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家庭の理科学習で、親がサポートできることは?|なるほどなっとく 中学受験理科

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2020年7月01日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

コロナ禍で少し前まで自宅学習が続き、親が子どもの勉強をサポートするケースも多かったようです。家庭の理科学習では親がどんなことをサポートできるのか、小川先生に聞いてみました。

教えるのではなく、一緒に体験する

子どもが小学校低学年の頃は、理科の勉強を見てあげていた親御さんもいらっしゃると思います。しかし、学年が上がり中学受験を目指すようになると、「子どもが学んでいる内容が難しくなり、教えられない」と言う方がいます。何とか子どもの力になりたいと思われるのでしょうが、そんな悩みに対して私は、「教えなくてもいいですよ」と答えています。

子どもの理科学習に対して親は教えようとするのではなく、身の回りの事象を子どもと一緒に見て体験する、もし時間がなければ、学びのきっかけを提示してあげるだけで十分です。

子どもと一緒に体験をする機会として、レジャーは貴重です。例えば、気象の授業では陸風と海風について学びますが、夏の昼間に陸と海のどちらが温まりやすいのか、実際に砂浜を歩いたり、海に入ったりすると実感できます。もちろん勉強のためにレジャーに行く必要はなく、出掛けた先で理科的な体験は必ずありますから、そこで何を見つけるかが大事です。

とはいえ、コロナ禍で今はなかなかレジャーに出かけられないかもしれません。しかし、身の回りでもたくさんの事象を見たり体験したりすることは可能です。例えば、洗濯ばさみや爪切りを使い、てこの原理を知ることができます。家の階段の照明を1階と2階、それぞれのスイッチでON/OFFできる「階段スイッチ」の問題は入試でよく扱われます。どんな配線になっているか親子で考えてみましょう。

日常生活の中で、料理は理科実験そのもので、理科的思考が養える素晴らしい体験です。漬物にすると野菜はどうしてしんなりするのか、電子レンジに料理を入れるとなぜ温まるのか、お湯が沸騰するとき、泡がボコボコ出る理由は……など、子どもが料理を手伝いながら、「なぜ?」と考えることは、いずれも理科学習につながります。

なぜそうなるのか、すぐに理由がわからなくても、実際に体験していると問題の解説や授業で説明を聞くときに記憶が甦り、より理解が深まります。親子で会話することも理科の興味を高めることにつながります。例えば私が生徒と理科の話をしていると、「そういえばママやパパがこんな話をしてた」というケースが時々あります。普段の生活の中で、子どもたちが「なぜだろう?」と考える視点や体験を大切にしてください。

時事問題を親子で話し合ってみる

普段見聞きするニュースについて親子で話すことも理科学習につながります。近年の入試では時事問題もよく扱われます。例えば天体では、今年の夏至の日(6月21日)に部分日食が起こりました。木星と土星は、今すごく近づいていて、今年の暮れにはかなり接近して見えるようになります。金星は、今年は6月頃まで”宵の明星”として日没後の西の空に明るく輝いていましたが、これからは “明けの明星”として、明け方の東の空に輝きます。

もうすぐ七夕祭りが話題になりますが、昔から七夕は7月7日です。でも、この頃は梅雨の最中でくもりがちな日々が続きます。昔はこの頃は夜空にたくさんの星が見え、満天の夜空の下で七夕を行ったのでしょうか? じつは、明治5年まで使われていた太陰太陽歴(天保歴)の7月7日は、今の暦では8月頃になります。現在は伝統的な七夕の定義は、「二十四節気の「処暑」を含む日か、それより前で最も近い新月の日から数えて7日目とされています。今年の処暑は8月23日で、この処暑より前で最も近い新月が8月19日ですから、今年の伝統的な七夕は8月25日で、織姫星や彦星、天の川を見ることができます。このように季節の行事も「なぜ?」という視点を持って掘り下げるとさまざまな発見があります。

近年は台風や集中豪雨のニュースも多いですが、自分の住んでいる町のハザードマップを見ることも理科の学習になります。マップを見ながら、「ここは昔、川だった」「ここは海抜何m」といった話もできます。また、テレビでは天気予報で、梅雨前線や太平洋高気圧、積乱雲などに関してわかりやすく説明しています。その解説を聞くだけでも理科の知識はついていきます。身の回りには理科の学習に役立つ素材がたくさんあります。ぜひ親子でいろいろなものを探して、話をしてみてください。


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※記事の内容は執筆時点のものです

小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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