連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

中学受験を選ぶ場合の注意点|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(4)

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2016年6月16日 鳥居りんこ

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あなたが特に今まで、なんの問題も感じずに、保育園・幼稚園・小学校の先生方からも特別、注意を受けた記憶がないならば、どの段階で教育費をかけてあげればいいのかの総合的判断をしてください。

公立中学校を含めた選択になりますが、学区中学の様子、高校受験の内申を含めたシステム、部活と各種検定試験と塾のバランスなどを、ご近所ネットワークなどを使って情報収集することが重要になります。

そのうえで私学の選択もありか? という目で見る方が視野は一層広がります。

知的な刺激が足りないなら私学へ! ただし公立がいい場合も

教室の浮きこぼれとなっているお子さんをお持ちの母。今現在、とても残念なことに教室では勉強が出来る子を揶揄する風潮がなきにしもあらずなんですが、もし知的レベルの刺激が足りない!とお子さんが思っておられるならば、それは私立GO! のサインです。

教師を含めた「知的好奇心」の塊がウジャウジャいる環境にお子さんを置いてあげましょう。

ただし、これにはひとつだけポイントがあります。「一神教」を是とするか「多神教」を是とするかについて、お子さんがどちらのタイプかを判断する必要があります。

関東で一番偏差値の高い私立中学でこういうことがありました。そこに入学したお子さん(当時中2)がアタクシにこう言ったのです。

「オバさん(筆者)、俺、学校、辞めて、地元に帰るわ」

アタクシは仰天しました。

「ええーーー!? もったいなっ!! そこ、どこだと思ってんの?」

少年はこう答えました。

「俺さ、今まで地元では『神』だったんだけど、ここさ『神様だらけ』なんだよ」

つまり、幼い時から地元では唯一絶対神の存在だったこの俺さまが、気付くと神々の国にいたってことらしいです。

このように一神教タイプのお子さんは地元で君臨した方が崇め奉られますし、一方で神々の国で切磋琢磨したいという多神教タイプのお子さんは私立中高一貫校が良いということになります。

育てにくさを感じているようなら、注意が必要

あなたのお子さん、育てやすいですか?

育てにくいというお子さんをお持ちの母、いますよね。これは、かなり補助スタッフの力が必要というケースを指します。

この場合、公立の方が手厚いことが多いです。私立は預かった生徒を、まとめてどうにかすることは得意なんですが、ひとりに人員を割くことを財政面から苦手としている学校が多いのです。

さらにつけ加えるならば、小学校のときに人間関係のもつれ以外の理由で不登校となっているお子さんの場合、私立は向かないです(人間関係のもつれの場合はリセットする意味でも私立、ご検討ください)。

私立はある意味、枠がはっきりしていて、規格外については慣れていないので、結果として放校判断ということに繋がることがあります。そうなると道はかなり狭められてしまうので、なにがなんでも私立中高一貫校という選択は慎重に判断してください。

一番、母が頭を悩ませるのは「わが子が育てにくいような気がする」ケースです。

昔、漫画家の青沼貴子さんに青沼先生のお母さまの言われた言葉として「幼い時、手がかかる子は一生手がかかる」というものを教えて頂いたことがあります。

名言だと思いますが、母の直感で「この子、なんか手がかかるなぁ」というような気がした場合、それはあたっているんだと思われます。

こういうタイプこそ、注意が必要で、どういう環境に置いてあげたら、この子は自分の良さを発揮できるだろうかというところに焦点をあててみてください。

次回はこのタイプのお子さんがどう花を開かせていけばいいのかについて解説しましょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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