中学受験ノウハウ 通塾の悩み

仲が良過ぎるのも考えもの? 保護者、子供、それぞれの塾講師とのつき合い方

専門家・プロ
2019年4月19日 西村創

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塾通いする子供、そしてその保護者にとって、塾講師との良好な人間関係は受験合格に向けて欠かせない要素のひとつです。しかし、良好な人間関係とはただ単に仲良くなることではありません。一定の距離を保ちながらも、言うべきことは「言う」、そして「言ってもらう」関係が理想です。塾講師とはつかず離れずの関係をめざすのが、良い結果につながります。

小3、4生は講師との距離が近いほどよい

子供から「塾楽しい!」「塾の先生大好き!」という言葉を聞くと、親としては塾に通わせたかいがあると、嬉しく感じるものです。特に塾に通い立ての小3、4くらいであれば、何でも優しく話を聞いてくれる塾講師の存在はありがたいものですよね。

この時期に「わからないことがあればその日のうちに講師に質問する」習慣をつけられると、学年が上がって受験勉強が本格化しても、臆せず質問できるようになります。子供が自分から質問するのをためらいがちなのであれば、講師の方から質問はないかを聞いてもらうよう塾に頼んでみてください。

小5、6生には厳しい指導も必要

中学受験が近づく小5、6になると、優しいだけの接し方では難関校入試の狭き門をくぐり抜けるには心もとないものがあります。中学、高校、大学の入試の中で、学校で習う内容と出題される内容の乖離が圧倒的に大きいのが中学入試なのです。大手進学塾の模試で偏差値60を超える学校には生半可な勉強では合格できません。したがって、講師も心を鬼にして、生徒を厳しく律する状況が出てきます。合格に向けて、緊迫感のある授業、毅然とした指導ができるのが、本当の優しさを持っている講師といえます。

子供の話から、授業中、受験に関係のない雑談が多かったり、私語の多い生徒が目立つようなことがうかがえたら、教室長に一報を入れて改善を促すよう頼むのがいいでしょう。

保護者が直接塾とやりとりするのは最小限に

一方、保護者も、塾の講師と非常に親しく頻繁にやりとりする方や、逆にほぼコミュニケーションをとらず、塾に一任している方がいます。これは、どちらもあまりおすすめできるものではありません。

子供のテスト結果が出るたびに塾に電話をし、個別面談を申し込む。しかし、子供のやる気が出ず、継続的な成績向上にはなかなか結びつかない。このように親ばかりが熱心で、肝心の子供の方は勉強に消極的というケースは、少なくありません。

受験勉強をするために塾に通うのは子供本人です。保護者の方はあくまでサポートに徹し、塾への要望や質問は、できるだけ子供を通して進めた方が、「塾・保護者・子供」3者の情報共有もできますし、子供の主体性を促すことにもつながります。成績上位の子供の保護者の共通点として、保護者が直接塾に確認をするのは、学費や手続に関する質問や、ここぞというときの申し入れにとどめるという点が挙げられます。

保護者会や保護者面談に参加して進路選択の情報収集を

逆に、塾とのコミュニケーションをほとんどとらないというのも考えものです。塾の役割は学習指導だけにあらず。受験校や受験プランのアドバイスなどの情報提供をしてくれる点も、大いに活用すべきです。

受験に成功するためには合格点を取れる学力が不可欠ですが、それだけでは不十分です。「どんな学校を受けるか」ということと、「どう受験を進めていくのか」というプランを立てることが必要です。特に近年の中学受験では、2回目・3回目入試、午後入試や特定科目傾斜配点入試、公立一貫校の適性検査型入試や英語入試を導入する学校などが急増しています。

「わが子に最も合いそうな学校はどこか」「最も力を発揮できるのはどんな受験プランなのか」を知るためには、進学情報に精通した塾の情報、子供の性格をいちばんよく知っている保護者、そして中学に進学する子供本人の希望を総合する必要があるのです。

塾では定期的に保護者会や保護者面談があるので、できるだけ参加し、各学期に一度くらい子供の様子を聞いてみることをおすすめします。

塾講師とはつかず離れずの関係が理想

子供も保護者も、塾の講師と一定の距離を保ちながらも、希望や疑問は伝え、言うべきことは言ってもらう関係をめざしたいものです。「この塾に通ってよかった!」と言えるよう、うまく塾を活用してください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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