集団塾ならではの「ライバルの存在」のメリット・デメリットとは
個別指導の塾にはなく、集団塾にあるメリットのひとつが「ライバルの存在」です。塾のテストやクラス分けを通して、子供たちは互いの存在を強く意識するようになります。
この記事では、ライバルがいることのメリット・デメリットを紹介します。
ライバルがいるメリット
わたしは、集団授業と個別指導の両方を行う塾に勤めていました。その塾では「個別指導だけの生徒」より、「集団授業だけの生徒」、または「集団と個別を併用する生徒」のほうが、勉強のモチベーションが下がりにくい傾向がありました。
その理由は、同じ塾に通う友達への競争意識があるからです。「あの子にだけは負けたくない!」という気持ちが、勉強のモチベーションを上げるんですね。
集団授業では、「今回は勝った!」「悔しい、負けた!」とテストが返ってくるごとに生徒たちが一喜一憂し、大騒ぎをくり広げていました。友達との勝ち負けは、子供にとって点数や偏差値よりも「わかりやすい結果」なのでしょう。
安定してトップ層にいる一部の子を除いて、テストごとに点数や偏差値は上下します。高得点をとっても、平均点が高ければ素直に喜べません。点数の優劣は相対評価なので、モチベーションを上げるキッカケにあまり繋がらないんですね。一方で絶対評価の「勝ち負け」のほうが、結果がわかりやすく、子供のモチベーションに響きます。
ライバル同士の情報交換は有益
ひとりの生徒にお願いされて新しいプリントを渡すと、そばにいた生徒から「そのプリント、わたしにもちょうだい」と、すかさず声をかけられることがよくありました。ライバル同士は成績が拮抗していますから、志望校が重なる傾向にあります。
生徒ごとの苦手単元に特化したプリントは別として、志望校のレベルが近いと受験対策で生徒に配るプリントは似たようなものになります。
そのため、お互いが何を勉強していて、どんなプリントをもらったのかという情報を、ライバル同士はよく交換しているんですね。情報はひとつでも多いほうが志望校の対策を立てやすいため、情報交換ができるライバルがいることは大きなメリットといえます。
ライバルがいるデメリット
子供は勉強にひたむきなぶん、友達との勝負に熱が入りすぎてしまうことがあります。この点がデメリットといえるでしょう。
わたしが塾講師として担当した生徒のなかには、「ほかの子に負けることを受けいれられない」という子がいました。自分がテストで負けたとわかると、友達にケンカをふっかけてしまったり、泣きながらモノにあたってしまったり……。本人も気持ちのコントロールができないことに苦しんでいるように見えました。
親御さんを交えて話し合いを重ね、その子は集団授業から個別指導に移ることに。競争がなくなってからは、その子は落ち着きを取り戻し、笑顔で勉強に励んでいました。
このように、集団塾だと「友達との勝ち負け」が勉強の目的になってしまうことがあります。子供はどうしても目先の結果に目が行きがちですから、塾の勉強はあくまで「志望校合格」のため、ということを親御さんから伝えられると良いですね。
ライバルが必要かは、子供の性格によって判断する
受験勉強でやる気を保つのは、小学生の子供にとって大変なことです。多くの子どもはどこかのタイミングで中だるみしてしまいます。
そんなときに友達と競い合う機会があると、子供の気持ちにも変化が生まれます。「負けたくない!」という気持ちから努力を重ね、合格をつかみとる子は少なくありません。
ただし、勝ち負けを競うのが苦痛に感じる子がいることも忘れてはいけません。ライバルがいることがメリットになるか、デメリットになるかは、その子の性格によって違います。
集団塾と個別指導塾のどちらが学習環境としてふさわしいか、子供の適性をふまえて考えてあげられると良いですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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