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中学入試で英語の導入が増加! 「英語教科化」と「2020年大学入試改革」のトレンドを解説

2018年3月12日 朝倉浩之

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首都圏模試センターによると、2014年には15校のみの導入であった英語での入試。以降、中学入試で英語を導入する学校数は伸び続け、2018年は計112の国私立中学校で導入されました。このように中学入試で英語を導入する学校は増加傾向にあります。「2020年大学入試改革」や「英語教科化」の関係もあり、今後さらに中学入試で英語を導入する学校が増加していくと予想されます。

中学入試を控える小学生も直面する「2020年大学入試改革」とは?

現在行われているセンター試験は2020年1月の実施を最後に廃止されます。このセンター試験にかわり、スタートするのが「大学入試共通テスト」です。「大学入試共通テスト」は2018年4月時点で高校1年生となる学年から受験することになります。

現在のセンター試験からの大きな変更点は2つあります。1つめは記述式問題の導入です。2つめは英語についての4技能(読む・聞く・話す・書く)を評価する点です。これは「大学入試共通テスト」が総合的な思考力・判断力・表現力を中心に評価しようという考えをベースにしているためです。

そのため、中学入試で英語を導入する学校の増加は2020年に向けての大きな動きということができるでしょう。「2020年大学入試改革」、そして小学校での「英語の教科化」に先駆けての取り組みといえます。

小学校の英語教育の変化

2008年度に小学校5・6年生を対象に「外国語活動」としての英語教育がスタート。2011年度には小学校5年生から必修となり、今後2020年度には「小学校3年生からの必修化」と「小学校5年生からの教科化」が完全実施されます。

必修化とは、「英語に親しんでもらうための教育」を各小学校で必ず行なわなければならないということ。しかし、学習内容は各学校の裁量に任せられています。

教科化とは、「必修化段階よりも一段高い水準/程度の英語教育」を行なうということを意味します。この段階では英語の学習にあたって文部科学省の検定に合格した教科書が使われます。そして試験が行われ、通知表に数値化された成績がつきます。

なお小学校5・6年生の英語教育は、これまでは「聞く」「話す」が中心でした。教科化にともない、ここに「読む」「書く」がつけ加えられます。より実践的な指導に主眼が置かれるようになっていきます。

これに連動した動きとして現在、英語検定やTOEICテストなどの民間の資格・検定が中学入試に導入される動きが示されています。たとえば英語検定を実施する日本英語検定協会のWebサイトを見ると、英語検定を取得することで入試の優遇を受けられる学校が紹介されています。なかには資格の取得による特待生制度を導入している学校もあります。

中学入試で出題されている英語のレベルは?

ところで、中学入試で出題されている英語の問題はどの程度の水準なのでしょうか。十文字中学校(東京都)と市川中学校(千葉県)の2つの私立校を例にとると、十文字中学校は英検4級に向けての学習を行っていれば十分に対応できる内容です。一方、市川中学校の問題は英検2級程度となっています。このように英語入試のレベルは各学校によって異なるため、個別に学校説明会や出願要項、過去問で確認する必要があります。

現行メインになっている4教科での中学入試から「2020年大学入試改革」「英語教科化」に向け、今後も英語を入試で導入する学校は増えていくことでしょう。英語が得意な受験生にとって、中学受験はより幅広い門戸が開かれていくことになります。今後、中学入試はグローバル化に対応していく流れになっていくと予想されます。

※記事の内容は執筆時点のものです

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