[経験談]個別指導塾の上手な使い方 ―― 苦手分野の克服を短期集中で
塾には集団塾と、個別指導塾があります。中学受験では、カリキュラムとサポート体制が整った大手集団塾に通うのが一般的です。しかし、大手集団塾と併用で個別指導塾に通うという家庭も珍しくありません。
実は、私の息子も算数がとにかく苦手で集団塾と併用で、個別指導塾を活用した一人です。「苦手単元を短期集中で克服する目的」で個別指導塾を活用しました。個別指導塾はそういった目的の利用に便利だと感じました。
今回は私が実践した苦手の定義づけから、個別指導が苦手克服に役立つと感じた理由と具体的な活用法をまとめたいと思います。
Contents
子供の苦手を見つける
まず「わが子の苦手が何なのか?」を把握しなければなりません。そのために「苦手の定義づけ」から始めしました。
「苦手の定義づけ」が結構難しい
あるテスト1回の点数を見ただけでは、何が苦手なのか? 本当に苦手なのか? を判断することができません。
そのときのテストの難易度で点数の価値が変わるのはもちろん、子供の全体的な学力で苦手かどうかの指標が大きく上下するからです。定義づけの参考になったのは、塾の保護者向け説明会で聞いた次の情報でした。
●得意科目と苦手科目の偏差値差の平均は11.8
●同じ時期に受けた試験であっても偏差値は平均で5.5のブレが生じる
注釈:各塾によって情報に差があると思います
この情報を聞いて、自分なりに全教科平均より偏差値が5以上低い場合は、苦手である可能性が高い。逆に全教科の平均より5より小さければ、苦手ではなく単なる誤差の可能性がある、と考えました。
指標を決める
上記をもとに、子供の苦手教科・単元をきちんと把握し、指標を決める必要がありました。間違って高すぎる目標を立てても子供に負荷を与えるだけですからね……。また、単なる誤差なのに苦手と誤認して特訓したところで時間の無駄になってしまいます。
5年生後半から6年生前半にかけて「苦手の克服が重要」という話はよく聞かれますが、苦手が何なのかを深く考える工程が大切です。
具体的に「どのように苦手を発見するのか」については、後半で整理します。
個別指導塾の併用が役立つと感じたワケ
ここでは、実際に集団塾と個別指導塾を併用して感じたメリットを整理したいと思います。個別指導塾イコール、子供の苦手克服のイメージが強いですが、メンタル面のプラス効果もあったと感じます。
理由1:好きなカリキュラムが組める
個別指導塾の王道メリットです。個別指導塾は、さまざまな生徒に対して、個々に勉強を教えるわけですから、基本的に「コレ!」といった決まったカリキュラム・テキストがありません。
注釈:一部、カリキュラムなどが存在する個別指導塾もあります
実際、個別指導塾の門を叩くと最初に「何をしたいですか?」と塾側から聞かれました。
「算数が苦手でなんとかしたい……」という、ざっくりとした相談もできたのでしょうが、わが家の場合、目的を明確にして、具体的な要求を持って相談に行きました。ポイントを絞って相談し、塾側もそれに応えてくれたのが良かったと感じる理由です。
私の場合、息子の算数の偏差値を具体的なラインまで上げることを目的としました。そして、個別指導塾では、ひたすら図形問題をやってもらうといった使い方でした。
おかげで点数がなかなか取れなかった図形問題で得点ができるようになり、算数の偏差値をグンと上げることに成功しました。
理由2:理解できなければ決して先へ進まない
個別指導の良いところは、わかるまでトコトン教えてくれることです。大手集団塾はカリキュラム重視で、一定のスピードで授業が進みますから、なかなか丁寧には教われません。その点、個別指導塾はわからなければ、説明を繰り返してもらうこともできますし、基礎問題をやってみるということもできます。場合によっては、前の単元にいったん戻ることもできます。わからない状態で先には進まないのが、苦手克服には効きます。
理由3:「わかる気持ち良さ」が得られる
