中学受験ノウハウ ミス対策

「途中式を書かない」「面倒くさがる」雑さ・手抜きからくるミスの対策法

2018年7月03日 小坂井さと子

「テストの点数が低いので、どこを間違えているのだろう」と子供の答案を見ると、途中の式を書き飛ばしていたり、字を雑に書いて計算ミスをしていたり、問題文を読み飛ばしていたり……。このような雑さ・手抜き・面倒くさがりからくるミスが減らないわが子への悩みは、多くの保護者が抱えるものかもしれません。

そんな子に「ていねいに字を書きなさい!」「途中式を頭の中でやってしまわないで、答案に全部書きなさい!」「問題を読み飛ばすのをやめなさい!」と、どれだけ言っても、事態は改善しません。ここではそんな手抜き・雑・面倒くさがりからくるミスの対処法を紹介します。

「面倒くさい」が口癖のA君

■実例

「面倒くさい」が口癖のA君は、線分図を書くのも面積図を書くのも大嫌いで、「面倒くさい」と言って頭の中でやってしまいます。そのため、途中で行きづまることも少なくないのですが、A君は「わかっているから大丈夫」と聞く耳を持ちません。

このミスをしてしまいがちな子供のタイプ

・字や数字、作図など、どれも雑
・やる気がない、あっても長続きしない
・マンガやゲーム、遊びなど、勉強より興味のあることがある

子供は手抜きも雑さも面倒くさがりも、意識的にやっている

子供は、手抜きも雑に書くことも、意識的にやっています。ケアレスミスが「うっかり」やってしまうミスであるのに対し、手を抜いたり雑にやったり、面倒くさいとやらなかったりすることは、「どうすべきか」を知っていながら、それに従わない状態です。厳しい言い方ですが、「意識的な反抗行動」と言ってよいでしょう。

なぜそんな反抗をするかというと、決められたとおりに作図したり、線分図を書いたりすることによって得られる喜び(良い点を取ること)よりも、「今、面倒くさいことから逃れたい!」という気持ちが強いからです。親からすればとんでもないことですが、もともと人間には本能的に、利益を手にするより、目の前の煩わしさや、損失を回避することを優先してしまう傾向があるのです。

意識的な反抗行動が原因のミスには、感情面に訴える

こうした意識的な反抗行動に対しては、それが引き起こした失敗、あるいは今後起こす可能性の高い失敗(受験の失敗)にしっかりと向き合わせることが大切です。

「感情的になるな」「冷静に判断しろ」という言葉に見られるように、以前は感情は合理的な判断の障害になると考えられてきました。ところが現在では、「感情が正しく機能しなければ、正しい判断はできない」と考えられるようになっています。

たとえば、医療現場や生産現場での事故防止策でも、人間の感情面に注目した安全教育が取られるようになっています。重大な事故につながりかねなかった「ヒヤリ・ハット経験」があれば、その発生時にどんな気持ちだったかを言語化し記憶に定着させて、些細な経験として風化させない工夫がなされています。

これを子供の勉強にも応用します。「6と0を見間違ったせいで、点数を落として嫌になった」、「線分図を書かずにすまそうとして間違い、低い順位しか取れなくて悔しかった」「先生に雑な作図を指摘されて恥ずかしかった」などのマイナスの感情を、その都度、親がきちんと引き出してやり、自分で言葉にさせます。そうすることによって、不快な記憶として定着させるのです。

良い点を取る喜びよりも面倒くささの回避を優先する子供には、面倒くささを回避できる喜びよりも強く、悪い点を取って味わう嫌な気持ちをしっかりと体感させるのです。そうすることで子供の行動も変わってきます。

子供の変化を見つけてしっかりほめることも忘れずに

汚い字は、簡単にはきれいにはなりません。でも、手抜きや、面倒くさがりからくる「雑な字」は、本人の意識で変わってくるでしょう。親は子供の変化を目ざとく見つけることが大切です。改善のために子供が取り組みをはじめたら、その行為をしっかりとほめてあげましょう。少しずつ、わが子に変化が見られるはずです。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

学習塾講師・ライター。大学卒業後、10年間予備校に勤務。結婚、出産を機に退職し、その後は自分の子や近所の子に教えたり、寺子屋式塾で教えたりを続ける。受験生、受験指導、受験生の母親と3つの立場で受験と関わって30年。無事に大学生になった子供は、この春より塾でアルバイトを開始。自分が学んだことを教え子と分かち合い、さらにそこから学びを深めるという道筋を、わが子もたどってくれることに喜びを感じている。