2019年度入試で注目したい3つの国際紛争と地域紛争
受験までわずかな期間となり息子と時事問題の対策に取り組むなかで、苦戦した分野があります。戦後に世界中で発生している国際紛争や地域紛争についての時事問題です……。調べると過去の入試でも民族紛争や難民について多くの学校で出題されており、おさえておく必要がありそうです。2019年度の入試で注目すべき国際紛争や地域紛争を3つピックアップしてみました。
Contents
地域紛争や国際紛争ってどんなもの?
まずは国際紛争や地域紛争がどんなものであるかとその事例を把握するところからです。
紛争とは一言で表すと「もめ事」のこと。国と国の戦争や、1つの国の中で発生する内戦まで様々です。ちょっとわかりづらいですね……。
つかみどころ無いものを理解するメジャーな手法として分類をして考えるというものがあります。ではさっそく分類してみましょう!
争点で分類すると5種類
ブリタニカ国際大百科辞典によると第二次世界大戦後の地域紛争は「争点」を切り口にして、以下の5つのタイプに分類できます。ほかにもさまざまな分類がありますが、小学生の息子にもスンナリと理解できたのがこの分類でした。
分類1:領土をめぐる紛争
分類2:正統な政府の地位をめぐる紛争
分類3:影響力を増大するための紛争
分類4:植民地からの独立をめざす紛争
分類5:文化などの違いから対立する民族紛争
出典:ブリタニカ国際大百科辞典「地域紛争」の項
入試問題ではパレスチナ紛争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、シリア内戦、コソボ紛争、チェチェン紛争など多岐にわたって出題されています。特にキリスト教系の学校ではパレスチナが問題文に出てくることが頻繁にあります。
特に長期化し解決が難しいのは民族間の紛争
特に解決が難しく長期化する傾向があるのが民族紛争です。例えば、パレスチナ紛争(パレスチナ問題)は、宗教の異なる民族が領土を争う紛争です。パレスチナの中心部にあるエルサレムはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地であり、その土地の帰属を争う紛争が、今も続いています。
2013年の雙葉中学校の入試問題ではパレスチナ問題の概要を問う問題が出題されています。この問題は入試と切り離したとしても知っておくべき世界情勢なので、親子で話してみるのもよいでしょう。
時事ニュースに関連する3つの紛争をピックアップ
さて、2017年~2018年にかけて注目されている時事問題に関連する紛争を3つピックアップしてみたいと思います。
まずは何といっても朝鮮半島の南北首脳会談に関連した朝鮮戦争があげられます。日本に近いこともあり朝鮮半島の情勢は入試にもよく出題されます。
2つ目はオリンピックとも関連がある南スーダン内戦についてです。昨年度あたりから東京オリンピックに関連付けた出題が目立ちますが、リオ五輪では長らく紛争状態である南スーダンが初参加を果たし、難民選手団の参加が話題となりました。
最後はドイツの難民受け入れに関連してシリア内戦についてです。2018年に入ってからもドイツの難民に関するニュースはたくさん報道されました。それでは3つの紛争の詳細についてご覧ください。
朝鮮戦争:北朝鮮と韓国の南北首脳会談
地理的、そして歴史的にも日本に近いこともあり、よく出題される朝鮮半島の情勢です。2018年の4月に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長による南北首脳会談が行われました。
1953年から休戦中である朝鮮戦争の当事者である両国のトップが手をつないで軍事境界線(北緯38度線)を跨いだのですから歴史的と言えるでしょう。
そもそも朝鮮戦争って?
そもそも朝鮮戦争がわからないと入試問題も攻略できません。朝鮮半島には2つの国があることはご存知のとおりかと思います。韓国(大韓民国)と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)です。
第二次世界大戦の終結後、日本統治下にあった朝鮮半島は連合国軍政下に入り1948年に資本主義の韓国と社会主義の北朝鮮が建国されました。
そして建国からわずか3年後の1950年、朝鮮半島の主権を巡る戦争が勃発します。
北朝鮮が韓国に攻め込んだのがきっかけです。この戦争…アメリカが支援する資本主義の韓国と、ソ連が支援する社会主義の北朝鮮の戦いであり代理戦争であるといわれています。そして1953年に両国で休戦協定が結ばれ、実は現在も休戦中なんです。
入試に出題 ―― 基本事項はおさえるべき!
そんな2つの国が2018年に歴史的な会談を行ったのですから入試には関連事項がでるかもしれません。
例えば軍事境界線の緯度は確実に答えられるようにしましょう。他には何をおさえておけばよいのでしょうか? 韓国併合の年号は? 韓国の首都、北朝鮮の首都は? 朝鮮戦争が勃発したことによる日本への影響は? しっかりおさえておきましょう!
南スーダン内戦:オリンピックに関連した問題が頻出
2013年にブエノスアイレスで2020年の夏季オリンピックが東京に決定してから、中学入試でオリンピックに関連した問題が頻出するようになりました。
1964年に開催された東京オリンピックの年号から、新幹線や高速道路の話題まで……。
南スーダンがオリンピック初参加
アフリカにある南スーダンは2011年に国連に193番目に加入した世界で最も新しい国です(2018年11月現在)。その南スーダンは2016年のリオデジャネイロのオリンピックで初参加を果たしたのです。この南スーダン……実は長らく紛争中にあった国なんです。
スーダン共和国は1956年に北部も南部も統一して独立したが北部の政治的・経済的支配に内部の住民が不満を抱いていました。
1983年に南部スーダンが反乱を起こし紛争(内戦)が勃発しました。そして2011年に独立のための住民投票が行われスーダンから分離独立をしました。しかし独立後もクーデター未遂が起きるなど内戦が継続しています。
シリア内戦:紛争に伴う難民問題
最後は難民の受け入れについてです。災害や紛争で元々自分の住んでいる地域に住めなくなってしまった人々を難民といいます。
彼らはどうやって生活を続ければ良いのでしょうか? 行き場を失って問題となっていた2015年。ドイツのメルケル首相は難民の受け入れを表明したのです。
積極的に難民を受け入れたドイツ
2015年にメルケル首相が難民の受け入れを表明してから、1年間で80万人以上の難民がドイツに入国しました。
中学入試で気にしなくてはならないのは……日本はどうかという事です。ドイツが多くの難民を受け入れる中、日本の2015年の難民受け入れは27人でした。入試問題にもガッチリ出ていますのでおさえましょう。
ちなみに、日本の難民の受け入れの機関はどこでしょうか? 法務省ですね。これも入試問題で出題された事があります。
昨今EU各国でも難民の扱いで意見が対立している
難民を受け入れたはいいけど問題も多発しています。人口8000万の国(ドイツ)に80万人もの難民を受け入れたので当然といえば当然ですが、難民受入に掛かる費用、治安の悪化、難民にまぎれて入国したテロリストの犯罪……問題は日々、日本のニュースでも報道されています。
まとめ
中学入試のクセモノのひとつである時事問題。私の息子が特に苦戦したのが世界情勢、国際紛争や地域紛争です。すべてをおさえるのは難しいかと思いますが、日本と関連が深く、歴史的に話題が集中する事項をおさえる事で入試に最大限の効果を果たしたいと考えました。ぜひご参考に!
※記事の内容は執筆時点のものです
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