連載 集中力アップの秘策|ドクター吉田

試験中に問題文を指でさせば集中力が上がる! 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の集中力アップの秘策(2)


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親はお子さんに、試験中できるだけ問題文を指でさすように指導してください。たったそれだけのことで、子供の集中力は大幅に高まってくれるのです。

試験中に問題文を指でさせば集中力が上がる!

人間の脳には、尖ったものを見ると自動的に集中力を高め、その先端に注意を払おうとする本能があります。敵が持っているヤリや動物のキバなど、尖ったものは自らの身体に危害を及ぼす危険があります。だから、ぬかりなく警戒するためにこうした性質が備わったのです。

しかし、試験中、利き手は鉛筆などを持っているため、こちらの手で指をさすと貴重な時間をロスしてしまいます。そこで、私が代表を務める受験医学研究所では、利き手と反対の手で指をさすよう指導しています。

通常、利き手と反対の手は、試験中、問題用紙を押さえる文鎮くらいの役にしか立っていません。そこで私は、利き手で問題を解きながら、同時に反対の手で大事な部分を指させばいいということに気づいたのです。受験生ははじめこそ戸惑いますが、1時間ほど練習したら、誰でも自然にできるようになっています。

指差しがケアレスミスを防ぎ、純粋に問題を解く能力も向上させる

マークシートの塗り間違いや問題文の読み間違いは、大量失点や大きな時間のロスにつながるため、入試では致命傷になりかねません。もともとは、こうしたケアレスミスを防ぐため、試験中に指をさす対策を取り入れました。もちろん、これによって無駄な失点を大幅に減らせるので、それだけでも実践する値打ちは十分にあります。

ただし、それ以外にも、指をさすことには受験生にとって大きな利点があることがわかってきました。集中力は、学術的な研究では「CPT(持続的注意集中力検査)」という方法を用いて評価する場合が多いのですが、受験生を対象に行った実験では、指をさすだけでCPTのスコアが平均して18%も改善したというデータが得られています。

つまり、集中力が高まり、純粋に問題を解く能力も向上してくれるのです。このように二重三重にメリットがあるので、ぜひ、試験中に指をさす対策を取り入れてください。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


■バックナンバー

▼脳を育てる勉強法

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※記事の内容は執筆時点のものです

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