夢中で読む(憧れにおすすめされたスイーツである)|桜井信一コラム「下剋上受験」
【本日のテーマ】夢中で読む
私たち父娘は国語も得意だということをご存知でしょうか。
というか、私が師匠なのです。(-。-)y-゜゜゜
中学受験のときに完全に見えました。
色々な国語の参考書があり、全部試しました。
あれこれやっているうちに「見えた!」。
中学の定期テストシーズンには、私が国語の対策をするともうそりゃとんでもないことになるのです。
あまりにも高得点では申し訳ないので、なるべくひとりでさせていますが、まあ弟子もそこそこです。
国語で悩んでいる人、多いですよね。勉強方法がわかりにくい。逆に、国語はまったく勉強していないのにできちゃう子もいます。
できない原因もできる原因も、はっきりしないのが国語なのです。
国語の勉強方法というか、点を取る方法、以前にも何度か書きました。出版した「桜井さん、うちの子受かりますか?」 でもふれています。
そこで今回は少し違う角度から。
小説に夢中になったこと、ありますか?
私はあまり本を読むことがなかったのでそんな経験はなかったのですが、受験勉強のときの国語の題材で面白いものがあり、夢中で読んだことならあります。
夢中になって読書しているときに話しかけられたらウザくないですか?
「あとにして……」となるでしょう。
以前から読みたかった小説が目の前にあり、接続詞や心情語に線を引きながら読めと言われたらどうでしょう。
普通に読みたくないですか?
例えば『幸せになる方法』みたいな本があったとして、「おっ、ここ大事だからしおり挟んでおこう」という動作は、別に強制されたわけではなく、自ら線を引いたようなものですね。
つまり。本当に真剣に読みたかったら、静かな場所で夢中で読みたいのです。
そのとき、その読み方に指示を受けたくない。勝手にさせてほしいのです。
ところが国語のテクニック本には色々な指示があります。その指示を守ることの方に夢中になり、読むことが疎かになっていないでしょうか。
国語のテストを解く際に子どもが考えている手順を列記すると、
[1] さあ、しっかり読むぞー。でも何だか難しそうな文章だなあ。
[2]う~ん、ちょっと読んでいるだけになってきたような……、あとで設問に答えられるかなあ。
[3] ん? こんなところに線を引いている。後でどんな問題になるんだろう。
[4] ふう~、やっとおわった。さあ急いで設問に。
そして、設問を読むたびに、それを答えるために再度そのあたりを読み直すハメになる。次こそは真剣に読もう。
先に設問を読んでおけばよかったのか、それともやっぱり文章が先か。
私は桜蔭学園の物語文のように設問が2つしかないなどが、あらかじめわかっている場合を除き、文章を先に読むべきだと思っています。桜蔭学園の物語文も我が家では話し合った結果、問題文を先に読むことにしました。
国語に取り掛かるとき、[1]の状態だとすると、以前から読みたいと思っていた小説が目の前にある状態とは真逆の態勢だと思いませんか。
小説を読むとき、夢中で読むとき、[2]のようなことって考えないと思うのです。
[3]は普通の小説では当然線などは引いてない。
期待していた小説が面白ければ誰かに勧めたい。もし前評判ほどでなかったとしても愚痴として誰かに話したい。
これが[4]に似ていると思うのです。[4]は内容がわかっていないと簡潔に伝えることができないからです。
途中で読むのをやめてしまったとき、誰かに感想をいうとすると「何だかよくわかんなかった」となるでしょう。
国語が苦手という多くの子が、国語の文章を途中から目で追っているだけになっているかもしれません。仕方なく最後まで読んでいるわけです。私たちもまさにそうでした。
設問に答えられないから今度こそ、でもやっぱり仕方なく真剣に読むのです。
最初から国語ができる子はこれを経験していないでしょう。そういう子が国語を得意とする。そしてそういう子が大人になり国語の講師になったとすると……。
だから、生徒の国語は伸びないのです。
ちなみに、下剋上算数 難関校受験編 に出てくるAくんは国語が超得意。ほぼノー勉。
高1の終わりや高2の時点でセンター試験の過去問の現代文はほぼパーフェクト。古文漢文を含めても200点満点中190点付近になるのです。しかも毎回安定しているのです。
なんだ、この差は?
そういえば、お母さまが「全然いいよ」というヘンな日本語を使わない。「腹痛が痛いそうです」なんて言わない。プリンセスプリンセスのコンサートは、「プリンセスのコンサート」と言う。――途中から作り話になってしまった。
よく考えると、中学受験の入学試験問題は、「学校からのおすすめ」なのです。
「これ、良かったから一部だけでも読んで」と言われた文章なのです。
憧れの学校がおすすめしているわけですから、ジャニーズがすすめた究極のスイーツと同じ。もう食べる前から先入観でいっぱいなのです。つまり、結局評価が高くなる。
それを[1]のような態勢で読むとどうなるでしょう。
最悪の結果になるのは当然。
勧められた文章を夢中になって読む。途中から誰かに伝えたい気持ちでいっぱいになりながら夢中で読む。それを伝えることが設問への回答だと考えると、それは解答になると私は思います。
これが見えてきたとき、設問を答えるためのセンテンスは黄色の蛍光ペンで塗ったように浮いて見えてくる。
Aくんに文章の内容を話させると、設問の答えを即返してくる。夢中で読んだんだなあと思うのです。
そして、夢中で読むコツ。
憧れのおすすめだと思えるかどうか。これだと思うのです。
それがダメなら、「こんな話が出てたよ」と言いたい気持ちでいっぱいになる手もある。
私なら、薬師丸ひろ子が人参を勧めてきたら、きっと美味しく食べるはず。しかし、マツコ・デラックスが人参を勧めてきたら、人参の大事なところに線を引くでしょう。
2015.7.5 am 0:00
桜井信一
※記事の内容は執筆時点のものです
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