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【中学受験の理科攻略】植物の分類 ―― 単子葉類と双子葉類

専門家・プロ
2020年6月02日 伊丹龍義

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植物の分類のなかでも、覚えることが多いと思われやすいのが「単子葉類と双子葉類」です。中学受験の出題頻度が高い分野でもありますが、実はたったひとつのポイントを押さえるだけで覚えやすくなります。基本知識を確認したあとに効率よく覚えるポイントをお伝えしますので、教科書や資料集、塾のテキストなどを手元に用意して読み進めてみてください。

単子葉類と双子葉類の基本知識

まずは、単子葉類と双子葉類の基本知識から確認します。

子葉とは?

「子葉」とは、最初につくられる葉っぱのことです。子葉が1枚のものを「単子葉類」、2枚のものを「双子葉類」と分類します。これだけの差であれば「わざわざ分類しなくてよいのでは?」と思いますよね。しかし単子葉類と双子葉類のつくりを観察していくと、葉っぱ、根っこ、そして茎(くき)の断面のつくりまで大きく異なっていることがわかります。

(左:単子葉類/右:双子葉類)

葉っぱ(葉)

葉っぱには、それぞれ以下のような違いがあります。

■単子葉類
葉の筋(葉脈=人間でいう血管)が同じ方向に並んでいる「平行脈」というつくりをしている
■双子葉類
葉の筋が網目状になっている「網状脈」(もうじょうみゃく)というつくりをしている

根っこ(根)

■単子葉類
根が一か所からさまざまな方向にのびている「ひげ根」というつくりをしている
■双子葉類
太い根(主根)が中心にあり、そこから細い根(側根)がさまざまな方向にのびている「主根と側根」というつくりをしている

茎の断面

■単子葉類
茎の切り口を見ると、水や養分を運ぶ管が全体に散らばっている
■双子葉類
管が中心から同じ距離に円状に並んでいる

双子葉類のほうが「効率的」

単子葉類と双子葉類の葉・根・茎の特徴のちがいは、一言でいうと「効率化」です。

最初に地球上に現れた「単細胞生物」といわれる生き物は、生きていくために必要なことを身体の一か所だけで全て行っていました。しかし生き物は進化していくにつれて、効率化するために「役割分担」を進めます。たとえば私たち人間の身体は、手・足・頭など多くの部分に分かれ、それぞれが役割分担をすることによって効率的に機能させるつくりをしています。これは植物も同じです。双子葉類は単子葉類が進化したかたちですが、進化するなかで効率化を進めてきたため、単子葉類より双子葉類のほうが役割分担がしっかりした“効率的なつくり”をしているのです。

「役割分担」と「効率化」というポイントを意識すると、単子葉類と双子葉類の違いがより詳しく見えてきます。

葉っぱ(葉)

■単子葉類
同じような筋がたくさんある
■双子葉類
太い筋が中心に一本あり、そこから細かい筋が出ている(役割分担ができている)

根っこ(根)

■単子葉類
同じような根っこがたくさんある
■双子葉類
「主根と側根」というつくりをしている(役割分担ができている)

茎の断面

■単子葉類
管が全体に散らばっている
■双子葉類
管が規則正しく並ぶことで、効率的にものを運べるつくりをしている

単子葉類の仲間をまずは覚えよう

実は、私たちが「植物」という言葉から思い浮かぶもののほとんどが双子葉類の仲間です。そのため、数少ない単子葉類の仲間を覚えておいて、それ以外は双子葉類だと知っておくと覚えるものが少なくてすみます。

単子葉類の代表例

「葉っぱの筋が同じ方向に入っている」という単子葉類の特徴をもとに、日常のなかで見かけることが比較的多く、中学受験の出題頻度が高い単子葉類の植物を紹介します。

イネ

田植え体験をしたことがある人はわかると思いますが、イネの葉には一方向にスッとした筋が入っています。

トウモロコシ

私たちが主食として食べる三大穀物(米・小麦・トウモロコシ)は、すべてイネ科の植物です。たまにスーパーなどで葉っぱがついたトウモロコシが売っているので、トウモロコシの葉も確認してみてください。

ササ

ササも、イネ、トウモロコシと同じく「イネ科」の植物です。七夕に飾るササの葉を思い出すと、葉っぱの筋が直線に入っていることがわかるかもしれません。

ユリ・チューリップ

単子葉類の花としては「ユリ」と「チューリップ」を覚えておきましょう。「ツユクサ」も単子葉類であり、出題頻度は高いのですが、生物分野はまずは大まかにイメージをつけ、細かい知識は問題を通して覚えていくのがおすすめです。

ポイントを押さえて区別しよう

単子葉類と双子葉類を区別するためには、以下のふたつを頭に入れておくことが大切です。特に「効率化」がポイントです。

単子葉類:葉っぱの筋が同じ方向
双子葉類:役割分担&効率化

単子葉類より進化した双子葉類は、葉っぱも根っこも役割分担ができています。茎のなかも規則正しく管が並んでいるなど、効率のよいつくりをしています。ポイントを押さえ、単子葉類と双子葉類を区別できるようにしましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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