中学受験ノウハウ 公立中高一貫校

公立中高一貫校の適性検査対策━━毎日の生活のなかでも思考力と表現力は伸ばせる

2020年1月07日 大沢有貴子

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公立中高一貫校の適性検査では、思考力と表現力が問われます。受検対策の塾では、この2つの力をつける授業が主におこなわれていますが、普段の生活のなかでも思考力と表現力は高められます。今回は、実際に公立中高一貫校に進学した子をもつ私がおこなっていた工夫を紹介します。

【1】 道案内

適性検査の問題は、大きく分けて以下の特徴があります。

・図表を読み取って意見を述べる問題
・記述問題
・作文

そのうえで、わが子の受検を振り返ると、適性検査に合格するために必要な力は以下の2つだったと考えています。

1、情報を整理して、筋道を立てて解決策を考える力
2、伝えたいことをわかりやすく表現する力

これらのトレーニングは、普段の生活のなかでも可能です。おすすめは、意外に思えるかもしれませんが「道案内」です。

なぜ、道案内なのでしょうか。道案内をするには、地図を読み取って道順を組み立て、わかりやすく説明する力が必要です。これは、適性検査に通ずるものがあります。適性検査で問われる内容も、「条件を整理して答えを組み立て、採点者に伝えわるように解答するもの」が多いからです。

道案内というと、旅行などをイメージするかもしれませんが、遠出しなくても道案内の機会はあります。ショッピングセンターのなかにある店舗まで、スーパーで目的の商品が置いてある売り場までなどでも、子供に道案内をさせることができます。車なら、カーナビに頼らずにどの道で目的地まで行くか、電車ならどの路線を使って目的の駅まで行くか、といったことを子供に考えさせてもよいですね。

小学校低学年の子でも、道案内なら取り組みやすいでしょう。わが家では、子供が小学2年生のときからよく道案内をさせていました。いま思うと「情報を整理して、筋道を立てて解決策を考える力」「伝えたいことを分かりやすく表現する力」が自然と身につき、中高一貫校に合格できたポイントのひとつだったのかな、と思っています。

【2】 友だちや親子間のコミュニケーション

適性検査に合格するために必要な、思考力と表現力。この2つの力は、友だちや親子間のコミュニケーションのなかでも身につけることができます。

子供が友だちと遊ぶときに、どのように約束をしてきますか?「いつ、どこに集合して、何をして遊んで、家に戻ってくるのは何時になるか」といったことを友達と相談して、さらに親に伝えることは、子供にはなかなか難しいことです。

約束は、「お互いの希望と条件を理解して、遊びの内容を決めること」といえます。つまり、適性検査で問われる「思考力」(情報を整理して、筋道を立てて解決策を考える力)にあたるでしょう。

そして、「約束の内容をお互いに理解しているか確認して、親にも分かりやすく伝えること」は、「表現力」(伝えたいことを分かりやすく表現する力)にあたるといえます。

子供から「友だちと遊ぶ約束をした」と言われて、約束の内容を聞いても説明が要領を得ないとき、子供に聞き直すよりも親同士で確認したくなりますよね。しかし、そこで辛抱強く子供に説明させることで、思考力と表現力のトレーニングにつながると考えて、わが家では子供に説明をさせていました。

ちなみに、子供が欲しいものをねだるときもトレーニングのチャンスです。以下のようなことをわが家では子供に考えさせ、説明させてきました。

・欲しいのはなんで?
・それを買うことで、どんな良いことがあるの?
・どのように使うの?
・使うルールはどうする?

【3】 子供が好きなこと

思考力や表現力をトレーニングするきっかけは、親が誘導しなくても、子供自身が見つけることもあります。わが家では、お菓子づくりでした。

わが子は、小学校に入学する前からお菓子をつくりたがりました。最初は私と一緒につくっていましたが、だんだんと子供ひとりでつくるようになりました。図書館でレシピ本を借りたり、インターネットでレシピを検索してファイリングしたりするようになり、一緒に買い物しても子供だけで食材を選ぶように。高学年になると、つくりたいものと材料を子供が私に説明して予算を決めて、ひとりで買い物にも行くようになりました。

メニューを決めて、買い物をして、段取りよく調理するには、「思考力」が必要ともいえます。親に許可をもらって材料を買うためには、「表現力」が大切といえるでしょう。いま振り返ると、わが子は「お菓子づくり」という課題を自然と見つけていたのかもしれません。

子供は、自分からやりたいことを見つけたときに驚くような力を発揮することがあります。親がその力を信じて見守り、サポートすることは、子供の自立にもつながると思います。公立中高一貫校の適性検査に合格するために大切な、思考力と表現力を、楽しく身につけることができるかもしれません。ちなみに、ひとりで楽しそうにお菓子づくりをするわが子を見ていると、親離れが頼もしいような、ちょっと寂しいような複雑な気持ちを抱きます。

日常生活のなかでもトレーニングできる

普段の親子のやり取りを少しだけ工夫すると、思考力と表現力を伸ばす機会が増えます。生活のなかで培った力は、教科書で学んだ知識よりも“応用が効く力”になるともいえます。公立中高一貫校を目指す子をもつ親御さんは、日常のなかにちょっとした工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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