中学受験ノウハウ 連載 しあわせな中学受験

受験準備は必ず3年間必要なの? わが家は、こうして見事合格しました|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2019年8月02日 中曽根陽子

中学受験の準備をいつから始めたかを経験者に聞くと、やはり塾で新小学4年生のコースが始まる3年生の2月から塾に通い始めたという人が一番多いです。それは、中学受験対応の進学塾の多くがその時期からコースを設定しているからですが、3年かけなければ合格できないかというとそんなことはありません。

いつから始めるか? それは考え方次第

中学受験でこなさなければならない勉強量は、通常の学校の学習量とは桁違いですし、内容も高度です。それまで学習塾に通ったことのない子どもが、いきなり受験対策の勉強をこなしていくのはハードルが高いので、少しずつ時間をかけて慣らしていくという意味で3年間かけたほうがいいというのも一理あります。しかし、3年生の2月から始めないと無理という訳ではありません。そこで今回は、通常とは違うやり方で合格したケースを紹介します。

5年生からの塾通いで難関中学に合格

5年生から塾に通い出して最難関校に合格したY君。本を読むのは好きでしたが、それまでは学校の勉強以外は、漢字・計算ドリルを少しやっていた程度でした。入塾当初は特に算数の授業で、先生が何の話をしているのかわからないくらいちんぷんかんぷんだったそうです。

そんなY君ために、目先の成績は気にせず、基本をしっかりおさえるという方針を立てたお母さんは、毎日計算ドリルを欠かさずやり続けようとY君と約束しました。決めたことを毎日続けて半年くらいたった頃から、授業の内容も理解できるようになり、成績も上がってきました。

伸び悩んでいるときには、「計算早くなったね」「この前間違っていた問題もできるようになったね」と、小さな進歩を言葉にして伝えるようにしたことで、自信がついてきたY君。5年生が終わる頃には塾の上位クラスを維持できるようになり、最終的には第一志望だった最難関校に見事合格しました。

公立中学に進学する予定が、6年生になって「受験したい」と言い出した娘。志望校に特化した勉強で見事合格

お母さんは公立中学に進学させるつもりでいたというK子ちゃんが、「受験をしたい」と言い出したのは、6年生になったとき。仲の良いお友達がみんな受験をすることから自分も受験をしたくなったのです。

しかし、どの塾もこの時期からは無理だと受け付けてもらえません。そこで、完全1対1の個別指導塾を選択。志望校が決まっていたので、塾の先生と相談しその学校への合格ロードマップ描いて、習いごとの間の隙間時間をフル活用して集中して取り組み、見事志望校に合格しました。

「無理はしない」を貫き、子どものタイプを見極めて志望校に合格

奥手でのんびり屋のT君。両親は無理に中学受験をさせなくてもいいと考えていたそうです。しかし、お兄さんが中学受験をして楽しそうに学校に通っている様子を見ていたT君は、自分も受験をしたいと思うようになりました。

そこで、低学年から通っていた補習塾の中学受験コースに移って、準備を始めました。とはいうものの、成績は伸び悩んでいました。志望校は決まっておらず、両親は最終的に届く範囲のなかから受験校を決めようと考えていたそうです。

そんなある日、ある学校が主催した模擬試験に参加します。模擬試験で出された新聞づくりの課題に熱中して取り組んだT君。時間をオーバーしてしまったT君に対して、その学校の先生は「時間はかかったけれど、とてもいいものができたね。待っているよ」と声をかけてくれたそうです。その先生との出会いから、「ぜったいあの学校にいきたい!」と子ども自身がやる気を出し、自分から勉強するようになったといいます。そして念願の学校に見事合格したのです。

「なんとなく」では結果はでない。始める前に方針を決めよう

どれもレアなケースと思われるかもしれませんが、伝えたいのは、どういう受験をするかは、その家庭の考え方や子ども次第だということです。なんのために受験をするのか、なにを優先順位にするのかをよく考えること。そして、選択権は塾ではなく、こちらにあるということを忘れずに、自分の家ではどんな受験をするのかをぜひ考えてみてほしいと思います。

いずれにしても、受験は合否という結果がはっきりでるチャレンジです。合格を勝ち取るためには、子ども自身が「合格したい」という強い気持ちを持つことが大切です。なんとなく入塾テストを受けて、なんとなく受験勉強を始めて、「子どもがやる気にならない」と悩む方が多いようですが、子どもの身になって考えてみれば、目的がはっきりしないのに、モチベーションが湧かないのも当前ではないでしょうか。「なぜ中学受験をするのか」、親の考えをきちんと伝え、子どもの気持ちも確認しながら取り組んで欲しいと思います。

合格は親の関わり方が9割はホント

例に出したK子ちゃんのように、自分から受験をしたいと言い出した場合、子どもがやる気を見せないときに、「言い出したのはあなたなんだから」と親も強気でいけるかもしれませんが、多くの家庭では、最初は子どもの意思というより、親の意向が先にくることが多いと思います。でも、受験をするのは子どもです。

Y君のお母さんのように、子どもの小さな進歩を見逃さず、励ましながら伴走する一番の応援団であること、T君のお母さんのように、1歩引いて子どもの成長に合わせて対応する気持ちの“ゆとり”を持つこと、K子ちゃんのお母さんのように、合格のための戦略を立てること、それぞれに親の対応が子どもの頑張りを支える力になります。ぜひ参考にしてみてください。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい 成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方