シリコンアイランドとは? 中学入試に出やすい半導体産業のポイントも解説
小学校の社会科には「シリコンアイランド」という言葉が登場しますが、シリコンの知識も不安なのに、半導体とか集積回路とかの用語も出てきて、子供に説明できなくて困っている……という方も多いのではないでしょうか?
そこで、まずはシリコンアイランドについてわかりやすく解説するとともに、「ニュースなどで耳にする半導体産業って何?」という疑問にも回答します。中学入試の頻出ポイントもお伝えしますので、中学受験を目指している子もぜひチェックしてみてください。
Contents
シリコンアイランドとは「九州」のこと
シリコンアイランドとは、ずばり「九州」のことです。
そもそもシリコンアイランドは、「コンピュータの部品(集積回路)をつくる工場がたくさんある島」という意味を指す言葉。そして九州は、かつて世界のコンピュータ部品の1割ほどを製造する地域だったため、「シリコンアイランド」と呼ばれるようになったのです。
シリコン=集積回路の原料
アイランド=島
集積回路の工場が集まっている
九州には、集積回路をつくる工場がたくさんあります。
九州に工場が集中している理由は色々考えられますが、なかでも「豊富な労働力」と「水」が手に入る立地だから、という理由が定説です。そのほか、九州各地に空港が整備されていたから、というのも理由のひとつと言われます。集積回路については、この先で詳しく解説します。
「カーアイランド」とも呼ばれる
九州には自動車の工場もたくさんあることから、実は「カーアイランド」とも呼ばれています。
カー(Car)=自動車
アイランド=島
たとえば北九州工業地帯は、宮若や苅田(かんだ)などの自動車生産都市を抱える大工業地帯です。ちなみに宮若と苅田については、自動車産業の都市、そして北九州工業地帯を代表する工業都市としての一面があることも押さえておきましょう。
中学入試のポイント
シリコンアイランドの意味について理解できましたか? では次に、中学入試で問われやすい3つのポイントを解説します。
中学入試のポイント
- 半導体産業の推移
- 半導体産業のさかんな地域
- 半導体工場の立地条件
ポイント[1]半導体産業の推移
1980年代から1990年代は、世界の半導体の半分以上を日本が生産していました。つまり、世界でダントツの生産量を誇っていたのです。しかし2000年に入ったころから、日本の電気メーカーは半導体の生産から次々と撤退。現在はアメリカと韓国、そして台湾が半導体のシェアを占めています。このあたりは、世界情勢の知識としてもしっかり押さえておきましょう。
ポイント[2]半導体産業のさかんな地域
日本では九州が「シリコンアイランド」と呼ばれていますが、世界に目を向けてみると、半導体産業がさかんな地域は同じように「シリコン○○」といった名前がつけられています。
世界最大の半導体産業国、アメリカの「シリコンバレー」は日本でも有名ですね。半導体産業が急成長している韓国には「K半導体ベルト」と呼ばれる地域があり、台湾の生産地域は「台湾のシリコンバレー」といった呼ばれ方もしています。ちなみに日本には、東北自動車道沿いに「シリコンロード」と呼ばれる地域もありますよ。
ポイント[3]半導体工場の立地条件
半導体工場の立地条件は重要な知識なため、中学入試にもよく出題されます。
半導体の工場は、空港の近くか高速道路の沿線に立地していることがほとんど。ちょっと特徴的な場所ですが、そこに位置している理由は、半導体には「とても軽い」という特徴があるからです。
そもそも、モノを輸送する代表的な手段は「船舶/鉄道/自動車/飛行機」の4つです。そのなかでも、半導体は軽いからこそ“超スピード”で海外まで運べる「飛行機」、そして工場の入り口まで運べる「自動車」という輸送手段が選ばれる傾向にあります。ちなみに、いくら軽くても、たとえば安価な衣服なんかを飛行機で運ぶと運搬料が高いので採算が合いません。しかし半導体は高く売れることから、飛行機を使ってもしっかりと採算がとれるのです。
そのほか、製鉄工場はその多くが港の近くに建設されています。理由としては、鉄鉱石を輸入するのに便利だからです。そして製紙工場は、森林が豊かな河口近くに位置しています。紙をつくるためには木材の搬入が必要で、水も大量に使うからですね。
半導体産業の理解を深めよう
半導体産業について、もう少し詳しく解説します。コンピュータに関係する言葉であることはなんとなくわかるけど、何を指す言葉かいまいちわからない……。こうしたモヤモヤを抱えている人は、これからお伝えする内容をぜひチェックしてみましょう。
どうして「半導体産業」って呼ばれるの?