最後はメンタル面の作用です。息子が個別指導を体験した感想は「超わかりやすい!」でした。子供がわからなければ、わかるまで教えてくれるのですから、まぁ当前といえば当然です。
苦手だったものが「わかった! 理解できた!」というのは「気持ち良さ」です。苦手科目は子供本人も苦手意識を持っていて、嫌いになってしまっていることがあります。克服にはこの「わかる気持ち良さ」が大切だったと感じます。こういった実感を得られたのも、個別指導のメリットでしょう。
以上の3つの理由で、苦手克服には個別指導が役立つと考えています。
個別指導塾を使った具体的な苦手克服の手順
ここでは、個別指導を苦手克服に活用するために行った具体的な手順を整理します。効果的な手順は3つのステップから成り立つと考えます。なにごとも準備が肝心。個別指導を活用した苦手克服も準備工程が大切ですね。
手順1:ひたすら公開テストを受ける
まずはひたすら公開テストを受けることです。塾で実施している毎月のテストでもよいですし、四谷大塚やSAPIX、日能研が実施している定例テストでもよいです。
苦手を知るには本気で解いたテストとその結果が必須です。ただし、どんなテストでもよいわけではありません。ひとつだけ条件があります。
それは各問題ごとに全受験者の正答率が公開されるテストであることです。各問題の正答率がわからなければ、わが子が間違えた問題が、苦手でできなかったのか、ほかの子供もできない超難問だったのかわかりません。
苦手を把握するうえで、公開テストの正答率は最も重要な情報です。
手順2:目指すべき偏差値から苦手単元を抽出
まず、苦手な「教科」を把握します。前項でも説明したとおり、ほか教科の偏差値が50なのに、偏差値40の教科があったらそれは苦手教科の可能性が高いです。ただし、45程度であったら、それは単なる誤差の可能性があるので複数回のテストの平均を見て判断します。
苦手教科がわかったら、苦手「単元」の抽出です。答案を見ながら、皆が正答しているのに、誤答している問題を抽出します。
偏差値50を目指すレベルであれば、正答率50%以上の問題は全て取れなければなりません。つまり、正答率が50%以上なのに間違えてしまった問題が苦手単元の候補です。
注釈:上記は、四谷大塚の判定テストの受験者分布を参考に筆者が作成したものです。受験者数が多いテストでは、受験者分布がやや上位に偏った分布になります。あくまでも参考値としていただければと思います。
手順3:欲張らず、苦手単元ピンポイントで個別指導塾に依頼
苦手単元の抽出ができたら、個別指導の先生へ苦手克服したい旨を伝え、短期間で一気に対策します。このときのポイントは3つあります。
1つ目は欲張らないこと。「あの単元も、この単元も……」と欲張ると苦手克服はできません。特に算数は欲張り厳禁ですね。ひとつの単元に4コマも5コマも費やすつもりでカリキュラムを組みましょう。
2つ目は基礎のテキストを使うこと。いきなり応用問題や過去問題に取り組んでも遠回りです。苦手克服が目的ですから、子供にとって簡単すぎると思われるくらいのテキストを使うのが定石です。
3つ目は 夏休みなどの長期休みを利用して一気に対策をすることです。わが家の場合は、6年生の夏休みに約2週間ほぼ毎日個別指導に通い、一気に算数の苦手単元の対策を実施いたしました。可能であれば5年生の夏休みや冬休みなど、苦手分野が気になったらお試しすることをおすすめします。
まとめ
以上が個別指導を使って、短期集中で苦手克服するために私が実践した方法です。最後に個別指導塾の費用は塾によってマチマチですが、数万円の追加投資で苦手克服ができたので、「投資対効果は大きかった」というのが私の実感です。苦手単元に悩んでいる場合は、個別指導塾の活用をひとつの候補として検討してみてはいかがでしょうか。
※記事の内容は執筆時点のものです
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