中学受験ノウハウ 志望校選び

中高一貫校の「キャリア教育」学校独自の取り組みや卒業生の活躍を調べてみよう

2018年10月09日 花里京子

文部科学省が提唱する「キャリア教育」。文科省が「キャリア教育」を強く訴える背景には、グローバル化する社会に適応できる人材を育てることだけでなく、「生きる力」や「他者理解」を深めたいという想いがあるのかもしれません。

これまで私学では独自のキャリア教育プログラムを実施してきましたが、ここ数年はさらに熱を帯びてきています。

キャリア教育とは

少子高齢化による労働力の低下に、社会問題にもなっているニートや引きこもり。日本が抱える労働問題は、深刻さを増しています。

グローバル化する社会の中での日本を考えたとき、若いうちから正しい職業観をもち、自立することの大切さを理解してもらおうというのが「キャリア教育」の狙いです。具体的には、職業体験や他者との関わりを通して、早いうちから働く意義について考えたりする学習があります。

文科省が提唱する「キャリア教育」

文科省によると、キャリア教育が提唱された背景には「20世紀後半におきた地球規模の情報技術革新に起因する社会経済・産業的環境の国際化・グローバリゼーションがある」とのことです。

社会の変化は、子供たちの職業観や価値観にも影響を及ぼしています。グローバル化する社会を生きるためにも社会人としての自覚を養い、自立する「生きる力」を育てる。これが、文科省が目標とする「キャリア教育」です。

文科省の見解を要約すると、以下のようになります。


キャリア教育の定義

一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月31日)

文科省が学校教育に求めているもの

「生きる力」の育成〜確かな学力、豊かな人間性、健康・体力

社会人として自立した人を育てる観点から

・学校の学習と社会とを関連付けた教育
・生涯にわたって学び続ける意欲の向上
・社会人としての基礎的資質/能力の育成
・自然体験,社会体験等の充実
・発達に応じた指導の継続性
・家庭/地域と連携した教育


詳しい必要性と意義はインターネットで公開されているので、興味のある方は閲覧してみてはいかがでしょう。

中高一貫校におけるキャリア教育

中高一貫校では学校独自のキャリア教育を行っています。「総合的学習」でも「アクティブラーニング」でも、時代の流れを読み取り、いち早く教育に取り入れてきました。キャリア教育の根底にある「他者との協働」や「グローバルな社会を見据えて」という考えは、多くの私学で創立当初から“理念”として存在していたものなのです。

そう考えると、最近のキャリア教育の傾向は「時代が私学に追いついた」ともいえるでしょう。ここ数年の私学のキャリア教育への取り組みはさらに熱く、ある女子校の卒業生は「自分たちの時代にはこんなに熱心にキャリア教育をしていなかった」というほど。私学は「いま」のさらに先を走っているのです。

私学のキャリア教育

私学で行うキャリア教育は、「講演会」「調べ学習」「体験学習」に大きく分類できます。

「講演会」の例を挙げると、桐光学園(共学校)には、その内容が書籍化もされている「大学訪問授業」というものがあります。これは、大学や第一線で活躍する著名人を学校に招いて講演を聴くといった授業です。

詩人の谷川俊太郎氏や坂本龍一氏、ノーベル賞受賞者などバラエティー豊かな講師がこれまでに登壇しています。講義の最後に直接質問もできるとあって、私学ならではの贅沢なプログラムです。

ほかにも、生徒の保護者や関係者を招いた職業講演会を行っている学校は多数あります。

「調べ学習」においては、法政大学第二中・高等学校に「高校3年3学期」というプログラムがあります。これは自分が進学する学部や学科に応じたテーマで調べ学習をするというもので、企業訪問などの学外フィールドワークも行います。

「体験学習」もキャリアプログラムのひとつです。例えば千葉日本大学第一中学校では、東北のある自治体の協力を得て、農家にホームステイするというプログラムを行っています。

朝早く起きて農作物の収穫の手伝いをする、いつも家族が揃って食事をとるなど、地元の子供たちにとっては特別なことではない体験ですが、都会で暮らす中学生にとってはあまりない経験です。つまりこれもひとつの“異文化体験”で、他者を理解するという「キャリア教育」につながるのです。

外部団体が行うキャリアプログラムも増加中

学校独自の取り組みも充実しているのですが、最近よく聞くのが、学校以外の団体(NGO)などが行うプログラムに参加するという話です。

例えば「トワイス・プラン」というプログラム。これは、自分史を書いたり、企業から出された課題に挑戦したりといったユニークな取り組みで、子供たちの「主体的な人格形成、職業観、道徳観の育成など、社会に出たときに必要となる力を育む」ことを目的としているものです。

コンテスト形式になっていて、全国大会では他校の生徒と顔を合わせることもあります。他校の生徒と交流することで、普通の学校生活では経験できなかった良い刺激を受けることもありそうです。

また、認定NPO法人カタリバが事務局を務める「マイプロジェクトアワード」というものもあります。「身の回りの課題に対して自ら考え、行動し、プロジェクトを発表する」という内容で、生徒たちが考えた企画を大学の先生や、社会で活躍する大人たちがアドバイスしてくれます。実社会に出たときに必要な「発信力」も養えそうなプログラムとして注目されています。

卒業生の活躍

私学では「社会のリーダーをめざす」ことを目標としている学校が多くあります。4年制大学はもちろん、大学院に進む生徒もいて、研究者や医師、弁護士など専門職に就いて活躍している例も多くみられます。

中高一貫校での学びは「就きたい職業に就くための学び」、あるいは、「将来の選択肢を広げるための学び」です。6年間の学び方次第で、医師にも新聞記者にもなれます。なかにはイラストレーターや小説家、タレントなど芸術分野で秀でた才能を開花させることもあるでしょう。国内の職業だけではなく、海外で働くことも夢ではありません。私学の学びはその可能性を広げるためのものなのです。

お子さんが希望する学校の卒業生がどんな職業に就いているのか、また、どんな著名人がいるのか、調べてみるのもいいですよ。

おわりに

志望する私学でどんなキャリアプログラムが用意されているのか、親子でぜひ調べてみてください。卒業生を見ると、校風や将来の進路の傾向がわかるかもしれません。卒業生がどんな職業に就いているかは、学校のパンフレットにインタビューが掲載されている場合があります。ぜひチェックしてみてください。

 

※記事の内容は執筆時点のものです

合わせて読みたい