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[セミナーレポート]「2020年 変わる受験 変わる英語教育」これだけは知っておきたい使える英語力の育てかた

専門家・プロ

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子育てを探究するお母さんのためのプラットフォーム「マザークエスト」が主催する特別授業が、7月1日、二子玉川ライズ・リバーフロントにて開催されました。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が代表を務める「マザークエスト」は、「クリエイティブに未来を創る力を持った子どもを育てる母たちの知的探究心に応える」をテーマとして、子育ての新たな発見と成長の場となるセミナーや勉強会をさまざま開催しています。今回は、気になっている人も多い英語教育について。

英語教育のプロフェッショナルを招き、「『2020年 変わる受験 変わる英語教育』これだけは知っておきたい使える英語力の育てかた」と題して行われたセミナーの様子をレポートします。

子供のためになる、本当に身につく英語学習とは

日差しの眩しい休日の午後、会場には赤ちゃんから高校生まで、さまざまな年齢層のお子さんを持った、多くのお母さん、お父さんが集まりました。子育てにおける新たな発見に、目を輝かせる来場者の姿が印象的でした。

今回のテーマは英語力の育て方。第一部では、京都造形芸術大学教授・副学長でアクティブ・ラーニングの先駆者、本間正人先生が登壇し、特別授業が行われました。

さらに、第二部では、英語教育に携わる専門家3名が加わり、子供との関わり方を中心としたトークセッションが開かれました。

2年後に迫る大学入試改革で、4技能(読む・聞く・話す・書く)評価が導入され、小学校から教科化される英語。小手先の解決法ではなく、子供と一緒に、どう学んでいくべきかというヒントをたくさん得られる講義となりました。

第一部 特別授業:英語力の向上のカギは、楽しむことと接触時間!

大きな拍手で迎えられた本間先生。冗談を交えた自己紹介からはじまると、会場は和やかな雰囲気へと変わりました。

最初に、学校教育の守備範囲だけで評価される「最終学歴」という考え方に異論を唱え、「社会に出てからも学習は続きます。人間が生涯学び続けることができるのに『最終学歴』と学習が終わるような考え方はもったいない。今日の授業を、学びのための気付きや発見に役立てていただき、最終学歴ではなく『最新学習歴』を更新してください」と切り出した本間先生。学習の本質をつく印象的なキーワードです。

続いて、今回のセミナーの本題である英語力の育て方については「英語の運用能力を築くためには、2000時間が必要です」というフレーズからスタート。「苦手意識をなくすためには、英語を楽しいと思わせ、自然と好きにさせることが大切です。そして英語への実接触時間を増やすことからはじめましょう」と提言しました。

授業の途中では、グループにわかれて英語を楽しみながら学ぶゲーム形式のエクササイズが行われました。知らない英単語があればお互いに助け合ったり、思い出せないスペルがあれば、頭をフル回転させたりと、参加者同士のコミュニケーションが自然と生まれ、笑顔の絶えない時間となりました。

こうしたゲームには、脳へのさまざまなアプローチが秘められていることを説明した後、英語の習得方法は人それぞれで、自分に合った方法は異なると語った本間先生。子供たちに英語触れさせる際にも意識しておきたいポイントです。

また、「自分の好きなことを題材にすると、学ぶことが楽しくなります。だから英語も、とにかく楽しくやっていけるよう工夫してください。楽しくする方法は、無限に存在します」と訴えました。

最後に「英語に対して苦手意識を持った親が、子どもに同じを思いをさせたくないという思いが強すぎることで、英語嫌いにさせてしまう可能性があります」と、子育てで陥りやすい負の側面を付け加え、親も一緒に楽しく学ぶという姿勢が大切であるとメッセージして第一部を終えました。

第二部 トークセッション:我が子を褒め、信じることで高める力

続いて行われた第二部のトークセッションでは、本間先生に加え、長年に渡って英語の学習環境を築いてきたラボ・パーティの川上優香さん、イングリッシュスタジオの加藤千絵さん、そして明星中学高等学校の鬼丸晴美さんといったプロフェッショナル3名が登壇。識者それぞれの英語指導の様子が披露されたあと、第一部と同様に、会場全体で対話しながら楽しむ英語のゲームや、自分の子どもを褒めるインターミッションなど、体験型のプログラムも催されました。

事前に寄せられたアンケートへの回答コーナーもリアルな親の疑問に答えてもらう貴重な時間になりました。1例を紹介しましょう。

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Q「どうやって使える英語と受験英語を両立させるの?」

A「目先の受験に対する不安にとらわれることなく、我が子がどんな人間に育ってほしいかを突き詰めて、探究してもらいたい(加藤さん)」

A「受験英語と使える英語を考える前に、自分でしっかり物事を見て好奇心を持ち、相手に伝えて共感する力を育てるべき(川上さん)」

A「中学生からは、自分で脳を育てます。子どもの脳を信じてあげてください。そして読書や、たくさんのことを体験させてほしい(鬼丸さん)」

それぞれの長年の経験をふまえた回答に会場の多くの参加者がうなずいていました。

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さらに、パネリスト全員共通の意見として「豊富な言語体験と好奇心を抱くきっかけをたくさん与え、お母さん自身が楽しむことが大事です」と結びました。

最後に「勉強するかどうかは、すべて本人が決めること。焦る必要はなく、子どもの力を引き出すために、将来役に立つことをやっているんだと勇気づけてあげてください」という本間先生からのエールを、子育てへの自信と力に変えた来場者のみなさん。

開始時とは明らかに違う晴れやかな表情を浮かべながら、特別授業の終わりを惜しんでいました。

「英語学習」というテーマとともに、子育てすべてに共通する「親子で探究すること」の大切さと楽しさを納得できるイベントとなったのではないでしょうか。

今後も、マザークエストではさまざまな学びの場を提供予定。メンバー登録(無料)をすると、いち早く案内が届きます。気になる方はチェックしてみてください。

マザークエスト

https://www.motherquest.net/

※記事の内容は執筆時点のものです

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