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石灰石が塩酸に溶けると気体が発生~化学反応式より物質の名前に注意!

2018年6月28日 東荘一

二酸化炭素を発生させる実験は、酸素を発生させる実験とともにあまりに有名で、受験生にとっては避けて通れないものです。化学反応式を覚える必要はありませんが、使用する薬品名と物質名は覚えておきたいものです。

石灰石に含まれる物質は「炭酸カルシウム」なのですが、似た名前の物質(「炭酸水素ナトリウム」「水酸化カルシウム」「炭酸水素カルシウム」など)が存在しますので、間違えないようにしてください。

今回は、前半で二酸化炭素の発生実験に関する要注意点を、後半で「炭酸カルシウム」に関する要注意点を整理します。

石灰石が塩酸に溶けると気体が発生~二酸化炭素の実験における注意点

使用する薬品と物質名を覚えるとともに、特に「炭酸カルシウム」を含む固体は石灰石のほかに何があるのか、つまり石灰石以外で何を使えば二酸化炭素が発生するのか覚えておきましょう。

また、二酸化炭素を発生させる実験機器において、三角フラスコ内に設置する2本のガラス管は長さが異なります。どちらが長くどちらが短いのか、理由とともに気体の発生するようすを把握しておきましょう。

石灰石が塩酸に溶けると気体が発生~使用する薬品と物質の名前

使用する液体の薬品名を問われた場合は「塩酸」と答えますが、「使用する液体は何ですか?」と問われたら「うすい塩酸」と答えるのが正解です。化学実験では急激な反応を避けるため薬品をうすめて使用しますが、「うすい塩酸」という名の薬品はないので、問題によってどのように回答すべきか注意が必要です。

図の実験では、「石灰石に含まれる炭酸カルシウム」が「塩酸に溶けている塩化水素」と反応するので、炭酸カルシウムを含む物質であれば二酸化炭素が発生します。たとえばチョークや大理石、生物に関係するものであればサンゴ・フズリナ・卵のから・貝がらなどです。

石灰石が塩酸に溶けると気体が発生~三角フラスコ内のガラス管の長さ

三角フラスコ内のガラス管は、石灰石に触れる部分は長く、もう一方は短くなっています。その理由には、化学反応で「二酸化炭素」のほかに「塩化カルシウム」と「水」も生成されることが関係します。

「塩化カルシウム」を覚える必要はありませんが、「塩酸」と「炭酸カルシウム」を足して2で割ったような名前なので分かりやすいと思います。「水」は見逃してしまいがちですが、実験が進むにつれて反応で生じた水がたまっていくことになります。

化学反応は塩酸に含まれる塩化水素と、石灰石に含まれる炭酸カルシウムが触れて起こるのですから、たまっていく水を通り抜けて塩酸と石灰石が触れ合わなければなりません。そのため石灰石のできるだけ近くまでガラス管を設置する必要があるので、一方は長く設置されています。

一方、もう片方のガラス管が短い理由は、二酸化炭素が三角フラスコの底からたまっていき、少しずつ中の空気を追い出していくためです。塩酸と石灰石で発生する二酸化炭素が空気よりも重いため、上から空気が出ていくことを考えて、ガラス管の出口を上のほうに設置しているわけです。

石灰石が塩酸に溶けると気体が発生~似た名前の物質に注意!

特に二酸化炭素の発生に関連する物質には、似た名前でまったく異なる物質もあるため、ここで整理しておきます。すべての名前を覚える必要はありませんが、そのようなものもあるのだ、ということを知っておいたほうがいいと思います。

ちなみに、これほどまでに名前の似た物質が多いのは、二酸化炭素の実験に関するものだけですので、ご安心ください。

「石灰石」と「石灰水」

「石灰石」に含まれる物質は「炭酸カルシウム」で、「石灰水」には「消石灰(水酸化カルシウム)」が溶けています。水に溶けない「炭酸カルシウム」と、水に溶ける「水酸化カルシウム」は名前が似ているものの全く性質の異なる物質です。

「水溶液」のテーマで学習する現象ですが、石灰水に二酸化炭素を吹きこむと白くにごります。これは水酸化カルシウムと二酸化炭素が反応して、水に溶けない「炭酸カルシウム」ができるからです。

「炭酸カルシウム」と「炭酸水素ナトリウム」「炭酸水素カルシウム」

二酸化炭素を発生させるために、塩酸と石灰石を使う方法とは別に、「重曹(じゅうそう)」を熱するという方法もあります。「重曹」は「重炭酸ソーダ」の略で、「炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)」という物質です。洗浄剤などとしてご家庭の台所にも置かれていると思いますので、ご覧になってみてください。

石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に二酸化炭素を吹きこむと、水に溶けない「炭酸カルシウム」ができて、白くにごることは先ほど説明したとおりです。白くにごった状態からさらに二酸化炭素を吹きこみ続けると、「炭酸カルシウム」は水に溶ける「炭酸水素カルシウム」という物質に変化するため、白いにごりは消えて透明の水溶液になります。

まとめ

◎ 石灰石に含まれる物質は炭酸カルシウムで、チョーク・大理石・サンゴ・フズリナ・卵のから・貝がらなどにも含まれます。

◎ 石灰石と塩酸で発生する二酸化炭素は空気よりも重いので、三角フラスコの底からたまり、中の空気を外へ押しだします。

◎ 「石灰石」に関連する似た名前の物質には、注意しましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

京都大学工学部、東京大学大学院(工学)、世界最大の外資系コンサルティング会社の共同経営者(パートナー)を経て、教育業務を開始。業界最大手の中学受験塾で、小学3~6年生3000名以上の理科を担当し、習熟度に応じて幅広い学習指導を行いました。学習方法や各テーマの解説をおこなう、小学生向けサイト(偏差値アップの勉強法)を運営しています。以下のリンクからご覧ください。

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