連載 集中力アップの秘策|ドクター吉田

落ち着きのない子供の成績を上げる秘訣! 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の集中力アップの秘策!(9)


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「うちの子は落ち着きがなくて、じっくり机に向かって勉強してくれません!」

そんな悩みを抱え、私のクリニックにお子さんを連れてこられる親御さんは少なくありません。確かに私が問診をしている最中も、モゾモゾと足を動かしたり、自分の髪の毛や服を触ったりと、とにかくじっとしていることができません。普段、勉強させるのに奮闘されている親御さんの苦労が目に浮かんできます。

このような症状が病的に重い場合は、ADHD(注意欠陥多動性障害)と呼ばれる発達障害の可能性があるので、私たち医師の診察をお受けになることをおすすめします。ただし、心身ともに健康であっても、子供の脳は、身体を動かすことで機能を活性化させるように設計されているため、そもそも机に向かって勉強するということが子供の生理に合っていないのです。

落ち着きのない子供には身体を動かしながらの勉強が効率的

では、落ち着きのない子供に勉強をさせるには、どうしたらいいのでしょうか。脳機能についての医学研究が導き出した結論は、イスに座りながら勉強するスタイルとやめてしまうべきだということです。

立ち上がってもいい。歩きまわってもいい。とにかく、子供の姿勢は、自由にさせればいいのです。勉強の本質は、脳に情報をインプットすることです。それさえできれば、イスに座り続ける必要はないのです。

実際、アメリカで子供を対象に実験が行われましたが、おとなしくイスに座っているときより、身体を動かしている瞬間のほうが、ワーキングメモリと呼ばれる脳機能が高まるというデータが得られました。つまり、嫌がる子供を無理やりイスに座らせるのは、子供の脳に効率の悪い勉強スタイルを押し付けているのと同じだということです。

とはいえ、立ち上がって勉強をするには、それなりの工夫が必要です。私がおすすめしているのは、部屋の壁のそこら中に模造紙を貼っておくこと。そこに落書きするように漢字を書いたり、計算をしたりすると、座らなくても勉強ができます。私のクリニックでは、このようなあの手この手の作戦で、落ち着きのない子供に勉強をさせ、成績のアップを実現させています。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


■バックナンバー

▼脳を育てる勉強法

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※記事の内容は執筆時点のものです

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