学習 理科

酸性の水溶液~共通する性質と完全に覚えるべき水溶液の特徴まとめ

2018年8月21日 東荘一

0

酸性の水溶液として完全に覚える必要があるものは、塩酸、硫酸、酢酸、炭酸水です。酸性の水溶液は名前のとおり酸っぱくて、青色リトマス紙を赤色に変える性質を持ちます。

果物が酸っぱくておいしいのはクエン酸など、乳酸飲料の酸味は乳酸によるものです。いずれも酸性ですが、前述の水溶液に含まれる酸とは異なります。

今回は完全に覚えるべき4つの水溶液の特徴を説明しますが、この記事は次の内容を前提にして掲載していますので、ご覧になられていない場合は参考にしてください。

酸性の水溶液~強い酸性の水溶液(塩酸・硫酸)

pHが「7未満」の水溶液は、値がゼロに近づくほど強い酸性を示します。4つの水溶液を強い酸性の水溶液(塩酸・硫酸)と弱い酸性の水溶液(酢酸・炭酸水)とに分けたうえで、各水溶液の特徴を説明していきます。はじめは強い酸性の水溶液です。

塩酸

中学受験で覚えるべき水溶液のうち、「水」「水溶液」という単語がつかないのは、「塩酸」「硫酸」「酢酸」の3つです。慣習からこのように呼ばれると思われますが、名前ですからしっかり覚えましょう。

塩酸には気体の塩化水素が溶けているので、正確には「塩化水素水溶液」と呼ぶべきでしょうが、西洋科学技術が日本に入る際の和訳が「塩酸」となって以来、そのまま使用されているようです。

塩化水素は「水に溶けやすく」「空気より重い」気体ですから、実験室で塩化水素を発生させたときに収集する方法は「水上置換法」ではなく「下方置換法」であることは、覚えておいたほうが良いでしょう。

濃い塩酸は無色の液体で、強い刺激臭があります。胃液には塩酸が含まれていて、食物を消化するという大切な役割をはたしています。

硫酸

硫酸は無色無臭の液体です。濃い硫酸に水を混ぜると熱が発生して、加えた水が沸騰し飛び散る危険があるため、うすめる際は少しずつ加える必要があります。

日常生活で接する機会はほとんどありませんが、工業用品、医薬品、肥料などで非常に多く利用されています。そのため代表的な酸性の水溶液として、理科にも登場してくるのでしょう。

強い酸性の水溶液である塩酸と硫酸は、金属を溶かして水素を発生させる性質があります。

・アルミニウム・亜鉛を加えると水素がはげしく発生する
・鉄を加えると水素がおだやかに発生する
・銅を加えても溶けず水素も発生しない

以上は必ず覚えておきましょう。

酸性の水溶液~弱い酸性の水溶液(酢酸・炭酸水)

冒頭で紹介した前提となる記事に記載したように、pHとは「水素イオン濃度」のことです。塩酸・硫酸などは水溶液中の水素イオンの量が多く強い酸性を示し、酢酸・炭酸水などは逆に水素イオンの量が少なく弱い酸性を示します。

以上は知識として必須というわけではありませんが、のちの「中和」を考えるために参考になりますので、受験生としては頭に入れておいた方が良いと思います。

酢酸

酢酸は無色刺激臭のある液体で、調味料として利用される食酢には数パーセントの酢酸が含まれています。身近なところでは食酢しか接する機会はありませんが、じっさいには酢酸が食酢に利用される割合は低く、工業用として重要な液体です。

中学受験で覚えるべき水溶液で刺激臭があるのは、酸性の「塩酸」「酢酸」とアルカリ性の「アンモニア水」3つですから、受験問題という視点からは重要な液体といえます。

炭酸水

炭酸水は、水に気体の二酸化炭素が溶けた水溶液です。二酸化炭素は水に少し溶ける気体ですから、大量生産する際には水と二酸化炭素に圧力をかけて人工的に作ります。

気体の二酸化炭素の性質は重要なので、完全に覚えておきましょう

1) 無色無臭で空気より重く(約1.5倍)、水に少し溶ける
2) 燃えない
3) 石灰水に溶けて、白くにごる
4) 水酸化ナトリウム水溶液に溶けやすい
5) 固体はドライアイス

1番目の性質から、気体の収集方法は水上置換法(少し溶けるが可能)または下方置換法です。3番目の性質から、水溶液の問題で「白」が出たらこの性質を頭に浮かべます。4番目の性質は、光合成に二酸化炭素が必要であることを確かめる実験でも利用されます。

まとめ

酸性の水溶液として、強い酸性の水溶液(塩酸・硫酸)と、弱い酸性の水溶液(酢酸、炭酸水)を紹介しました。まとめると次の通りです。

◎ 酸性の水溶液で刺激臭があるのは、塩酸と酢酸です。
◎ 塩酸と硫酸は、アルミニウム・亜鉛・鉄を溶かして水素を発生させます。
◎ 炭酸水に溶けている気体の二酸化炭素については、性質を完全に覚えましょう。

それぞれの特徴をしっかりと整理して覚えましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

0