中学受験ノウハウ 志望校選び

「出願倍率」「受験倍率」「実質倍率」中学受験の3つの倍率との正しい付き合い方

2018年7月04日 石井知哉

中学受験に限らず、受験では「倍率」という用語はよく耳にしますよね。倍率は偏差値と並んで志望校選びの目安となるものですが、じつは受験においてはさまざまな「倍率」があることをご存知でしょうか?

知っておきたい「倍率」の基礎知識

倍率と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、「倍率が高いと合格は難しい」というイメージ。これは正しい認識です。また、「人気校は高倍率」というのも、間違いありません。

たとえば、「2人のうち1人が受かる」という場合、2÷1=2で倍率2倍となります。単純に計算すれば、合格率50%となります。倍率4倍なら「受けた4人のうち1人が合格」なので、合格率25%です。倍率1倍だと「受けた1人のうち1人が合格」(少し変な日本語ですが)ですから、合格率100%となります。このように、倍率が高いと、それだけ「狭き門」ということになります。

段階によって異なる3つの倍率

ただ、ややこしいことに、「倍率」という言葉が意味するものはひとつではありません。「募集→入試→合格発表」と進むにつれて、次の3つの倍率が算出・公表されます。

【1】募集締め切りの時点→出願倍率
【2】入試終了の時点→受験倍率
【3】合格発表の時点→実質倍率

それぞれをどのように算出しているのか、詳しく見ていきましょう。

【1】出願倍率(応募倍率):出願者数÷募集人数

各中学校が、教員や教室の数などを元に「これだけの人数を募集しますよ」という数を公表します。これが募集人数です。これに対して「この学校に入りたいので試験を受けたい」と小学生・保護者が申し込みます。この数が出願者数です。この2つから算出した「募集人数に対する出願者数の比率」が出願倍率です。応募倍率とも呼びますが、同じ意味です。

【2】受験倍率:受験者数÷募集人数

受験者数とは「実際に試験を受けた人数」のこと。これと募集人数から算出した「募集人数に対する受験者数の比率」が受験倍率です。願書を出して受験の手続きはしたものの、実際には試験を受けないという受験者もいます。よくあるのは、次のような理由です。

● 上位の志望校に合格して進学先が決定した
● 体調不良で入試当日に欠席せざるをえなくなった
● 同じ日に別の学校を受けることにした
● 入試直前になって受験を断念した

特に、2月1日〜3日の入試で本命校に合格した受験生は、2月4日以降に受けるつもりだった「抑え(滑り止め)」の受験予定校の試験を欠席します。このため、受験者数は出願者数を下回り、募集倍率に比べて受験倍率は下がります。

【3】実質倍率:受験者数÷合格者数

中学校は各回の入試ごとに合格・不合格を判定し、合格発表を行います。ここで「合格した受験者の数」が文字通り合格者数ですが、どの学校も募集人数と同じだけの合格者を出すわけではありません。

というのも、合格者がすべてその中学校に入学するとは限らず、一定の数の入学辞退者が出るのが普通だからです。学校側の想定した入学者数を下回らぬよう、辞退者を計算に入れ、募集人数より多い人数に合格通知を出すのです。こうして算出した「合格者数に対する受験者数の比率」が実質倍率です。母数が増えた分、受験倍率より実質倍率は下がります。

このように、入試の段階が進むにつれ「出願倍率>受験倍率>実質倍率」と倍率が下がっていきます。逆に言えば、出願倍率と実質倍率の差がない学校は、それだけ第1志望校にされる人気校といえます。

「倍率」に対する望ましいスタンスとは?

では、受験生と親は倍率とどう付き合うべきでしょうか? 結論からいえば、「倍率は気にせず勉強する」という考え方が理想的だと考えます。倍率は努力で解決できませんが、努力によって学力を高め入試での得点を上げることはできるからです。

たしかに、倍率の低い学校の方が合格しやすいことは事実ですから、低倍率の学校を狙うというのもひとつの考え方です。しかし、合格判定基準はあくまでも入試の得点です。たとえ倍率5倍の難関でも、得点で合否判定する以上、学力を高めた分だけ合格に近付きます。ですから、倍率の高さに戦々恐々するより、その時間を受験勉強にあてるべきなのです。

そもそも、どうしても行きたい学校があるのに、倍率を気にしてその学校への出願を回避するのはもったいないことです。後悔にもつながります。もちろん、同じくらい入学したい学校の入試日が重なる場合に、倍率を受験校選びの参考にするのはありでしょう。

よりよい形で中学受験を締めくくれるよう、「倍率」を正しく知り「倍率」と賢く付き合うことを願っています。

※記事の内容は執筆時点のものです

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