連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

家庭でどんなことをすればいい? 国語が苦手な子の成績を伸ばすには|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2019年12月24日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

国語の成績は、頑張ってもなかなか伸びない子がいる一方で、短期間で伸びる子もいます。家庭でどんな勉強をすればよいのか? 成績が伸びる子の特徴とは? 南雲先生に伺いました。

国語のつまずきの主な原因4つ

ただ問題集を解いているだけでは、国語の成績はなかなか上がりません。成績が上がる子は、自分が何でつまずいているのかを、塾の先生や親から教えられ、そのつまずきを克服することに取り組んでいます。国語のつまずきの主な原因は次の4つです。

① 本文が読めない。書いてある内容が理解できない

② 本文が読めて内容もある程度理解できるが、設問の意味がわからない

③ 設問の意味はわかったが、答えが探せない

④ 答えに当たる箇所は見つかったがうまく記述できない、または、どの選択肢を選ぶべきか迷ってしまう

このなかで一番深刻なつまずきは、①です。本文が読めないと答えを探すことも記述問題に答えることも難しくなります。国語の成績が上がらない原因は、ほとんどが①か②です。従って、本文が読めて設問の意味がわかるようになれば成績も上がる可能性があります。

親子で精読を繰り返すことが成績アップの近道

本文をきちんと読めず、内容が理解できない場合は、本連載の記事でもお伝えした通り、精読を繰り返すことが欠かせません。

以前、私の教室に通っていたA君は、国語がかなり苦手でした。長い文章が読めず、読むスピードは速い子と比べて3倍ぐらいかかっていたのです。そこで私はA君のお母さんに、「家庭でA君と一緒に本文と問題文を精読すること」をお願いしました。

数行ずつ親子で交互に本文を音読し、その都度内容を確認する。わからない言葉が出てきたら一つひとつ噛み砕いて教える。問題文も一緒に読み、何を聞かれているのか説明する。これを繰り返した結果、成績がぐんと上がりました。A君のように親子で精読に取り組んでいる家庭は、国語の成績が上がることが多いです。教室の生徒のなかには、わずか2カ月で偏差値が30台から60にアップした子もいました。

親子で精読するほか、もし家庭教師をお願いしている場合は、「とにかく本文を丁寧に読んで、子どもがわからない言葉があったら説明してください」とオーダーしてみるのもひとつの方法です。国語の学習は、「問題をどれだけたくさん解いたか」よりも、「どれだけ文章を読み込んだか」が大事。まずはきちんと読めるようになることを目指しましょう。

子どもが書く字の変化に注目する

国語の成績が伸びない子のなかには、雑な字を書く子が少なくありません。ところが、文章を丁寧に読む習慣をつけていると、あるときから、丁寧な字を書こうと意識が変わる子がいます。先ほど紹介した、偏差値が30台から60にアップした子もその一人でした。それまで雑な字を書いていたことに自分で気がついて、きちんと書こうとしたのです。これは文章を読む姿勢に通じるものがあります。文章は雑に読み飛ばしていると内容をきちんと理解できません。丁寧に読もうとする意識を持つことが大事です。

私はテストの採点をしていて、「この子、最近字が変わってきたな」と感じると、成績アップのチャンスだと思っています。答案には、「きれいな字だね」「こういう字が好きだな」などとコメントを入れて戻します。それがきっかけで、「国語の勉強を頑張ろう」とスイッチが入る子もいます。字がきれいになってくるのは、良い変化の兆しです。それを見逃さず、国語の勉強に力を入れてみるのもいいでしょう。

「わからない」と素直に言える雰囲気をつくる

いろいろな生徒を指導していると、わからないことは「わからない」と素直に言える子の方が、成績が伸びやすいと感じます。何がわかっていないのかを教える側が把握できると的確な指導ができるからです。

親子で学習するときも、子どもが本音で話せるように、うまくコミュニケーションをとれるのが理想です。ところが実際は、親はつい熱くなり過ぎて「あなたはこんなこともわからないの?」などと言ってしまいがちです。すると、子どもは本音を言いづらくなります。あまりにガミガミ言われるとうっとうしくなり、ついにはケンカになってしまうことも多々あります。

こうした家庭学習がつづくと、わからないことを人に言えないまま問題を解くという循環に陥りがちです。そうならないように、子どもが「わからない」と言ったときは、「お母さんもわからなかったわ」と合わせたりして、子どもが本当のことを言いやすい雰囲気をつくることも必要です。

国語の成績アップのポイントは、「丁寧に読む意識」を持つこと

国語は学年が上がるに従い本文の内容は難しくなっていきますが、どの学年でも基本的には「本文を読んで答える」ことに変わりはありません。もちろん漢字や言葉の知識など覚えるべきことはありますが、算数のようにさまざまな公式などの蓄積がないと全く問題が解けないことはないのです。

そう考えると、やはり一文ずつ丁寧に読む意識を持って学習に取り組むことが大事だといえます。本文を読み込む習慣をつけることで、それまでぼんやりとしか捉えられなかった内容が、霧が急に晴れるようにクリアに見えてくるようになります。おそらく文章の読み方や見方が変わってくるのでしょう。文章が読めるようになると、成績も徐々に安定してきます。ぜひ「丁寧に読む意識」を身に付けるよう心掛けてください。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。