愛知用水とは? 供給元と供給先をセットで押さえよう!
愛知用水とは、愛知県にある巨大な用水路のことです。用水路とは、乾燥した土地に水を運ぶために人間がつくった小さな川のようなもの。郊外に住んだことがあれば頭のなかに映像が浮かぶかもしれませんね。田んぼに水を引く、あの用水路のことです。この愛知用水、ただの用水路ではありません。長さが100キロメートル以上もあり、何千億円も掛けてつくられた“モンスター用水路”なんです。
社会の地理分野のなかで、「山脈」や「河川」「湖沼」と比べると「用水」は少しマイナーな分野ではありますが、中学入試でもしっかり出題されています。
Contents
愛知用水は、愛知県の「巨大な用水路」
愛知用水は、乾燥した土地に水を運ぶためにつくられました。ではどこから水を調達して、どこへ運ぶのでしょうか? その水はどのような使われ方をされるのでしょうか?
地理分野はただ暗記するだけだと忘れてしまいます。一方で、目的や背景を一緒に押さえると記憶に定着します。そのため、まずは愛知用水がつくられた目的や背景から見ていきましょう。
愛知用水の目的は、知多半島を潤すこと
愛知用水がつくられた背景には、知多(ちた)半島で起こった深刻な水不足がありました。知多半島とは、名古屋市の南部、伊勢湾と三河湾に囲まれた半島のことです。知多半島には大きな河川や湖沼がなく、水不足がたびたび起こっていました。田畑に使う水に加え、生活用水や飲み水まで不足していたというのですから深刻ですね。そこで知多半島に水を運ぶために愛知用水がつくられました。
では知多半島全体を潤すような大量の水を、どこから引っ張ってきたのでしょうか? 答えは、木曽川です。水量が豊富な木曽川から100キロメートル以上にわたり水路をつくり、知多半島に水を運んだのです。今ではその水を工場で使ったり、農業で使ったり、浄水場で綺麗にして水道水として使ったりしています。
供給元と供給先をセットで押さえる
用水路は「水が足りない土地に水を運ぶ」という背景があってつくられます。そして供給元となる「水源」と、供給先となる「乾燥した土地」が存在します。愛知用水と同じく日本には巨大な用水路が多くありますが、覚えるときは供給元と供給先をセットで押さえるようにしましょう!
押さえておきたい5つの用水路
日本には多くの用水路がありますが、愛知用水を含む以下の5つの用水路は特に押さえておきましょう。
【1】愛知用水
【2】明治用水
【3】豊川用水
【4】香川用水
【5】安積疏水(あさかそすい)
安積疏水だけ用水ではなく疎水ですが、用水と疎水はほぼ同じ意味で使われているので同じものと考えて大丈夫です。
ちなみに「運河」も人工的につくられた水路です。ただ、用水(疎水)と運河はつくられる目的に違いがあります。
・用水(疎水):農業や水道水に使うための水を運ぶ
・運河:船の通り道をつくる
用水と運河は似ていますが、異なる使い方がされていることに気をつけましょう。
愛知県を潤す――愛知用水、明治用水、豊川用水
5つの大きな用水路うち、3つの用水路が愛知県に集中しています。下の図を見ると、供給元となる水源と、供給先となる乾燥した土地がセットになっていますね。
愛知用水の水源となる木曽川や、豊川用水の水源となる天竜川はとても長い川です。そしてそれぞれの川は愛知県の県境に位置しているので、ほぼ県外から水を運んできているといえます。
一方で矢作(やはぎ)川は、愛知県の中央を流れている川です。そのため、比較的近くの水源から水を引っ張ってきていることがわかりますね。
香川県を潤す――香川用水
香川用水は、讃岐平野を潤すためにつくられた用水です。香川県で押さえたい用水路はひとつなので、とてもシンプルですね。
香川用水に関わる地域は、下の地図で確認しましょう。香川県全域に水を運ぶ香川用水の巨大さもわかります。
ちなみに「讃岐平野」というワードを耳にしたら、「瀬戸内海気候」を思い浮かべられるようにしましょう。
■瀬戸内海気候:中国地方と四国の山に囲まれた、雨がほとんど降らない地域の気候
讃岐平野は、瀬戸内海気候の影響を受ける地域です。そのため水不足が起こり、香川用水がつくられたという背景があります。
福島を潤す――安積疏水
安積疏水(あさかそすい)は、福島県の郡山(こおりやま)盆地を潤すための疎水です。
安積疏水の水源は、川ではなく湖です。ほかの用水とは水源の種類が異なるので覚えやすいかもしれません。水源の猪苗代(いなわしろ)湖は、標高500メートル以上の高さに位置しています。全国でも有数の「標高の高い湖」として有名ですね。
安積疏水は猪苗代湖から郡山盆地に水を運んでいますが、標高差を利用して水力発電をおこなっていることも特徴です。
まとめ
地理の分野でも、ちょっとマイナーな「用水」について紹介しました。改めて、3つのポイントをお伝えします。
1、供給元と供給先はセットで押さえる
2、日本の巨大な用水路は5つ
3、用水の場所は地図でイメージしながら覚える
お伝えした内容をもとに、用水について学びを深めていきましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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