学習 連載 中学受験の「新」常識

志望校選びは親が主導権をにぎる|下剋上受験著者 桜井信一さんに聞く 中学受験の「新」常識【5】

専門家・プロ
2021年2月22日 ハルカ

中学受験は賢い子だけのものではない。普通の子こそチャレンジすべき。この連載ではいままで当たり前だと思ってきた中学受験の常識を見つめ直します。著書『下剋上受験』や『下剋上受験塾』で多くの受験生とその保護者から支持を集める桜井信一さんに、中学受験の常識についてお話をうかがいました。
桜井信一

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」では、のべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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偏差値は学校の人気投票

――はじめに志望校の選び方について教えてください。

志望校選びではまず共学か別学か決めます。これは家庭の方針で決めれば良いでしょう。次は通学時間ですが、部活や行事などでも子供が気軽に行ける範囲で考えます。それから偏差値や校風を見て、具体的な学校をしぼりこんでいきます。シンプルですが、これしかないと思います。

――偏差値は高いほうが良いと考えますか。

偏差値は人気のバロメーターであり、人気投票の結果のようなものです。進学実績だけでなく口コミで広まった居心地や雰囲気なども反映しているので、事情がなければ偏差値の高いところから検討して良いと思います。

とはいえ中堅校にも良いところはたくさんあります。わかりやすいところで言えば、大学への指定校推薦。すでに行きたい大学が決まっているのであれば大きな魅力ですよね。指定校推薦の有無は公開資料では見つけられないこともあるので、学校説明会で相談してみると良いかもしれません。

文化祭で見るべきは「生徒たちが楽しんでいるか」

――校風はやはり学校説明会や文化祭で判断するものでしょうか。なにを見ればよいかわからないという声も聞きますが…。

学校説明会や文化祭で学校本来の姿が見られるかというと難しいですよね。とくに文化祭は学校のプレゼンテーションととらえるところもあれば生徒のレクリエーションととらえるところもあります。後者は見せ方がうまくないので見に行った子供がつまらないと感じて興味を持たないということも少なくありません。

でも文化祭などの行事がレクリエーションとして開催されるということは、生徒に主体性があるということです。学校をぐるりとまわってメインのアーチや看板ではなく生徒それぞれが作ったものを見てみてください。生徒の企画力や学校の自由度がわかると思います。生徒を信頼して任せたイベントになっていれば、見に行った子供がつまらないと感じたとしても良い学校と言えるのではないでしょうか。

――文化祭で見るべきはメインの出し物や飾りのクオリティだと思っていました。

本来、文化祭や運動会は生徒が全力で楽しむべきものです。外部に見せるために生徒の自主性を発揮できなくなっては本末転倒です。輪の中心ではなく1人や少人数でいる子も行事を楽しめているか、無理に輪に入れるのではなくそれぞれの好みや個性が尊重できているか。そういった学校の姿勢を見てほしいです。行事に対して生徒たちが心から楽しんでいるか。少なくとも私はそういう学校に子供を行かせたいと思います。

志望校選びは親が動いて

――せっかくなら内部進学しやすい付属校のほうが良いと感じる親御さんもいますよね。

たしかに内部進学は大きなメリットですが、逆に外の大学を受験するのが難しくなるというデメリットもあります。国公立を狙いたいと思っても、まわりが早い時期に内部進学や私立大学へ進学を決めているなかでがんばれるかというとつらいでしょう。

大学入試に関して、私なら中学に入ってから6年後にもう一度考えさせたいですね。人生の岐路は定期的にほしい。そういう点で、個人的には付属校だからという理由で学校は選ばないと思います。

――志望校選びでは親子で意見が割れることもあると思います。主導権はどちらにあると考えますか。

志望校を選ぶときに親は学校の名前で、子供は直感で決める傾向にあります。どちらも間違ってはいませんが、正確性には欠けますよね。

ではどうするかというと、私は親が主導権を持ったほうが良いと思っています。まずは親が環境や学力を総合して志望校をピックアップし、そのなかで子供と比較検討する。その過程で親が誘導するようなことになっても問題ないでしょう。

あとは親が役員をやりたいと思えるかどうかというのもひとつの基準になります。子供が通う学校は親が参加する学校でもあるわけです。親としても子供の学校には楽しく参加したいですからね。

――親が主導権を握ると「親のエゴではないか」と悩む親御さんもいるのではないでしょうか。

考え方やとらえ方は人それぞれですから、全員に分かってもらうことは無理です。「エゴと思われないように」を軸に子育てするのもおかしな話ですしね。ある人から見たら私だって自分のエゴを通したと思われるでしょう。だから当事者が納得してればOKなのではないかと思います。

子供の可能性を広げてくれる学校を探して

――親も子も納得できる志望校を選べるのが良いですよね。

いろんな情報を総合して慎重に決めてほしいですが、最終的には志望校選びに絶対的な正解なんてありません。

中学からの6年間は人生で輝く青春のときです。この6年をいい場所で過ごせるようにという思いを大切に、子供の可能性を広げられる学校を選んでくださいね。

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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ハルカ
この記事の著者

大手進学塾で6年間国語講師を務め、塾では主に5,6年生を担当。偏差値20台の勉強しない子供から、御三家に合格するレベルの子供まで幅広いレベルを受け持ちました。モットーは「無理なく楽しく効率的に」。

現在は中学受験を応援する個人サイトを運営。教育系webライターとして教育系、子育て系サイトでの活動も行っています。

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