連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

大学合格実績をチェックしましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(27)

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2016年12月08日 鳥居りんこ

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私立中高一貫校は各校の教育理念のもと、生徒たちを社会貢献ができる人間に育てようと一生懸命です。

要するに世のため、人のために生きることができる人間の方が、結局は幸せ度が高いという実感があるためだと思います。

そこで、生徒の芽を出すために、いろいろな行事にも力を入れるわけですが、当然ながら、学力を上げていくということが第一優先になってきます。知識や知恵がなければ、人のためになる仕事をすることができないからです。

知識や知恵のレベルをどこに持っていくのかは各校によっても違いますが、少なくとも、本人が望む進路に達するだけの知性を養うということはどこの中高一貫校であっても、一番核としている部分です。

これを端的に見る方法があります。

大学合格実績からお子さんが身につけるべき学力レベルの学校か検証してください

各校がHP上で公開している「大学合格実績」を見れば良いということになります。

まず、合格実績だけを出しているのか、それとも実際に通っている進学実績を出しているのかに注目します。

合格実績だけを出している学校ですと、それが正確な数字かどうかが読み取れないからです。

国公立大学は複数の大学を受験できないシステムなので、この数字は信用できますが、例えば、慶応1、早稲田2、上智1、明治2などと書いてあっても、その数字は全部同一人物という可能性もあるのです。

こころある学校ですと、合格実績と進学実績の両方を公開してきますが、まだ数に自信がない学校さんになると、実数公開をためらうところも出てきます。

また「ここ5年間」の数字ということで、5年まとめての数を掲載するケースもありこれだと何が何だかわからないということになりますし、大学進学に対して、卑屈に感じているのかな?と勘ぐってしまいます。

「今現在」の具体的な数字を正直に公開している学校の方がこれから何をどう伸ばせばいいのかをきちんと考えて、実行しようとしている機運に満ちている率が高いので、もし「出口」も大事と思うのであればここのチェックは必須になります。

そして、その実数を見るポイントがあります。

上位はどうでもいいので、ボリュームゾーンを見るのです。どこの大学に一番、進学しているか(または合格しているか)を見ていきます。

それがGMARCHレベルなのか、日東駒専レベルなのか、そういうことに注目しましょう。一番、進学者が多いというゾーンが、今のその学校の大学に対するレベルになります。

最下位層の生徒がどの大学に進学しているかが、その学校の実力を示しています

そして、大学合格実績の数字を見るうえで大事なことがあります。

全生徒の行き先を公開している学校も多くありますが、最下位に近い、いわゆる深海魚層がどこの大学に行っているのかを見ていくことがとても大事です。

もし、公開していないのであれば、学校説明会の個別ブースで聞いてみてください。

深海魚層がどこの大学の学部学科に行っているかで、その中高一貫校の本当の実力がはっきりとわかるのです。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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