです。大事な集中力を鍛えるためにすぐ実践できる方法として、スタンディング勉強法を試してみてはいかがでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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