中学受験ノウハウ 親の関わり方

「10歳の壁」は、家庭での言葉がけで乗り越える

専門家・プロ

0

子どもが小学3年生から4年生になる10歳前後は、学習面でターニングポイントを迎える時期といわれています。授業内容の変化についていけず、勉強が嫌いになってしまうことも……。この「10歳の壁」をどう乗り越えるかは、中学受験に向けた勉強でも無視できないポイントです。そこで、小学3年生から4年生にかけて授業内容がどのように変化するのかを伝え、その対応方法を紹介します。

抽象的な内容が増えることが、つまずきの原因

10歳前後の子どもたちが勉強でつまずく大きな理由のひとつは、授業の内容に抽象的な事柄が増えてくるからです。この傾向は、算数と国語において顕著になります。

算数では「割合」が登場することが大きなネックになります。割合とは、分数や小数点、パーセントです。例えば割り算の問題で、「6÷2はいくつ?」と問われたら、「6個あるものを2つに分ければ3個」と具体的にイメージできます。

ところが「6÷1/2はいくつ?」という問題はどうでしょう?「6を1/2で割る」イメージを頭に描けるでしょうか? さらに授業が進むと「2/3÷6/5」のような分数同士の計算も出てきて、イメージすることはますます難しくなります。

国語も小学4年生ぐらいでつまずくことが多い教科です。低学年のうちは、教科書の話は具体的でわかりやすいのですが、中学年から高学年になってくると、具体的な文章と抽象的な文章が混じって複雑化します。すると文章全体で何を言っているのかが掴みづらくなり、国語が嫌いになってしまうケースがあります。

抽象的な内容は学年が上がるにつれて増えてきます。子どもが苦手意識を持たないように、家庭でサポートすることが大事です。

「なぜ?」という問いかけで、子どもに「考える力」をつけさせる

イメージが湧きにくい抽象的な内容を子どもが理解できるようになるには、まず「考える力」を身につけさせることが大切です。そのためには、日常生活のなかで子どもに「なぜ?」という問いかけをすることが効果的です。

道を歩いていて「なぜ、ここにこの標識があるのか?」、コンビニに行ったときに「なぜ、おでんはレジの横に置いてあるのか?」など、いろいろな問いかけをしてみましょう。

このとき、子どもが答えられなくても構いませんし、答えが間違っていてもいいのです。大切なのは、考える習慣を身につけさせること。「なぜ?」という問いかけを繰り返すことで、「なぜ6÷1/2が12になるんだろう?」「この文章はどういう意味だろう?」というように、抽象的な問題に対して、考えるクセがついてきます。

「なぜ?」という視点は、理科や社会の学習にも役立ちます。例えば、「昆虫はなぜ6本足なんだろう?」と考えてみる。そこで明確な答えが見つからなくても、「昆虫の足は6本」ということは記憶されます。すると、テストで「昆虫の足は何本?」という問題が出たときに答えられます。

自ら考える力を子どもに身につけさせることは中学受験はもちろん、その後の人生にも大いに役立ちます。

「要するに?」「例えば?」は、国語力を上げるための必須ワード

国語の「10歳の壁」を乗り越えるには、抽象的な文章を理解できるようにならなければいけません。抽象的な文章とは、物事の共通点を抜き出してまとめたものです。

抽象的な文章に対する理解力を上げるには、子どもに「要するにどういうこと?」という問いかけをしましょう。親子で一緒に文章を読んで、「この話って要するに何が言いたかったのかな?」と聞くことで、子どもは文章のポイントをまとめようとします。

一方、具体的なことを探す視点を身につけさせるには、子どもに「例えばどういうこと?」という問いかけをします。

「要するに?」と「例えば?」の2つの言葉を子どもに繰り返し問いかけることで、子どもは抽象的思考と具体的思考ができるようになります。

すると、具体的な文と抽象的な文が入り混じった複雑な文章に出会っても、具体的な事例を示した部分とまとめの部分がどこかを掴むことができ、文章全体の内容を理解できるようになります。

※記事の内容は執筆時点のものです

0