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「本物」にこだわっているかを見てみましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(28)

専門家・プロ
2016年12月15日 鳥居りんこ

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私立中高一貫校の良さに「本物にこだわる」ということが挙げられます。若い時期にこそ「本物」に触れ、興味を刺激し、文化度を高めるという狙いがあると思われます。

「本物にこだわっているかどうか」は学校を選ぶ際の大切な視点になります。ここでは例としてふたつの学校を取り上げてみましょう。

玉川学園では本物のバイオリンを1から作るという経験も

ひとつは玉川学園です。こちらは広大な敷地内に幼稚部から大学院までを有している学校ですが設備がすごいです。

一例を挙げれば最新鋭のデジタルプラネタリウムを所有していて、これは星空だけではなく自作映像を360度のドーム全体に映し出すことができる優れものです。

バカロレアクラスを持っていることでもわかるように、世界に目を向ける教育にも熱心です。国際的な学校連盟「ラウンドスクエア」の日本唯一の加盟校として生徒を国際会議に出していき、経験を積ませていることなどが一例になります。

玉川学園では全員必修の「自由研究」で「本物を作る体験学習」もできます。例えば、7年生(中1)で希望すれば、1からバイオリンを作り、2~3年間(年数は生徒それぞれの技量による)の歳月をかけて、実際に弾ける楽器として完成させるまで頑張るのです。

ニュース等で報道されましたので、ご存知の方もおられるかもしれませんが、石垣島からサンゴをもらってきて、それを校内で飼育繁殖させて石垣島に返すということにも取り組んでいて、2015年には日本サンゴ礁学会で9~12年生(中3~高3)がその研究成果を発表するという出来事もあったようです。

さまざまな体験学習を生徒に悪戦苦闘させながら、長い時間をかけて取り組ませているという(決して一日体験ではない)ところが軸を持った「本物」だなぁと感心するところです。

品川女子学院では実社会で即必要とされる経験ができる

もう一校のやり方をご紹介しましょう。品川女子学院です。

品川女子学院は大学進学のさらに先を見据えて生徒を指導している感が強い学校のひとつですが、さまざまな攻めた取り組みを行っていることで有名です。

例えば、中3が主体となる企業コラボです。 名だたる企業と組んで、市場調査から商品開発までを手掛け、実際に生徒が考えた「商品」をコンビニ・スーパー等で販売するところまでを行っています。

直近では伊藤ハムと組んで「女子高生のお弁当のおかずとして食べたいもの」というコンセプトのもと「テリーヌdeシキリーヌ」を発売、キユーピーとコラボして「パンと焼きたてアップルパイ」を発売、 今年は「アースミュージック&エコロジー」と組んで、学生向けコートを学年全員が考案しています。

このように「本物」を追究したという経験と自信は、子供たちのこれからの人生を支えるひとつの大きな柱になっていきます。

私立中高一貫校であるからこそできる体験が「本物にこだわっているか」ということになります。こういう視点で学校を見るということも大切なことなのです。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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