中学受験ノウハウ 中学受験をするかどうか

「中学受験すると後で楽できる」って本当?

2020年6月04日 石井知哉

中学受験を始める動機のひとつに「後で楽できるから」というものがあります。では中学受験をすると、本当に後で楽できるのでしょうか? 主に大学受験との関係を踏まえながら解説していきます。

中高一貫校に進学する利点

「中学受験をすれば後で楽できる」という考え方には、どのような背景があるのでしょうか?

わが子の将来は、親であれば大きな関心事です。多くの保護者が、子供の大学進学を視野に入れていることでしょう。中学受験を考えている方のなかには、大学受験を意識して志望校を選んでいる方も多いと思います。そして多くの中高一貫校が、充実した進路指導や受験対策、難関大学への進学実績などを受験生や保護者にアピールし、それが人気の一因となっています。

事実、中高一貫校では、6か年計画をもとに大学受験に向けたカリキュラムが組まれていたり、高校受験を気にせずに学力を伸ばせたりと、大学受験に有利な面があります。

そして、センター試験から「大学入学共通テスト」に移行することをはじめ、2021年以降は入試制度が変わります。こうした先行きが不透明な現状も、「学習や進路指導に力を入れる中学校や、大学附属校・系属校なら安心」というイメージを後押ししています。

以上のような理由から、「中高一貫校なら大学受験に有利 → 中学受験をすれば楽できる」と考えられるようになったのでしょう。

附属中・系属中に入れば大学入学まで安泰?

「この学校に入れば後で楽できる」というイメージが特に強いのが、大学名を校名に付した附属中・系属中です。「中学 → 高校 → 大学」と進める、いわゆる「エスカレーター方式」の学校もあるため、今も昔も根強い人気を集めています。

では、こうした学校に入れば大学まで安泰といえるのでしょうか?

附属中・系属中の注意点

まず、附属中・系属中のすべてが楽々と大学まで進めるわけではないことに注意が必要です。

大学への内部進学の方式は、高校の成績をもとにしたり、内部進学用の試験をおこなったりと学校によって異なります。中学校3年間の成績が悪いと、大学どころか高校にも進学できず、高校受験が必要となることもあります。さらに6年間の在学中に制度が変わり、入学時とは状況が変わることもあります。

こうしたことから、附属中・系属中に合格することがそのまま「大学合格」を意味するとは限らないのです。そのため、大学進学をねらって附属中・系属中を目指すなら、その学校の内部進学のしくみについて知っておく必要があります。特に、卒業生の実際の進学状況、そのなかでも内部進学者の人数や割合について、学校ホームページや受験案内などで調べるのがおすすめです。

「後で楽できるから」で子供は勉強を続けられる?

「後で楽できるからがんばれ!」と伝えることは、子供を受験勉強に向かわせるために有効なことなのでしょうか? 実は、「後で楽できるのか。よし、がんばろう!」となる子は残念ながら多くありません。「楽をしている将来」は具体的にイメージしにくく、それに向けて今努力をすることは難しいからです。6年後の大学受験より、目の前の楽しいことを子供が優先したくなるのも仕方ないことです。

したがって「後の苦労をなくすために、いま苦労しておこう」という動機付けでは、受験勉強が長続きしないおそれがあります。もっとも、中高一貫校の授業は総じてハイレベルです。家庭学習の課題も多く、かなりの勉強量が求められます。そのため「合格したら、後は勉強しなくていい」とはいきません。つまり「後で楽できるから」という理由で中学受験を始めると、進学後に子供が勉強で踏ん張れなくなる可能性があるのです。

「あんなに受験勉強をがんばったのに、入学してからも勉強が大変だなんて話が違う!」といった事態は避けたいですよね。むしろ受験勉強においては、以下のように「楽しんでいる状況」をイメージさせるほうが子供の心は動くでしょう。

● 難しいけどやりがいのある問題に取り組む
● ライバルの受験生と同じ目標に向けて競い合う
● あこがれの中学校で充実した時間を過ごせる

「中学受験をすると後で楽」の本当の意味

中高一貫校での学びと経験は、中学受験をする大きなメリットです。自ら選択し、努力し、合格を勝ち取った学校で、尊敬できる恩師や一生付き合える友人に囲まれて過ごす6年間は、子供にとってかけがえのないものです。そして6年間で手に入れたものを、“幸せに生きていくための糧”としていくことでしょう。後の人生で苦難が訪れても、楽しみつつ乗り越えられるはずです。これこそが、「中学受験をすると後で楽」の本当の意味なのではないでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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