中学受験ノウハウ 過去問

[過去問の解き方]いつから始めて、どのような順番で、何年分解く?

2019年8月27日 吉崎 正明

過去問演習は、正しく計画的に取り組むことで、しっかりとした効果を発揮することができます。今回は、いつから、どのように過去問を演習すべきか、基本的なルールを確認しながら解説します。

過去問を始める前に確認したい3つのこと

6年生の2学期からすぐに過去問を始める子は少なくありません。しかし、開始時期は受験生の状態によって異なります。過去問に取り組む前に次の3点を確認すべきです。

【1】基本のやり残しがほとんど残っておらず、基本がしっかりできているか
【2】過去問において、意識すべきことを理解できているか
【3】過去問を解く時間、解き直す時間の確保と、その後の行動計画が明確か

【1】ができていなければ、過去問に取り組んでもかえって弱点ばかりで自信を失ってしまい、過去問をやればやるほど調子を落としてしまう可能性も否めません。このようなことを防ぐためには、基本をしっかり学ぶことが重要です。

【2】は、過去問に取り組む心構えです。受験生の多くは「合格者最低点」「合格者平均点」に意識がいきがちです。たしかに、それも意識すべきことかもしれません。

しかし、過去問を直前期に行うときに最も意識すべきことは、「出題傾向・難易度を知ること」「弱点を発見し、解き直しを通じて克服すること」です。漠然と過去問をやるだけでは、”点数取りゲーム”のようなものとなってしまいます。大切なのは点数よりも、「過去問で得たこと・学んだこと」を今後どのように活かすか、考えることです。この姿勢は、【3】を実行できるか、という行動計画の話にもつながります。

【3】は、普段の基本演習の時間との兼ね合いの問題です。【1】で説明した通り、過去問以上に、基本の反復が重要です。そのため、過去問演習をするために、普段の基本演習がおろそかになってしまっては本末転倒です。基本の演習時間が確保できていることを前提に、過去問演習の時間と解き直しの時間を計画に組み込みましょう。

以上の3点を踏まえ、過去問の開始時期を決定していきます。このあたりは、塾の先生などにも相談して決定していきたいですね。一般的な目安として、2月入試の学校の過去問は、12月中旬までに1周できることを目標に、早くて9月から、遅くても11月ごろには開始できるとよいでしょう。

過去問の取り組み方

過去問の解き方には、基本的なやり方があります。それらを踏まえた計画を立てることで、効率的に学習できます。

過去問に取り組む順番

それぞれ低い順から「志望校順で解く」、または「難易度順で解く」、という方法が一般的です。「志望校順で解く」場合、第二志望校以下の過去問で精神的に慣れた状態で第一志望校の過去問に入れます。「難易度順で解く」場合は、徐々に難易度が上がっていくため、学力の定着度合いがわかりやすいというメリットがあります。どちらの順でも、しっかりと計画を立てることが大切です。

各校の過去問を何年分解くか

志望校の優先度合いによります。第一志望であれば、最低でも5年分の過去問は解いておきたいところです。第二志望の優先度が第一志望とほぼ同じ場合は、第二志望の過去問も5年分は実施したいですね。

志望校の優先度合いと難易度などによって、過去問に割く時間を調整しましょう。たとえば、第三志望の過去問に取り組んで、合格できる実力が間違いなくあると判断した場合は、第三志望の過去問は1回だけで終わらせるなど、計画を早めることも可能です。

早くて9月、遅くても11月ごろから過去問を始めたいですが、開始時期によって何年度分解くか、という調整が必要です。

年度の順番をどうするか

主に次のようなやり方があります。

・「未来型」(古い年度から進める)
・「さかのぼり型」(新しい年度から進める)
・「変則さかのぼり型」(例:H29→H28→H27→H30)

やり残し防止とスケジュールの調整がしやすいのは、「さかのぼり型」と「変則さかのぼり型」です。よく保護者の方から「新しい年度は最後にやったほうがいいのでは…?」という質問も受けますが、新しい年度ほど積極的に実施して良いと考えます。なぜなら、本番の中学入試は、直近年度の過去問と似た形式で出題される可能性が高いからです。

過去問を解くスケジュール

1日でひとつの年度・学校の過去問を4教科分おこなうのが、基本的な取り組み方です。しかし、ほかの学習との兼ね合いも考え、1週間のなかで4教科を分散して取り組んでも大丈夫です(火曜日に「国語・社会」/木曜日に「算数・理科」など)。また、教科ごとの基礎の定着度合いによって、「国語は9月から始め、算数と理科と社会は10月から始めよう」といった差を設けるのもひとつの方法です。

過去問についてのよくある質問

過去問について、私がよく受ける質問にお答えします。

過去問の制限時間はどうすればいい?

過去問に取り組む時間は、タイマーやストップウォッチを使って正確に計りましょう。「試験時間からマイナス5分する」といったように、時間を短縮して取り組む受験生もいますが、実際の試験時間でおこなうことをおすすめします。本番と同じ時間でやることで、時間配分の感覚が覚えやすくなります。また、検算や解答欄のズレがないかといった見直しにあてるための「残り時間」の使い方も考えることができます。

解答用紙と問題用紙はどうやって準備すればいい?

市販の過去問は、巻末などに解答用紙の縮小版がついています。それをB4かA3に拡大コピーして使いましょう。問題用紙も、手間はかかりますが、複数回使うことや、書き込みやすさを考えると、コピーできるとよいです。ちなみに、市販の過去問は問題がぎっしりと詰まっていることが多いので、計算するスペースがほぼありません。別途、A4用紙やノートを用意しておくと便利です。

著作権の関係で解けない過去問があるんだけど……?

年度によっては、著作権の問題で、問題文や過去問そのものがない場合があります。各学校で配布している過去問にも掲載されていない場合は、「ほかの受験生も皆同じ条件だ」と考えるようにして、掲載されている問題に集中しましょう。塾の先生などにお願いすれば、代替案をアドバイスしてくれるかもしれません。

社会の過去問の、古い時事問題・統計データはどのように扱えばいい?

社会の過去問は、年度によって古い時事問題・統計が出てきます。古い時事問題は「こういうこともあったんだ」と知識として学習しましょう。統計も根拠となるデータが古く、“不正解”になることがしばしばあります。こういった場合は、不正解でもあまり気にする必要はありません。もし自信がない場合は、新しいデータをもとに確認しましょう。

過去問に計画的に取り組むことで、試験本番の戦い方を身につけよう

過去問は、しっかりと準備して取り組むことが大切です。工夫を重ねつつ、試験本番に活かせる戦い方を身につけてください。多くの受験生の努力が結果につながるよう、祈っています。

※記事の内容は執筆時点のものです

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