
冬休み中の勉強の取り組み方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」
冬期講習が始まる時期に差し掛かりました。この時期、勉強に焦りが出てしまう受験生や、「子どもの勉強量はこれで足りているのかな……」と不安に思う親御さんもいるでしょう。今回は「冬期講習」をテーマに、年末年始の勉強量、過去問の取り組み方について解説します。
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冬休み中の勉強量
冬期講習になると、6年生の子は自ら進んで勉強するようになります。解けない問題が出てきたり、過去問を解いても合格最低点に届かなかったりすると焦り始めてくるからです。この時期は、大人から働きかけて追い込ませる必要はありません。そのかわり「今日はこの単元を重点的に復習してみよう」「明日はこの学校の○年度の過去問をやってみよう」といったように、やることを明確に決めてあげるとよいですね。
では受験学年とそうでない学年では、冬期講習の期間中にどれくらい勉強するとよいのでしょうか。
冬期講習期間中は、勉強時間よりも質を重視
受験学年は、冬期講習を乗り越えるだけでも大変です。その日の授業の内容を復習して理解すること、宿題をこなすこと、この2つをこなすことができればOKです。ただ受験生たちも自然と気合いの入る時期ですから、「もっと勉強しよう!」と思っている場合には過去問に取り組んでみるのもよいでしょう。ただし、冬期講習期間中は勉強時間よりも勉強の質を重視して、無理しすぎないのが肝心。勉強のしすぎで寝不足になるのも厳禁です。
4、5年生の場合は、冬期講習以外で2時間の勉強ができれば上出来です。気分転換や遊ぶ時間、塾以外の習い事などの時間も毎日きっちり確保しつつ、机に向かって宿題をやる時間も設けましょう。宿題が終わってまだ気持ちと体力に余裕があるならば、授業の復習をしたり、得意科目の勉強をしたりしてもよいですね。
年末年始の過ごし方
年末年始に休校になる塾では、ボリュームのある宿題を出すことが多いです。私の塾(桜学舎)でも、「お歳暮」と称した宿題をどさっと出しています。そのため年末年始の勉強のメインは、塾から出された宿題を消化することとなります。年末年始は家族の団らんを楽しみつつ、机に向かう習慣は途切れさせないようにしたいですね。
受験学年の子は、最低6~7時間の勉強量を確保
年末年始の時期は、4・5年生は遊びの予定も入れながら宿題もこなしていけばOKです。しかし受験学年の場合は、塾の休校期間中は最低6~7時間くらいの勉強量は確保してほしいですね。まとめてやると集中力が続きませんから、勉強時間は分散させましょう。たとえば、午前中の9時~12時を勉強にあて、お昼休憩をはさんで15時~17時まで勉強、そこからテレビを見たりご飯を食べたりしたら20時~22時まで勉強。これだけで7時間分の勉強量が確保できます。気持ちが乗っていたら、もう少し勉強時間を増やしても大丈夫です。
1月1日は、この先の目標を思い描く時間に
私は受験学年でも、1月1日は勉強から離れてよいと思っています。「一年の計は元旦にあり」といいますが、目標に思いを馳せることも大切です。小学校生活の最後の冬休みですから「中学校に入ったらサッカー部に入って1年生のうちから試合に出られるように練習しよう」「受験が終わったら習い事のダンスを再開して、次の発表会に向けて頑張ろう」といった目標を思い描く時間にあててほしいですね。
過去問の取り組み方
冬休みのまとまった時間を、過去問にあてる子も多いでしょう。過去問の取り組み方は、塾の指導によってそれぞれです。大手塾は4年生から中学受験のカリキュラムが始まり、6年生の夏休みでひと通りの学習が終わるため、9月以降に過去問に取り組むことが多いです。一方で中堅校を目指す私の塾では、入試が1月にスタートする埼玉県の過去問は12月上旬から、2月頭に入試が始まる学校の過去問は冬期講習ごろから解き始めるように指示しています。
ここからは、難関校を目指す子と、中堅校を目指す子の過去問の取り組み方の違いについて解説します。
「トレーニング型」と「リハーサル型」
過去問の取り組み方は、「トレーニング型」と「リハーサル型」に大きく分類できます。「トレーニング型」とは、過去問を“参考書代わり”として使う解き方です。難関校を目指す子の過去問の解き方に多く見られますね。難関校は学校ごとの問題傾向に特徴があるため、まずは問題の形式に慣れていく必要があります。そのため、たとえば「大問1と2は毎年同じような問題が出る」のであれば、その学校の過去問の大問1と2を集めて解いたり、ほかの学校の過去問や参考書から類似問題を引っ張ってきて解いたりすることが必要です。
一方で中堅校を目指す子が多い私の塾では、過去問演習は「リハーサル型」をとっています。「リハーサル型」とは、本番の入試を想定して過去問を解くことです。中堅校の入試は基礎的な内容を問う問題が多く、学校ごとの問題の傾向を細かく把握することはそこまで重要ではありません。その一方で、過去問を使って入試の時間配分を体で覚えておくことは大切です。また入試本番に向けて安心材料を増やしたり、奮起したりするきっかけとするために過去問を使うこともできます。過去問の年度ごとに自分の点数と合格最低点を見比べて、「合格までの距離がどれだけあるのか」が把握できるからですね。
過去問に取り組むときの注意点
お子さんが受験する学校の過去問は、すべて家庭で取り揃えておきましょう。滑り止めの学校だから過去問を買わない、やらないというのは考えものです。「滑り止めだから過去問をやらなくても受かるよ」と思っていても、入試には”魔物“が棲んでいるもの。模試で合格圏に入っていても、油断していると思わぬ結果になることもあります。
ちなみに受験する学校の「特進コース」だけを受ける場合でも、一般クラスの問題も含めて過去問に取り組んでおきましょう。「やるだけのことはやった」と思えるためには、過去問にくまなく取り組むことが必要です。「滑り止めだから」といった油断をせずに全ての問題に取り組んでおけば、「あのとき解いておけばよかった……」といった後悔にもつながりません。
過去問を取り組む順番にも注意が必要です。いきなり第一志望の学校から取り組むのではなく、偏差値の低い学校から取り組んでいきましょう。受験直前期は親子ともに気持ちがはやっていることもあり、第一志望校の過去問から手を出してしまうことは少なくありません。しかし第一志望の過去問で、いきなり合格最低点を上回る点数を取るのは難しいもの。モチベーションも下がってしまいます。
はやる気持ちはおさえて、まずは偏差値の低い学校の過去問からじっくりと取り組んでください。手応えをつかんでいったあとに、「最後は第一志望校だね。頑張って立ち向かおう!」と励ましてあげることで、子どもは気持ちが乗ったよい状態で第一志望校の過去問にチャレンジできます。
冬休みでも、子どもにしてあげられることは変わらない
受験直前期の冬休みであっても、親御さんができることはいつもと変わりません。テストでいい点をとったらほめてあげる、うまくいかなかったときは励ましてあげる。ニコニコして、子どもの背中を一押ししてあげれば十分なのです。「周りを気にせず、思いっきりやってみなさい!」とお子さんを勇気づけてあげてください。
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