連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

今まで以上に吟味して受験に取り掛かりましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(29)

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2016年12月22日 鳥居りんこ

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ご存知のように、この春、政府は初等中等教育からのプログラミング教育を必修化する方針を明らかにしました。「名目GDP600兆円に向けた成長戦略」の中に盛り込まれたもので、2020年度からの新学習指導要領に盛り込む方針で検討されています。

この波は決して他人事ではありません。我が子の将来を考え、どのような教育が必要かを改めて見つめなおす必要があります。

進まないプログラミング教育の現状

今現在は、小学校ではプログラミングは「一日体験」くらいのものです。また、中学では「技術・家庭」で「プログラミングと計測・制御」というものが2012年より必修になりましたが、現状では、このプログラミングの授業に充てられる時間は中学3年間で数時間という学校が主流です。

高校になると選択科目になるので、学ぶ機会がそもそもないという生徒が8割ほどになるという話もありますが、これさえもSNSのリテラシービデオを見せて「おしまい」に代表される浅い講義で、なかなかその本質までには至らないことの方が多いという現状があります。

下手をすると教師よりも生徒の方が余程、腕は上という笑えないケースもあり技術革新に現場の教師の力量が追いついていかないという問題点が浮き彫りになっております。

プログラミング教育必修化をどうとらえるべきか

それを踏まえての「2020年には必修科目」ということになるのですがこれをどう捉えていくのかでも学校選びが変わってきます。

安倍総理が「日本の若者には、第四次産業革命の時代を生き抜き、主導していってほしい」(産業競争力会議にて)と明言されたように、これから先の時代を生きるデジタルネイティブ第2世代と呼ばれるわが子に「高度IT人材」となれる力を社会に出る前に身に着けさせるべきか「いや、誰もが(新成長戦略にあるような)アニメ制作の技術を習得する必要はない」と考えるのかにもよります。

今でも携帯電話の持ち込みを禁止する学校もありますし、その所持が見つかっただけで親の「反省文」が必須の学校もあります。

私調べではありますが、そういう学校さんの2020年対応への動きはかなり遅く「情報」よりもほかのことに時間を使いたいと考えているようです。

その一方で、すでに全生徒に対し、ひとり一台のiPadというような教育をやり始めているところもありますし、携帯に関しても所持へのルールが厳格な学校、全くフリーな学校とさまざまです。

今、教育界ではアクティブラーニングが主流となりつつありますが、そのためにITを駆使しようとする学校と従来の枠組みの中で対応するという学校に分かれる傾向があるのです。

良い悪いではなく、親もこの情報革新の中、どういう未来が待っていて、そのためにわが子にはどういう教育を授ければ良いのかを、今まで以上に吟味して受験に取り掛からないといけない時代になったということが言えるでしょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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