中学受験ノウハウ 親の関わり方

小3までの学習不足をカバーして、「10歳の壁」を乗り越えよう

専門家・プロ

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小学3年生から4年生になる10歳前後は、学習面でつまずいてしまう子どもが多く見受けられます。この「10歳の壁」の原因のひとつは、小学3年生までの学習不足です。そこで、学習不足をカバーする方法を紹介。合わせて、低学年のうちに家庭で取り組みたいことをお伝えします。

基礎ができていないと、小4からの授業についていくのが難しくなる

小学4年生になると、教科によっては授業内容がぐっと高度になります。算数では複雑な分数計算や小数点のある計算などが登場します。算数は積み重ねの学問なので、小学3年生までに習う整数の四則計算をきちんと理解しておかないと先に進めません。

子どもに計算力がついていない場合、私は計算ドリルをすすめています。ドリルの問題は小学3年生レベルにして、時間を計りながら整数の四則計算が早く正確にできるまで何度も繰り返しましょう。間違わずに計算ができるようになると、子どもは自信がつきます。基礎的な計算力が身についてはじめて、小学4年生からの学びのスタートラインに立つことができます。

国語が苦手な子どもは、本文や質問の意味がそもそもわかっていないことがあります。人は、聞く→話す→読む→書くの順で国語力を身につけていきます。自分で文章を読んで、考えて、答えを書くことは、小学校中学年ぐらいの子どもには、まだまだハードルの高い作業です。そこで親がサポートする必要があります。

国語のテストを復習するときは、親が子どもに読み聞かせをしましょう。文章を段落ごとに区切って読み上げ、設問も全て声に出して読みます。文章をそのまま読んでも子どもがわかっていないようなら、内容を少しかみ砕いて伝えましょう。

例えば、「傍線の部分について筆者の言いたいことは何ですか? 次の中から選びなさい」という設問の意味がわからないときは、「傍線が引っ張ってある、ここの〇〇という文章って、何が言いたいのかな? 1番目は〇〇、2番目は〇〇、3番目は○○だよ。このなかのどれだと思う?」と、ていねいに伝えます。

意外に思われるかもしれませんが、親が読み聞かせをするだけで、子どもは内容を理解して答えられることが多いです。自分で読んで考えるよりも、読み聞かせによって、内容に意識が向きやすくなります。

読み聞かせをして内容を理解できるようになってきたら、「じゃあ、この段落は自分で読んでやってみよう」というふうに、少しずつ子どもが自分で読む部分を増やしていきます。ゆっくりと段階を踏むことが、子どもが国語力をつける近道です。

理科と社会は、さまざまな経験で好奇心に刺激を

理科と社会は学ぶ内容が比較的イメージしやすいので、算数や国語のような「10歳の壁」にぶつかることは少ないようです。中学受験に向けて、この2つの教科は、どれだけ知識をインプットできるかが勝負という面はあります。でも、子ども自身が学習内容にどれだけ興味を持てるかが、やはり大事です。

これらの科目への探求心を育むために、科学イベントや博物館に行ったり、歴史的な建物を巡ったり、さまざまな体験をさせてあげましょう。中学受験を目指す場合、小学4年生頃から塾通いが始まります。すると忙しくなって家族で出かけられる機会もぐっと減ってしまいます。低学年のうちにどれだけ経験できるかがポイントです。

出掛けるときは、子どもが楽しめそうなところへと行こうとする保護者の方が多いと思います。その気持ちは素晴らしいのですが、「自分は気が乗らないけど、子どものために行く」というのは、できればやめましょう。子どもは親が思う以上に、親の気持ちを感じているので、「つまらない」という気持ちが伝わってしまいます。

ベストは親が楽しめるところに子どもを連れて行くことです。以前、東大生に子どもの頃の体験を語ってもらったことがありましたが、多くの学生が「両親が楽しむところによく連れていかれました」と話していたのが印象的でした。もちろん子どもが楽しめるスポットにも行ったと思いますが、親が楽しんでいる姿というのは、子どもに強い影響を与えるようです。

たとえ、子どもがあまり関心がなくても、親が「宇宙飛行士ってすごいんだね!」と本当に楽しんでいると、その感覚は子どもに伝わります。すると、「もしかしたら、これ面白いんじゃないか」という気になり、興味が広がることがあります。まずは親が楽しみながら、子どもの好奇心の扉を開いてあげましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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