中学受験ノウハウ 塾選び

集団塾選びよりも「親力」が問われる? 個別指導塾の選び方

2020年7月16日 室内玲

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納得のいく個別指導塾を選ぶためには、「親力」が欠かせません。この場合の「親力」とは、講師に対しての観察眼、または交渉力のこと。現役で個別指導塾の講師を務める私の経験から、個別指導塾のメリット・デメリット、そして通塾前の面談のポイントも踏まえ、個別指導塾の選び方をお伝えします。

【個別指導塾のメリット】一人ひとりにあった指導が受けられる

個別指導塾のメリットのひとつとして、わからないところをじっくりと教えてもらえることが挙げられます。

中学受験で勉強する範囲は広いうえに、深い理解も求められます。受験する学校にもよりますが、たとえば社会の場合、公立高校の受験生と比べて2~3倍を超える量の語句を覚えなければいけないことも。こうした難易度が高い中学受験の学習は、子供ひとりだけではなかなか進まないものです。その点、個別指導塾に行けば、子供一人ひとりに対して手厚いサポートを行ってもらえます。

そして多くの個別指導塾では、たとえ入塾が遅くなったとしても、個人に合ったカリキュラムを組んでもらうこともできます。受験に必要な単元だけを学習することも可能です。一方でほとんどの集団塾では、一度決定したカリキュラムを変更することはありません。そのためカリキュラムが進んでいる段階で入塾すると、未習の部分が出てきてしまうことがあるのです。

【個別指導塾のデメリット】講師の経験値に不安が残る

個別指導塾のデメリットは、集団塾に比べ、講師の受験指導経験にどうしても不安が残ってしまうことです。

集団塾の講師は、たとえば6年生を1クラス担当すれば、1年間で20~30人分の事例を学べます。一方で個別指導塾では、多くても10人前後のクラスの担当となることが多く、集団塾ほどの経験を積むのに2~3年かかってしまうことも。もちろん、指導人数が多いからといって必ずしも指導力に長けているとは限りません。しかし、さまざまな経験や観点から物事を考えられる講師のほうが、「良い講師」と映る保護者や子供が多いこともまた事実です。

「志望校の〇〇中の入試傾向を考慮して、今はこの問題を扱っておこう」
「この子の性格なら、○○中の入試傾向が向いているから保護者に伝えてみよう」
「今この問題が解けるなら、〇〇中は受かる可能性が高そうだ」

現在、私は個別指導塾に勤務していますが、上記のようなことまで考えたうえでカリキュラムを組み、指導できる講師は、個別指導塾という特性上なかなか見つかりません。

個別指導塾の選び方

もちろん、個別指導塾のなかにも中学受験に精通している講師はいます。こうした講師に当たるためには、ポイントを押さえて通塾前の面談に臨むことが大切です。

通塾前に、講師から「具体的な」提案があるか

まず面談前に、大手塾などが実施している公開テスト(塾生でなくても受験できるテスト)を受けましょう。その結果と答案を通塾予定の塾に持っていき、「志望校合格に向けて、具体的にはどのような指導をして頂けそうですか?」と質問してみてください。

この場合、一般論や抽象論ではなく、「この単元を伸ばす必要があります。さらに、〇〇の理由でつまずいている可能性もあります。〇〇を解決するには、■■をすべきですね」などと具体的な話が挙がれば、その講師は指導経験が豊富であるといえるでしょう。ただし、子供が問題を解いている様子を見ないと、つまずいている理由は明確にはわかりません。そのため、「指導力がありそう」という可能性だけ感じられるだけでも大丈夫です。

塾によっては、保護者と面談する講師と、授業を担当する講師が別のこともあります。この場合、できれば授業担当の講師と面談させてもらえないか訊いてみましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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