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スチールウールの実験から学ぼう! 燃焼させたり塩酸に入れたりするとどうなる?

2019年7月30日 みみずく

スチールウールは、灰色でザラッとした手触りが特徴的な、布よりも固いたわしの一種です。鍋などについた頑固な油汚れを洗い落とすのに役立つため、台所でも活躍しています。そんなスチールウールを使った理科の実験について、小学生の疑問に答えていきましょう。

※紹介しているスチールウールの実験は、危険をともなうものです。実験は必ず、専門家・保護者が立ち会いのもと行ってください

スチールウールを燃やすと……

スチールウールに火をつけると、光や熱を放ちながら反応します。これを「燃焼」といいます。

二酸化炭素が発生しないのはなぜ?

「木」は、火のなかに入れると、スチールウールと同じように燃焼します。このとき二酸化炭素が発生します。木の成分に炭素が含まれているからです。炭素を含む石油からつくられるプラスチックも、燃焼によって二酸化炭素を発生させます。

一方、スチールウールの燃焼では二酸化炭素が発生しません。なぜなら、スチールウールの成分は鉄で、炭素を含んでいないからです(厳密には、無視して構わない量が含まれています)。

スチールウールが重くなるのはなぜ?

そもそも燃焼とは、物質が酸素と結びつく「酸化」の一種です。鉄を放置しておくとさびていきます。この現象も酸化ですが、光や熱を放つような激しい反応ではありません。

一方、スチールウールを火のなかに入れると、激しく反応して黒い物質へと変化します。この黒い物質は酸化鉄です。酸化鉄は、名前に「鉄」の字が入っていますが、純粋な鉄とは別物です。

酸化鉄を十分に冷やしてから重さをはかると、燃焼前のスチールウールより「重い」という結果を得られます。燃焼によって、スチールウールに結びついた酸素の分だけ重くなったからです。

スチールウールを塩酸に入れてみよう

スチールウールを塩酸に入れると、スチールウールが溶けて気体が発生します。

スチールウールはなんで溶けるの?

スチールウールは塩酸と反応して溶けます。そもそも「溶ける」とはどのような現象なのかを考える必要があります。中学受験の範囲からは外れますが、イオンの世界に踏み込んでみるとわかりやすいでしょう。

塩酸は、塩化水素が水に溶けた液体です。塩化水素は水のなかで、水素イオンと塩化物イオンという、電気を帯びた小さな粒に分かれます。これらのうち水素イオンが酸性の正体です。

水素イオンは、鉄から電子(マイナスの電気を帯びた微小な粒)を奪い取ります。その結果、鉄は鉄イオンになってしまいます。「スチールウールが溶ける」とは、「鉄が鉄イオンになる」ということです。

ちなみに、スチールウールが溶けた塩酸から水を蒸発させると黄色い粉が残ります。これは鉄イオンと塩化物イオンが結びついたもので「塩化鉄」と呼ばれます。塩化鉄も、酸化鉄と同じく純粋な鉄とは異なるものです。

スチールウールから発生した気体は何?

スチールウールを塩酸に入れて発生した気体に、マッチの火を近づけると、ポンッと音がして燃えます。可燃性の水素が発生したからです。塩酸のなかを漂っている水素イオンは、鉄から電子を奪い取って、自らは水素となって塩酸から出ていってしまいます。

スチールウールに限らず、マグネシウムやアルミニウムなどの金属も塩酸に溶けます(ただし、アルミニウムには塩酸に溶けにくい性質があります)。このときに発生する気体も水素です。

水素イオンは多くの金属から電子を奪い取りますが、金・銀・銅などの金属からは電子を奪い取れません。たとえば、塩酸に銅を入れても銅は溶けませんし、水素も発生しません。中学入試問題で問われることがあるので、塩酸に溶けない金属も覚えておくとよいでしょう。

中学理科や高校化学の理解にもつながる

スチールウールの実験からは、さまざまなことを学べます。こうした学びは、中学受験で必要とされるだけでなく、日常生活で起こるほかの現象を理解するうえでも役立ちます。

ここで得た知識は、中学理科や高校化学にもつながっていきます。記事のなかで簡単に触れたイオンについても、中学進学後に詳しく学ぶことになります。そのときに、中学受験の勉強で覚えたことをぜひ思い出してください。

※紹介しているスチールウールの実験は、危険をともなうものです。実験は必ず、専門家・保護者が立ち会いのもと行ってください

※記事の内容は執筆時点のものです

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