連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

入試直前期に心がけたい「親のサポート」―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年12月16日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

前回は、受験は“総力戦”であるという話をしました。親、塾の先生、塾の友だちとのつながりを強くすることで、受験勉強を乗り切ることができることをお伝えしました。今回は、入試直前期に心がけたい「親のサポート」について解説します。

入試直前期【1】不要なストレスを与えない

入試直前期の子のモチベーションに最も影響するのが、親御さんの関わり方といっても過言ではありません。子どものやる気を削がずに、気持ちを高める接し方について解説します。

心配事があっても表に出さない

まず絶対条件として、とにかくネガティブなことを子どもに言わないことです。「ウチの子だけが思うように成績が伸びない……」といった悲観的なことを考えてしまう時期ではありますが、子どもの前では不安な表情を出さないようにしたいですね。親の理想どおりに成績が伸びているお子さんは、おそらく全体の1%もいません。

子どものモチベーションを損なわないための一番シンプルな方法は、どんなときでも親御さんが「大丈夫だよ」と言い続けることです。そして受験勉強で心配事があっても恐い表情をせず、ニコニコしていることも大切です。おいしいご飯をつくって家のなかを明るくしたり、子どもがたとえ失敗しても追い込まれることがないような雰囲気をつくったり、入試直前期こそどっしりと構えておきましょう。

入試直前期こそ「セコンド」に徹する

入試直前になって子どものやる気がなくなっている、へこんでいる、どうしようか迷っている……。そんなとき、子ども自身をもう一度奮起させるためにどんな言葉をかけたらいいか悩みますよね。

こうした場合は、多少は誇張が入ってもいいので子どもに“魔法”をかけてあげましょう。「今はちょっとやる気をなくしてるだけだよね。でも、頭がいいから頭が悪いわけじゃないんだから、あと少し頑張ればすぐに成績が上がるのに。もったいないな~」といったように子どもを励ましてあげてください。ポイントは、親御さんが内心では焦っていてもその気持ちは見せず、むしろ余裕のある姿を見せることです。

例えるなら、ボクシングのリングに控えている「セコンド」のような役割ですね。敵と対戦する選手に、「あいつは強いぞ! このままじゃムリだ! 負けるぞ!」とは言わないですよね。こうした言葉をかけられて、選手が奮起することはなかなかありません。一方で「相手は大したことないぞ! あと少しで倒せるぞ! もうひと踏ん張りだ! お前ならできるぞ!」と応援したほうが、選手のモチベーションは上がります。

やる気が奮い立つ言葉は、子どもによって違います。親自身が冷静になって子どもの様子を見守ってあげることで、状況に合わせた言葉をかけてあげましょう。

入試直前期【2】小学校にはできるだけ登校させる

入試直前期になると、小学校を休む子も出てきます。やむをえない理由で休んでしまうのはしょうがないですが、私はできるだけ直前期であっても小学校には行ってほしいと考えています。

直前期は「いつも通り」を心がける

入試直前になると、子どもは不安や焦りでストレスがたまりがちです。そんなときに学校に行って友達と楽しくしゃべったり、体育の授業で体を動かしたりすることで、気分転換できるんですね。また学校を休んでしまうと、いつもは学校にいるはずの時間に家にいることになります。この“非日常な時間”が、余計な緊張感を生み出してしまうこともあります。直前期であってもなるべく小学校に通うなど、「いつも通り」を心がけると気持ちを落ち着かせることができます。

「やるべき勉強」が終わっていない場合は、休むことも検討する

やるべき勉強が入試当日までにどうしても消化しきれない、といったときは小学校を休むことを検討してよいかもしれません。入試が3日後に控えているのに、まだ過去問が4年分残っているといったケースですね。学校を休む場合は、その日にやるべきことを親子で明確にしておきましょう。「午前に過去問を1年分、午後にもう1年分というスケジュールで2日かけて終わらせる」といったように具体的にやるべきことを決めておくと、メリハリをつけて勉強できます。

入試直前期【3】簡単なスキンシップをとる

入試は、多くの子にとって初めての経験です。とくに入試が数日後に迫ったときは、気持ちの保ち方がわからなくなってしまう子も少なくありません。そんなとき、親御さんは簡単なスキンシップをとってあげてください。肩をポンポンとたたいてあげたり、背中にそっと手を当てたり、手を握ったりしてあげるだけでも、子どもの気持ちは落ち着くものです。これは、親子にしかできないコミュニケーションです。

ちなみに、入試前日に験担ぎでカツ丼を食べるなどというのもほどほどにしましょう。余計な緊張や胃もたれでかえってコンディションが悪くなったというケースがありました。入試が迫ってきたら、とにかく“非日常感”を与えないことが大切です。いつもと変わらないおいしいご飯をつくって、「明日の試験は心配しなくても大丈夫だからね」とひと声かけてあげられるとよいですね。

「いつもと変わらないサポート」が、何よりも支えになる

入試直前の子どものモチベーションを維持したり、気持ちを高めたりするためには、親のかかわり方が重要です。気をつけたいのが、大げさに鼓舞してしまうこと。「応援しているよ」という気持ちをシンプルに伝えたうえで、いつもと変わらないサポートに徹することが、子どもにとっては何より嬉しいことなんですね。

次回は「冬期講習」についてお話します。受験生の実力が本番でピークを迎えるためには、冬期講習期間中に“追い込みモード”になることが重要です。あわせて、年末年始の過ごし方、過去問の取り組み方についても解説します。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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