半導体産業は、コンピュータの部品をつくる産業を総称して指す言葉。そのほかに「シリコン産業」と呼ばれたりすることもありますが、このようにさまざまな呼ばれ方をする理由は、コンピュータで特に重要な部品とされる集積回路が「半導体」でつくられているからです。そして、その半導体の代表的な材料が「シリコン(ケイ素)」なのです。つまり、コンピュータをつくるうえで欠かせない部品や材料だからこそ、コンピュータ産業は別名として「半導体産業」や「シリコン産業」と呼ばれているのですね。
集積回路
集積回路とは、コンピュータの製造で”最も重要“とされる部品です。目に見えないくらいの小さな電気回路を集めてつくられていることが特徴で、コンピュータだけでなく、スマートフォンや家電、自動車や電車、工場や発電所など、世の中のあらゆるものに使われています。
集積回路ができることをザっとまとめると、次のとおりです。
集積回路の代表的な機能
- 演算ができる
- 制御ができる
- 記録ができる
演算とは、簡単にいうと「計算」のことです。集積回路があることによって、ケタ数の多い計算でも瞬時に答えを出せます。制御とは、シンプルに言うとほかの装置のスイッチを入れたり落としたりできる機能のこと。記録とは、その名のとおり情報を記録する機能です。このように、小さな集積回路には複雑な機能が詰まっているのです。
ちなみに理科の実験で電球と電池、そして銅線で回路を組み立てた人もいるかもしれませんが、集積回路とは簡単にいうとあのようなイメージです。実際には無数の電気回路が集まってつくられていますが、電池や電球などを使って集積回路をつくるのは大変……。そこで登場するのが「半導体」です。
半導体
まず、電気を通す物質は「導体」、電気を通さない物質は「絶縁体」と呼ばれます。たとえば鉄や銅は電気をよく通すので導体ですが、ゴムやガラスは電気を通さないので絶縁体とされます。
一方で、条件によって電気を通したり通さなかったりする物質もあり、それが「半導体」と呼ばれます。温度を変えることで電気が通らなくなったり、いつもは電気を通さないけど別の物質を混ぜると急に電気を通すようになったり、という物質だとイメージしておきましょう。
そして半導体は、集積回路にも利用されています。具体的には、シリコンでできた大きな板(シリコンウェハー)の上に回路のパターンをプリンタのように印刷することで、超複雑な回路をつくることができるのです。
シリコン
シリコン(ケイ素)は、半導体の主な原料です。
地球上には約100種類にも及ぶ元素が存在しますが、そのひとつがケイ素です。実は、酸素の次に多いとされている元素で、半導体づくりにおいても欠かすことができません。
ちなみにケイ素は、別の物質が混ざっているとほぼ使い物にならないため、純度を上げたシリコンの板をつくることも半導体産業では重要な工程とされています。
まとめ
半導体の工場がたくさんあることから、九州は「シリコンアイランド」と呼ばれます。そしてシリコンだけでなく、半導体もコンピュータの部品をつくるうえで欠かせないため、”コンピュータをつくる産業“を表す代名詞(シリコン産業/半導体産業)として使われているのですね。
中学入試に関しては、半導体について問われるケースが一般的です。改めて、出題されやすいポイントを押さえておきましょう。
中学入試のポイント
- 半導体産業の推移
- 半導体産業のさかんな地域
- 半導体工場の立地条件
※記事の内容は執筆時点のものです
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