親の関わり方#5 「努力した過程」にも目を向ける|学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」
【10歳以降なら】努力することを習慣にする
― Point ―
努力することが当たり前になっている子は大人になってからも強い
子どものうちから努力し続けることができるかどうかは、将来大きな違いを生みます。
小学生のときにはトップレベルにいる子が、なぜ大学受験になると早慶にも行けなくなるのか。逆に小学生時代は集団に埋もれていたのに、中学・高校で学力を伸ばして東大や医学部に行ける子がいるのか。その差は「努力する力」です。
大人になってから、突然自分を律してストイックに努力するように自分を変えていくのは相当大変なことです。
子どものうちから努力することが当たり前に身についていれば、習慣化されているので、成績が落ちることはありません。ですから小学生のうちは、「テストの点数や成績」だけを見るのではなく「勉強する姿勢」や「継続する努力」も見てあげましょう。
たとえば、憧れの超難関中学校に入学したものの、大学受験まで成績がずっと低いままの「深海魚」と呼ばれる状態になってしまう子が、毎年一定数います。それは学力がついていけなかったからではありません。憧れの学校に合格できるくらいなのですから、能力的に不足しているということはないのです。
では、なぜ「深海魚」になってしまうのか。
「働きアリの法則」と呼ばれるものがあります。2割は一生懸命働き、6割は普通に働き、2割は働かないというものです。おもしろいのは、ここから一生懸命に働いた2割のアリだけを取り出して観察すると、また、そのなかの2割は一生懸命働くけれど、2割は働かなくなることです。
人間も同じで、優秀な人であっても、その集団のなかで順位が低かったり、努力できないでいると、ずっと成績が低いままで居続ける可能性があるのです。
中学生になるまでに、努力することを当たり前にしておかないと、どんな子でも「深海魚」に陥ってしまうかもしれません。
ここで2つの例を紹介します。1つめは立教女学院中学校という難関校に合格した女の子の話です。4年生の終わりに入塾した彼女は、最初は塾のなかでも最下位に近い順位でした。合格後、おかあさんからいただいたメールの一部を抜粋します。
「ほぼ最下位からのスタート、ゼロから教えていただきました。最初はとくに理科と社会がつらくて、でもあきらめるのが悔しくて机に突っ伏して泣いている娘の姿をよく見ました。いつの間にかそういう時期が過ぎ、受験前は信じられないほどの勉強量、集中力でした。運よく合格はいただけましたが、もしご縁がなくてもこれだけやりきったんだから仕方ないと、親子ともに納得できる受験ができました」
このおかあさんは努力し続ける娘を何度もほめていました。
では、どうしてこの女の子はがんばれたのでしょうか。それは、社会だけは憧れの先生のクラスを目指したいという思いがあったからです。受験という大きすぎる目標のためではなく、可能性のある、近い目標があったからこそがんばれたのだと思います。
2つめは、中学受験では難関校には手が届かなかった男の子の話です。難関校には手が届かず、偏差値55あたりの中学校に進学した男の子がいました。ただ、受験勉強をはじめた時期が5年生で、少し遅く、真面目に取り組む姿勢は揺るがなかったので、私はこれからもこの男の子は伸びていくだろうと感じていました。中学や高校の勉強は、努力で成績に大きな差がつきます。
結果的に、彼は努力を積み重ね続け、ついには学校の特待生になり、東大文一に現役合格、在学中に司法試験にも合格し、弁護士になりました。
すぐに大きな結果が出なくても、日頃から、子どもが「努力する」ことそのものを認めてあげたいですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
お気に入り機能は
会員の方のみご利用できます
会員登録のうえログインすると
お気に入り保存できるようになります。
お気に入りのコンテンツは、
マイページから確認できます