連載 しあわせな中学受験

家庭でできる夏休みのサポート|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2019年8月08日 中曽根陽子

6年生にとって夏休みは、「合否を分ける天王山」といわれるくらい大切な時期ですが、4・5年生も長い夏休みだからこそできることがあります。家庭ではどのようなことに気をつければいいのでしょう。

中学受験生を長年見てきた、塾のベテラン先生に聞いた、夏休みにやっておくべきことと、親ができるサポートを学年ごとに紹介します。

[4年生]普段できない体験を中心に、塾の夏期講習も活用してこれまでの学習の振り返りを

4年生のこの時期はまだ余裕がある時期です。家族旅行や、おじいちゃん・おばあちゃんの家に帰省など、家族のイベントも大事にしたいですね。比較的ゆとりのあるこの時期は、普段なかなかできない自然体験や、科学館などで開催されるワークショップなどに参加するのもおすすめです。

「一見受験とは縁遠いような経験が、その後の受験勉強によい影響を与えることがある」。塾で多くの生徒を見てきたベテラン先生もそうおっしゃいます。

こういった体験をしつつ、そのうえで、塾の夏期講習も活用します。塾の夏期講習は普段よりもまとまった学習量を確保できるので、スケジュールがあう限りは参加するとよいでしょう。この時期は基礎固めと、1学期に習ったことでつまずいているところがないかを振り返ることに重点を置くといいそうです。

[5年生]秋以降の勉強をスムーズにするために、基礎トレや総復習をしっかりとやる

5年生になると、塾での勉強量がぐっと増えます。ここまでじっくり復習をする機会がなかったかもしれません。「夏休みを使って、これまでの内容をしっかりと身につけられれば、重要単元がひしめく2学期に向けて準備が整います」と前述の先生。

5年生の2学期からは志望校判定模試なども始まります。その出題範囲は5年生の1学期までの内容なので、そこで弾みをつけるためにも、夏休みはこれまでの総復習をする時期と捉えるとよいそうです。

総復習というと何をすればいいのか途方にくれるかもしれませんが、算数の基礎力を上げることを目標に計算問題に取り組むなど、土台となる力を確実にしておくことが大事。基礎トレーニングは地味ですが、後から効いてきます。急がば回れです。

親はもう「5年生だし」と焦るかもしれませんが、子どもにとって、受験はまだ先のことで、勉強に対するモチベーションも湧きにくいのが正直なところです。成果を急がず、やることを絞って着実にこなしていきましょう。

夏休みの学習計画はどう立てる?

おすすめのやり方は、30分刻みで記入できるカレンダーを用意(エクセルなどで作ってもいいですね)して予定を書き込む方法です。起きる時間と寝る時間をまず決めて記入し、休憩や食事、お風呂など、勉強以外の時間も記入しておきます。

その後、塾の予定を書き込み、それ以外の空き時間に、どこで何を勉強するのか具体的に記入していきましょう。

30分ごとに記入するなんて細かいようですが、時間が視覚化されれば、意外なところにスキマ時間があることに気づけ、その時間を有効活用できます。

計画は、立てたあとの振り返りと見直しが大事です。できたことは線を引いて消し、こなせなかったことは、必要であれば次の週に繰り越します。こうすることで、達成感が得られますし、取りこぼしも防げます。

計画を立てるときに大事なのは、いつ何をするかを、できるだけ子ども自身に考えさせることです。親は、様子を見ながら子どもにアドバイスする程度に留めたほうがいいでしょう。なぜなら、自分で決めたことはやる可能性が高いですし、自学自習の習慣をつけることが、この先中学に入ってからもとても大事だからです。

[6年生]家庭では健康管理とスケジュール管理に徹する

6年生の夏休みは、合否を分ける天王山ともいわれる時期。子どもも徐々に受験生の顔つきになってくる頃です。

「学習面では、秋からは算数・国語の演習や過去問対策に時間をかけたいので、夏期講習の間に、社会や理科の知識問題を一通り完成させておくといい」と前述のベテラン先生は言います。

6年生のこの時期は、1日6時間から、長いと10時間くらい塾にいる子どももいます。かなり疲れて帰ってきますから、家は疲れた頭と体を休める場所にしましょう。睡眠がちゃんと取れているかもチェックです。

子どもの体調管理とともに重要な親の仕事がスケジュール管理です。6年生の夏を境に、子も親もやることが圧倒的に多くなります。優先順位をつけないとこなしきれません。この時期は親子一丸となって優先順位を考え、スケジュールを立てて学習をすすめる必要があります。

なによりも心がけたいのは、規則正しい生活

夏休みの過ごし方が秋以降の成果に影響するといわれています。それぞれの学年によって目標とやることは変わるでしょう。しかし、各学年で共通してなによりも心がけたいことは、規則正しい生活を送ることです。

一度夜更かし、朝寝坊のクセがついてしまうと、元に戻すのは想像以上に大変です。生活のリズムを一定に保つことを心がけ、そのなかで何をするかを考えましょう。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

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